TPPと遺伝子組み換え作物 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

日米貿易協定の発効がほぼ確実となり、遺伝子組み換え作物などに対する懸念(と言うより陰謀論)が一部で再び持ち上がってきているようです。
アメリカも交渉に参加していた協定としてはTPPが記憶に新しいと思いますが、TPPでは遺伝子組み換え作物についてどのように規定されたでしょうか?

TPP第二章・第二十七条
現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易
1締約国は、現代のバイオテクノロジーによる生産品の貿易に関する透明性、協力及び情報交換の重要性を確認する。
2この条のいかなる規定も、締約国が世界貿易機関設立協定又はこの協定の他の規定に基づく自国の権利及び義務に基づいて措置を採用することを妨げるものではない。
3この条のいかなる規定も、締約国に対し、自国の領域において現代のバイオテクノロジーによる生産品を規制するための自国の法令及び政策を採用し、又は修正することを求めるものではない。

と規定されています。誤解されがちですが、TPPでは現代のバイオテクノロジー(当時は遺伝子組み換え作物がメイン)についての規制緩和は一切規定されず、それどころか『規制を設けても構わない』と条文に明記されていました。今ではゲノム編集食品も「現代のバイオテクノロジーによる生産品」に該当するでしょうね。

そして日本は2023年から遺伝子組み換え作物表示を厳格化することを決めています。

現行では遺伝子組み換え作物(以下GMと記載)の原材料が流通過程で意図せず混入するケースを想定し、混入率が5%以下なら「GMでない」「GMでないものを分別」と表示することを認めていますが、改定案では5%以下の表示を二つに分けて「GMでない」と表示できるのは不検出時に限定されます。なお5%以下の場合は「GM原材料の混入を防ぐため分別管理された大豆を使用」などの表記を認めます。
というわけで、生産~流通~加工まで管理され遺伝子組み換え作物が混入する余地のない物を「遺伝子組み換え作物不使用」。5%以下の混入率のものを「分別管理」。それ以外のものは現行通りと、遺伝子組み換え作物不使用表示の基準が非常に厳しくなります。
これまで5%という基準が緩すぎると批判していた勢力もこれなら安心・・・と思いきや、一部の方は「厳しすぎて事実上機能しない」と斜め上の批判をしています。上記の通り、生産~流通~加工までしっかり管理されていれば混入する余地はないのですから、厳しくなることに何も問題はないと思うんですけどね。
まぁこれらの方々は政権の非難が仕事であって内容は二の次なのでしょう。
公的医療保険や遺伝子組み換え作物など不安を煽るだけ煽って反省も訂正もしない煽動者には困ったものですが、だまされないように自分で根拠を確認する癖をつけたいものですね。