特別給付金10万円の是非を問う/困窮産業に恩恵なし | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

百貨店・ショッピングセンターは前年比売上減少、スーパーマーケットは前年比売上増加という傾向が6ヶ月も連続で続いています。

コロナショックにより巣籠もり需要が拡大し、逆に外出に伴う需要は一向に回復を見せません。
(総務省 2020年6月家計調査より)

特に6・7月は特別給付金により各世帯の収入が大幅に増えたにも関わらず、百貨店はおろかショッピングセンターの売上も低迷しており、過去記事[6月ショッピングセンター売上 前年比▲15%/特別給付金の使い途]にも書いた特別給付金により増加した家計収入を消費に回そうとしていない状況が続いています。
売上が激減している産業に従事している方も、コロナショックによる巣籠もり需要などで売上が増えている産業に従事している方も、受け取ることができる給付金の金額は同じです。そして好況な産業の従事者も恐慌状態の産業に資金を回そうとはせず、一層好況な産業に資金が回る構造になっています。
もちろんこの給付金により生活が助かった方もいるでしょうが、給付金だけで12兆円もの予算を投じているため追加の大型景気対策は見込めない状況であり、特別給付金はGoToキャンペーン以上に時期と内容を誤った政策と言わざるを得ないでしょう。少なくともGoToキャンペーンは『危機に瀕した業界を支援する』という必須かつ明確な目的がありますからね。

二次補正予算の予備費から給付金の第二弾を期待する声がありますが、現在の状況で再び一律給付金を支給すれば格差が広がるだけなのは目に見えており、懐の痛んでいない者による『今だけ金だけ自分だけ』の浅ましい要望と言わざるを得ません。