切り取り報道への非難も開き直る種苗法改正反対派~山田正彦元農水大臣 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

山田正彦元農水大臣(民主党政権時)は種苗法改正反対の根拠に横田農場の社長の発言を挙げていましたが、そのご本人である横田社長が「話を切り取って全く違う話にして主張されている」と横田農場のHPで明らかにされました。

<横田農場のHPから全文引用(色付けはブログ主)>
代表の横田です。
最近話題になっている「種苗法改正」について、元農水大臣の山田正彦氏が「横田農場は種苗法の改正によって自家増殖ができなくなり経営が立ち行かなくなると言っている」と吹聴されているようですが、これは全くの逆です。
昨年9月に、農水省の「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」いわゆる種苗法の改正に関する検討会にヒアリング対象として呼ばれました。
そこで私は、私が行っている自家採種(自家増殖)について説明し、今後、種苗法が改正すれば「許諾をきちっと受けて増殖していくということが当然必要」と発言させていただき、今後は許諾に基づいて増殖を行いたいとお話しさせていただきました。
ところが残念なことに山田正彦氏は私の名前をあげ、話を切り取って全く違う話にして主張をされています。
種苗法改正について、様々な議論が起こったり、農業関係以外の方が心配してくださるのは大変良いことなのですが、事実を曲げたり切り取って発信されるのはとても迷惑なので、少なくとも山田氏の主張の中で、私に関する部分は無視していただければと思います。
<引用終わり>

過去記事[検察庁法改正騒動に思う五権分立]『権力を監視する権力』として第四の権力にマスコミ(マスメディア)が挙げられ、今はそのマスコミも含めて監視する権力としてインターネット(SNS)が挙げられると書きましたが、まさにマスコミが監視された好例ですね。

なお横田社長が憤慨されている該当の切り取り部分はこちらの記事です。
<引用>
山田:農林水産省は2019年3月から「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」を、閣議決定に至るまでに6回にわたって開催してきました。
第5回検討会では、茨城県の150ヘクタールの圃場をもつ横田農場の横田修一社長が、自家採種が原則禁止されれば経営が立ち行かなくなるという、全国の農家に共通する危機感を訴えています。
<引用終わり>

他にも月間日本(配信はハーバービジネスオンライン)でも山田氏の同様のインタビュー記事があったようですが、こちらは横田社長からの申し出により修正されています。

当然横田社長のこの申し出は山田氏の耳にも入っているのですが、山田氏は厚顔にもこのようなことをブログで述べています。
<引用>
議事録では、確かに種苗法改定で登録品種(保護期間が残ってるもの)の自家増殖(採種)が一律禁止になることについて反対だとは述べていません。
 
ただ自家採種が禁止されて全量種子を購入するとなると500万円弱の負担がかかるので、そのコストをどうやって削減するかがこれから大事になりますと述べています。

<引用終わり>

確かに横田社長がそのように仰っている部分はあります(経営が立ち居かなくなるとは一言も仰っていません)が、横田社長は同じ議事録にてこのようなことも仰っています。
<引用>
今後こういう形で制度が変わっていくことであれば、当然僕らは、今は許諾を受けない形での増殖になっていますけれども、恐らく許諾をきちっと受けて増殖していくということが当然必要になってくるだろうなというふうに思います。これはだから、例えばちょっと性質が違いますけれども、例えば僕ら、田んぼを借りて、その地代を払ってということを当たり前にやっていますけれども、その意味で言えば、種も、借りているわけじゃないですけれども、権利を使わせてもらって、それに対して一定程度のフィーを払うと。それが当然物すごい金額になってしまっては僕らもちょっと困りますけれども、だったら買ったほうが安いよということになると思うんです。けれども、そこまでは恐らくならないでしょうから、それでしっかりと正々堂々とやっていくということがこれから必要な、僕らも求められる、僕らもそういう意識を持っていかないといけないということじゃないのかなというふうには感じます。
<引用終わり>

実際に『切り取り報道されて困っている。検討会で話したことの主旨は真逆だ』と言われているのに、同じ切り取り部分のみを再掲して「自分は間違ったことは言っていない」と言わんばかりの態度をとるのはあまりに失礼な対応と言わざるを得ないでしょう。
リブログ元の記事で文字通り『切り取り』した議事録の写真が載っているのはブラックユーモアのつもりなのでしょうか?

「色々な見解がある」などと言っていますが、その色々な見解を捻じ曲げて自説の根拠に使い、指摘・批判されては開き直る。このような態度を続けていては信用を無くすばかりでしょうね。