緊縮財政という言葉の定義 | 上下左右

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台湾の早期TPP加入を応援する会の代表。
他にも政治・経済について巷で見かける意見について、データとロジックに基づいて分析する・・・ことを中心に色々書き連ねています。

これほど定義不明のまま広く使われてる言葉も珍しいのではないでしょうか。
緊縮財政があれば当然拡大(積極)財政もあり、中間である標準財政もあるはずですが、この『標準』を図る指標はいったい何なのでしょう?
いくつか指標を挙げて日本の状況を確認してみましょう。

<国際比較>
①国民負担率(国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担の割合)
◇OECD34ヶ国中軽い方から数えて8位
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/238.pdf

②公債依存度(歳出額に対する公債発行額の割合)
◇主要国中1位
https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/basic_data/201804/sy3004z.pdf

③GDPに占める公共投資の割合
◇主要国中1位(韓国、スウェーデンは主要国にカウントせず)
http://honkawa2.sakura.ne.jp/5165.html

以上、少なくとも国際比較(主要国との比較)においては日本は全くの緊縮財政ではありません。

では何を指標にするのでしょうか?
インフレ率の低迷やデフレギャップが解消しないうちはどれだけ財政支出を行っていても緊縮財政なのだ、ということなのかもしれません。

MMTerがしきりに主張するようにインフレ率を指標にすると、言うまでもなく消費税を引き上げたときに消費者物価指数は上昇するので、消費税の増税こそ積極財政政策という意味不明なことになります。

ではデフレギャップ(GDPギャップ)はどうでしょうか?
GDPギャップを見ると、日本は2017年からほぼデフレ脱却を果たしています。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2019/0913/1227.pdf

論理的に突き詰めると日本が緊縮財政というのは単なるイメージであり、データに基づいたものではないということになります。
イメージに騙されないように注意しましょう。