[種苗法改正]論理的に考えると外資による種の独占は起こらない | 上下左右

上下左右

台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

陰謀論者は種苗法改正は外資企業による種の独占に繋がりかねないなどと脅しますが、論理展開としては概ねこのようなものが多いです。

1.種苗法改正により種子の自家採取が制限される。
2.種子を買わざるを得なくなる農家が増え、種子ビジネスが儲かりやすくなる。
3.これまで儲からないから日本の種子市場に参入してこなかった外資企業が参入する。
4.外資企業は世界的に圧倒的なシェアを持っているので、日本も同様に圧倒的なシェアを占められる。
5.外資企業による種の独占が起こる。

当たり前の話ですが、外資企業の品種が日本市場のシェアを占めるということは、外資企業が開発した品種は日本の種苗メーカーが開発した品種よりも優れているということです
「外資企業は資金力を活かして安く売ることで競争力を高める」という反論があるかもしれませんが、コストを重視する農家は一般品種を自家採取するでしょう。何せ無料なのですから、外資企業がどれだけ安くしても太刀打ちできません。

「外資企業が開発した品種を食べたら日本の品種なんて低品質で食べられない」と陰謀論者は主張しているわけですが、そもそも今回の法改正は『日本の種苗の海外流出を防ぐ』ことを目的としており、日本の種苗の品質は高いのです。

さらに言えば、高品質な種苗は必ずしも巨大資本を持つ企業しか開発できないわけではなく、韓国に流出してしまったイチゴ『章姫』や『レッドパール』の育成者権者はいずれも個人(それぞれ別人)です。

種子ビジネスで利益を出しやすくなれば企業だけでなくこうした個人の種苗家も開発に注力しますから、開発者の母数は間違いなく増えることになります。
つまり種苗法改正によって外資による種の独占が起こるなどという主張は論理的に破綻しており、デマと断言できるわけです。