【日米貿易協定】自分の主張を「非現実的」と言ってしまう鈴木宣弘東大教授 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

鈴木宣弘教授って誰?と多くの方は思うでしょうが、TPPや日米FTAについて調べていくと農業関連で必ず目にするのが山田正彦元農水大臣とこちらの鈴木宣弘教授です。
山田正彦氏の試算が無茶苦茶であることは過去記事で紹介しましたが、こちらの鈴木教授も中々です。鈴木教授は農業保護の観点から、日本の農産物が高いのは品質が高いからで、日本人は高くても「日本プレミアム」の商品を買うと主張していました。
以下抜粋
「『品質差を考慮すれば、我が国の食料は高くない』ことは、日本の人々も、うっかり勘違いしています。
例えば、スーパーで国産のネギ一束が 158 円、外国産が 100 円で並べて販売されている場合、これを、158 円の国産ネギに対して外国産が 58 円安いとき、日本の消費者はどちらを買っても同等と判断していると解釈しますと、この 58 円分が国産ネギの「国産プレミアム」です。これは品質向上努力の結果であり、保護の結果ではありません。しかし、国際的には、この 58 円が「非関税障壁」として保護額に算入されてしまうのです。
また、欧米に滞在した日本女性は、最初、大きなスーパーで青果物が安いと喜びますが、近所にオーガニック等を中心に鮮度が高く高品質で日持ちのするものばかりを売っている店があると、値段はむしろ日本よりも高いくらいなのに、そこでしか買わなくなるというような傾向があります。これが日本人なのです。

ところが、日米貿易協定に関する日本政府の試算については「日本の農産物は品質がよいので輸入品との代替性が非常に低いと仮定されている」という点が非現実的と堂々と言っています。非現実的も何も、ご自身が「これが日本人なのです」とまで言ってそう主張されていたんですけどね。
日本の農業保護率が低いと主張する際には「日本の農産物は品質が高いから、外国産より安くても日本人は買う(だから農業保護じゃない)」と言いつつ、関税の議論の際には「『日本の農産物は品質が高いから外国産が安くても日本人は買う』というのは非現実的(だから関税が必要)」であると、真逆の主張を堂々と表出する。
まさに既得権者の代弁者という感じですね。

我々は専門家の意見をどうしても重要視します。それ自体は仕方のないことですし正しい場合も多いのですが、「専門家が言っているから」で思考停止するのではなく、自分で調べることも大切です。