コロナ第1波と今の比較<感染者は多くとも重症者は1/5> | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

7月に入って新型コロナウイルス感染者が急増し始め、第2波到来が懸念されています。実際に昨今の新規感染者は4月のピークを上回っており、第2波が到来していることは否定できないでしょう。
そんな中でも政府は「感染は拡大しているものの重症者や死亡者は特に増加しておらず、緊急事態宣言発令時とは状況が異なる」としてGoToキャンペーンを実施し、観光業界および旅行業者の窮状を救う方を選択しました。

第1波と現状がどう異なるのか、データで比較してみたいと思います。(データおよびグラフは東洋経済オンラインから引用)

◯新規感染者の比較


7月23日の新規感染者数は第1波のピークである708名(4月10日)の約1.4倍の966名です。

◯重症者数の比較


<第1波の新規重症者>

7月23日の重症者数は第1波のピークである328名(4月30日)の約1/5の68名です。

◯死亡者数の比較


7月16日~7月23日の死亡者数は第1波のピークである168名(5月1日~5月8日)の1/24の7名です。

新規感染者数だけ見れば新型コロナウイルスの被害は第1波を上回っていますが、重症者や死亡者数を見れば明らかに被害は小さくなっています。
もちろん新規感染→重症化→死亡と段階を踏むためピークはそれぞれ時期が異なるのですが、第1波の新規重症者のピークが4月15日(25名)であることから、新規感染→重症化のタイムラグは5日程度と考えられます。
現状を確認してみると7月23日の5日前、つまり7月18日の新規感染者は655名と第1波のピークにかなり近い数字(約93%)でした、7月23日時点の重症者は第1波ピークのわずか1/5であり、今後も増加が見込まれるとはいえ第1波ほどの数になるとは考えにくい状況です。
極論を言えば、1週間の死亡者が7人程度の感染症を極度に恐れる必要はないでしょう。

少なくとも現時点では明らかに緊急事態宣言を発令したときと状況が異なるため、観光業界や旅行業者の救済を優先するのはやむを得ない判断ではないかと思います。
粗利を直接補償せよという意見もありますが、観光業は旅行業者や宿泊・飲食店、土産物店だけでなくクリーニング業者や商品の卸売業者、生産者まで影響を及ぼす裾野の広い業種であり、どこまで補償の対象にするのかという視点を欠いた意見だと言わざるを得ません。

油断は禁物ですが、羹に懲りて膾を吹くようなことにならないよう、常に多様なデータを見て判断するよう心がけましょう。