観光業界の人員を農業現場で受け入れへ/農業は大規模化・省力化の推進を | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

過去記事[休業中の人員を一時的な人手不足業界へ融通]で、飲食チェーン店を展開しているワタミがスーパーを展開している人員不足のロピアに従業員を出向させる取り組みを紹介しましたが、今度は旅行業界から農業へ人員を融通する取り組みが始まりそうです。

[引用]
JA全農=全国農業協同組合連合会は、大手旅行会社のJTBと提携し、新型コロナウイルスの影響で仕事が減った観光業界の人たちに、副業として担い手不足に悩む農業の現場で働いてもらう、新たな取り組みを始めることになりました。
担い手不足に悩む農業の現場では、新型コロナウイルスの影響で、外国人の技能実習生の来日も難しくなり、人手不足が一段と深刻化しています。
こうした中、JA全農は、JTBと提携して、農業の担い手を確保する新たな取り組みを始めることになりました。
具体的には、JTBが新型コロナウイルスの影響で仕事が減っている全国のホテルやバス会社などから人材を募り、副業として農業の現場で働いてもらう仕組みで、今月からまず大分県で始める計画です。
JA全農にとっては担い手不足の農家を支援できる一方、JTBは取引先の支援に加え、農家から受託料を得られ、収益にもつながります。
(後略)
[引用終わり]

新型コロナウイルスの感染拡大が収まっておらず、GoToキャンペーンも低調で旅行業界の窮状はまだまだ続くでしょうから、この取り組み自体は面白いと思います。6月の宿泊・飲食業界の1人あたり労働時間は前年比▲16%の80時間と、全業種の中で唯一100時間を下回っています。特に宿泊業界はより一層厳しい状況であると思われますので、この取り組みで少しでも従業員の収入増加に繋がってほしいと願います。

ただし農業については『外国人実習生が入ってこないと成り立たない』という構造を少しは改善してほしいとも思います。本来実習生とは研修生であり、労力やコストを割いて仕事を教えるべき存在です。一般企業では『研修生がいないと仕事にならない』という事態にはならないでしょう。
日本人農家は高齢化が進み、平均年齢が66.8才と一般的な定年年齢よりも高齢となっています。そのため高齢化と労働者の減少から外国人実習生の労働力をあてにする構造が続いていますが、労働基準法を無視した扱いが国際的にも問題視されています。
いつまでも小規模農家が産業の担い手の中心となっていては、今の外国人実習生頼りの構造を変えることはできないでしょう。コロナショックを奇貨として農業の大規模化・法人化を進めてほしいと思います。