検察庁法改正騒動に思う五権分立 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

このたび、国民世論を理由に検察庁法改正が先送りにされることが決まりました。
検察庁法改正自体はさほど興味はないのですが、三権分立に絡めた現代の権力構造について思いのまま書き連ねていきます。

◯三権分立とは?
権力分立とは、権力が単一の機関に集中することによる権利の濫用を抑止し、権力の区別・分離と各権力相互間の抑制・均衡を図ることで、国民の権利・自由の確保を保障しようとするシステムである。(wikipediaより)
日本では立法権(国会)・行政権(内閣)・司法権(裁判所)によりそれぞれ権力が分散されています。

◯第四・第五の権力
私が学生の頃は『権力を監視する権力』として第四の権力にマスコミ(マスメディア)が挙げられていました。今はそのマスコミも含めて監視する権力としてインターネット(SNS)が挙げられるでしょう。
最近の事例に限っても、テレビ番組が取材した医師から真逆の内容に編集されたとの指摘を受けて再度取材の模様を放送したり、根拠もなく女性タレントの薬物疑惑を報道した出版社が本人からの抗議を受けて謝罪したりと、インターネットはSNSの拡大と共に第五の権力としてマスコミを監視する役目を果たし始めてます。(偶然にもどちらも朝日新聞系列ですね)
また、民主党政権時代にはsengoku38こと当時海上保安官だった一色正春氏が尖閣諸島での中国漁船衝突映像をYouTubeに流出させ、内閣の隠蔽を暴きました。これも第五の権力を活用した動きと言えるでしょう。

こうした誤報・捏造や隠蔽に対する第五の権力の行使は、既存権力に対する監視機構として非常に有効なものです。(一色氏のケースは義憤によるものとはいえ国家機密の漏洩に繋がるため、国家運営に対しては賛否両論ありますが)

◯第五の権力の問題点
ただしこの第五の権力は基本的に個人個人による発信となるため、情報の正否が非常に重要になります。
こんな頭に花が咲いているとしか思えないネタにしか見えない図が数百万も拡散されて国政に影響を及ぼすなど、質の悪いジョークです。
信用を失うと、国会議員は票を、内閣は政権を、裁判所は最高裁判所裁判官の地位を失うリスクがあります。マスコミにしてもスポンサーが離れるというリスクがあります。
しかし、インターネットの情報については悪名は無名に勝るという言葉があるとおり、信用を失っても必ずしもデメリットばかりというわけではありません。炎上商法で稼ぐ人もいるでしょう。さらに真偽が確かめ難い話題であれば信用を失うリスクそのものを回避できます。
つまり新たな第五の権力は、極めて無責任に世間を騒がせて注目を集めることができるツールでもあるということです。

◯陰謀論との親和性
TPP(今は日米FTAにシフト)や種子法廃止や水道法の改正など、巷には陰謀論が溢れていますが、こうした陰謀論の特徴として「生命に関わる危機」が喧伝されます。
「生命に関わる危機」であるがゆえにセンセーショナルで話題に上りやすくなり、発信することで注目を集めることができるのです。今回の検察庁法改正も生命に関わる危機ではないものの、陰謀論染みた主張でした。

「嘘を嘘と見抜けない人にはインターネットを使うのは難しい」と某インターネット掲示板の元管理人が言っていましたが、ネットリテラシーを身につけることの重要性は日々増しています。
少なくとも反グローバリズムを標榜する方々はTwitterでYouTubeの動画を拡散するという行為に疑問を持ってほしいと思います。