コロナショック/6月雇用 非正規雇用は著しく減少するも、正規雇用はほぼピークに戻る | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

6月はコロナショックによる雇用悪化から一定の回復が見られました。

本日発表の労働力調査(総務省)によると2020年6月の完全失業率は2.8%と前年比0.5%の悪化(前月比▲0.1%回復)、就業者数は前年比▲77万人と先月の▲76万人に引き続き、前年比では大幅悪化となりました。
一方で休業者数は236万人と前年比では+62%(+90万人)とコロナ前の水準には遠いものの、前月比では▲44%(▲187万人)と大きく改善しています。

今月の詳細を書いていきますが、今月も先月の過去記事[コロナショック/正規雇用が前年比+63万人だった先月から一気に前年比マイナスに転じる]と合わせてご覧いただければ変化がより分かりやすくなるかと思います。

◯就業者の業態内訳
就業者全体では▲77万人ですが、その内訳は下記のとおりです。(いずれも前年比
自営業主・家族従業員:+9万人
正規雇用:+30万人
非正規雇用:▲104万人
・その他(役員等):▲12万人

先月は正規雇用が減少しておりましたが(▲1万人)が、今月は正規雇用が再び増加に転じました。4~6月の就業者が前年比▲約80万人で安定的に推移している一方で、正規雇用は4月:+63万人→5月:▲1万人→6月:+30万人と変動を見せています。
前月比では下記のとおりです。
自営業主・家族従業員:▲1万人
正規雇用:+27万人
非正規雇用:▲1万人
6月の正規雇用者は増加を続けていたピーク(今年4月)と比べて▲2万人と、ほぼピークに戻った形になります。単月統計で判断はできませんが、コロナショックによって雇用の悪化が想定されていたものの、継続的な人手不足を背景とした正社員ニーズは根強いものと思われます。なお非正規雇用は前年比では▲100万人を超えましたが、前月比ではほぼ同数となっております。

◯業種の内訳
大きな減少があったのは下記の業種です。
宿泊・飲食業:▲38万人(前月比▲7万人)
建設業:▲31万人(前月比▲13万人)
生活関連サービス・娯楽業:▲22万人(前月比+1万人)

やはり宿泊・飲食業の減少は大きく、回復の兆しが見えない状況です。7月以降はGoToキャンペーンがプラスの影響を与えるとは思いますが、新型コロナウイルスの感染再拡大により自粛を再要請する流れになりつつあるため、当面は劇的な回復はまず見込めないでしょう。
また、今月は建設業従事者の大幅減少が見られました。建設業については4~5月に自粛・中断を強いられた工事を6月に再開する流れだったため、6月はむしろ増加するかと思っていたので予想外の結果となりました。

今月は製造業が前年比では▲13万人と減少していますが、前月比では+18万人とかなり持ち直しました。しかし先月も書きましたが、製造業は過去記事[企業の人手不足感が急速に解消/過剰感が急増]で書いたとおり人手過剰感の強い業種であり、世界経済もまだまだ回復にほど遠く輸出の増加も見込めませんので、減少傾向が続くと思われます。特に7月以降には4~6月の期間労働者の雇い止めが想定され、大量の失業者の発生が危惧されます。

◯失業者の内訳
<前年同月比>
・完全失業者:+33万人(+20%)
・自発的離職者:+6万人(+9%)
非自発的離職者:+24万人(+65%)
収入を得る必要が生じたための求職者:+7万人(+33%)
<前月比>
・自発的離職者:▲1万人(▲1.4%)
非自発的離職者:+7万人(+13%)
・収入を得る必要が生じたための求職者:▲2万人(▲6.7%)

今月は非自発的離職者が急激に増加しています。今月の休職者の減少と合わせて考えると、企業側も余剰労働者を抱えられなくなってきたと判断し始めたものと思われます。

◯休業者の推移
2020年1月:194万人
2020年2月:196万人
2020年3月:249万人
2020年4月:597万人
2020年5月:423万人
2020年6月:236万人
<正規雇用>
2020年1月:82万人
2020年2月:86万人
2020年3月:89万人
2020年4月:193万人
2020年5月:126万人
2020年6月:83万人
<非正規雇用>
2020年1月:67万人
2020年2月:70万人
2020年3月:118万人
2020年4月:300万人
2020年5月:209万人
2020年6月:99万人

正規雇用の休業者はコロナ前とほぼ同水準となり、失業予備軍とも言える非正規雇用の休業者は2ヶ月連続で▲約100万人減少し、3月よりも少なくなりました。
有効求人倍率が低下したと報じられていますが、休業者の減少数▲187万人は完全失業者数195万人とほぼ同水準であり、これだけ休業者が復帰すれば新規の求人が減少するのは当然のことと言えます。

6月の雇用統計は大方の予想通り5月よりも改善されましたが、7月は製造業の非正規雇用者の雇い止めが予測され、足元の新型コロナウイルスの感染再拡大を鑑みると8月以降は雇用がさらに悪化する可能性が高いでしょう。
政府も感染拡大を警戒しつつ経済活動を止めないよう苦心していますが、我々も感染拡大には十分注意しましょう。

<7月31日 22:15>
一部修正(先月のコピペが残っていました)