故郷〜カナンの祈り? | いつか旅立つ日が来たとしても

いつか旅立つ日が来たとしても

ひとりと一匹と、その日々のこと。

オレには、もう故郷と呼べるモノがない
借家だった実家は、昭和の長屋で、
地主が代替わりした時、土地ごと
売却された。
売却先は現状維持するつもりはなく
更地にすることになった為
やむなく退去することになった。

その後、昭和の長屋は取り壊され、
その場所は、もう、小洒落た
マンションになっている。

施設に移った両親も、もういない。

生まれた町といっても、そこにはもう
オレの人生の根など存在しない場所だ。

帰るたびにホテルに泊まる街など
もう故郷では、ないだろう。

立ち退き騒動で、大変だった頃
おまえが、オレの故郷の方角を
ひたすら見つめ動かなかった事が
ある。

呼びかけても、こちらを、チラッと
見て、視線を戻してしまう。


あの時、おまえは、何かを睨んで
いるようで
同時に、祈ってもいるようで、
戦ってもいるようだった。
その姿が今も忘れられない