年に一度のーその3 | いつか旅立つ日が来たとしても

いつか旅立つ日が来たとしても

ひとりと一匹と、その日々のこと。

バスに揺られること10分。

かかりつけの病院に着く


バス停のすぐ向かいに病院はあるのだけど、周辺に横断歩道がなく幹線道路沿いなので、車の通行量が、ハンパではないので、毎回、横断にひどく気を使う。

とっさの場合に、走れる状況ではないし

おまえを巻き込みたくもない。

 

病院は平屋で、入り口から入ってすぐに

待合いがある。

すでに先客がいることが、ほとんどで

それが、おまえにとっても災難になる。

 

奥から治療中の犬の鳴き声や

待合で不安そうに鳴く猫のなかで

おまえは必死に気配をころすのだけど

それでも、目ざとい一匹が、挨拶がてら、ケージの臭いを嗅いできたりするものだから

 

相手は友好的なのだけど、おまえは必死に

「ここには誰もいません」といった体で

ケージの中で鳴き声もあげず

体を硬くしている。

 

そのうち順番が来て、診察室に入る。

いつもオレはワクチン接種の他に

簡単な触診も依頼している。

 

この病院でのおまえの評価は

「手のかからない、いい子」だ。

ケージから出るときには、若干抵抗するが

その後は注射から触診まで、されるがままで保定もいらないからだろう。

 

聴診器であてたときだけが

心臓の鼓動が早すぎて診断にならず

とにかく雑音がないので、大丈夫だろう

というおおまかな判断になってしまうのが

難点だった。

 

終わると、おまえは、あれほど嫌がったケージに自ら入り、

「早く帰ろう」

と、オレに目で訴えてjくる。

 

オレも

「そうだな、早く帰ろう」

と目で答える

 

 

今は、おまえが、嫌がっても

レントゲンを撮るために

全身麻酔が必要だったとしても

年に一度は、キチンとした健康診断を受けさせる

べきだったんだろうと思う