ちょうど一年前のニュースの真偽/日本がアメリカから250万トンのトウモロコシを追加輸入 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

ちょうど一年前の8月26日に、日米首脳会談後の記者発表でトランプ大統領が「米国の至るところでトウモロコシが余っている。日本はそのトウモロコシの全てを購入する」と発言し、同席した安倍晋三首相も「害虫対策の観点から(日本企業が)購入を必要としている。緊急に購入しなければならないと民間が判断している」と述べた旨のニュースが報じられました。覚えていらっしゃる方もおられると思います。
このニュースから日本は無条件にアメリカから大量のトウモロコシを購入すると決めつけた反米アベガーたちは大いに安倍首相を批判したわけですが、トウモロコシの大量輸入は現実化したのでしょうか?

日本のアメリカからのトウモロコシ輸入実績は下記のとおりです。
2018年:1450万t
2019年:1095万t
2020年(1-6月):519万t
(財務省「貿易統計」より)

250万tの追加輸入どころか2019年は▲350万tも輸入量が減少しており、2020年も上期はほぼ2019年の半分と輸入が増加する傾向は全く見られません。
昨年8月のJ-CASTニュースの報道によると、トウモロコシの輸入云々は「追加輸入ではなく、害虫被害が広がる可能性を考慮して、前倒し輸入で確保する場合は、最大3か月分(2018年実績では約300万t)、保管料を全額補助する」という趣旨であり、「3か月分を年間必用量に追加して輸入する訳ではない」とのことで、結果的に不要な追加輸入は一切行われなかったということがわかります。
追加輸入のニュースが報道された数日後にはこのような『真相』が判明していたわけですが、反米アベガーたちはこうした指摘には耳を貸さずひたすら政権批判を続けてきました。

ちょうど一年前に~というフレーズを聞くとTHE虎舞竜のロードを思い起こします。個人的には第二章が好きでした。ところで虎舞竜ボーカルの高橋ジョージさんは10代の三船美佳さんと結婚・離婚したことが話題になりましたが、そう言えば10代の奥様に噛みついたことがニュースになった人もトウモロコシの追加輸入の報道で安倍首相に噛みついていました。
彼は「日本は宗主国アメリカ“様”の要求に逆らえない、属国である。この事実を認めたくないために、見事なまでに認知的不協和に陥っているわけである。」と気炎を揚げていますが、追加輸入どころか前年比で1/4も輸入を減らしているのが実情であり、彼自身の「日本は宗主国アメリカ“様”の要求に逆らえない、属国である」という認識が認知的不協和であることが如実に示された形です。TPP交渉で日本はアメリカの言い分を丸飲みせざるを得ない等と主張していたときから何も変わっていません。
『マスコミに騙されるな』と言いながらマスコミに騙されていたのは自分だったというオチですが、自分を省みたりはしないのでしょうか。