二匹目の飼い猫が旅立った。茶トラで耳の切れた桜猫だ。うちのマンションに以前からいついていたが、うちの前の白猫が亡くなったのと、自分がさほど若くなくなったことを察知して、2017年の末頃「俺を飼ってくれ」と、うちに申し入れに来た。口内炎の治療で全抜歯したり、目に穴が開きそうになる危機を乗り越えたりといろいろあった。爪が抜けて化膿したこともあった。私はその猫が息を引き取る瞬間を見届けた。動物が死んでいく瞬間を見たのは初めてだった。
この夏ごろ、私自身が難病を患っていることが発覚し、生活は激変した。この件についてはいずれ詳しく記事にしたいと思う。とりあえずは猫の死だ。
11月上旬、猫の腹に膨らみがあることに気づいて、夫に医者に連れて行ってもらった。私は自分が医者に行くのすら夫に連れて行ってもらわないといけない身体になっていた。診断の結果、100%ではないが悪性腫瘍の可能性が高い、その場合は大きすぎて既に手の施しようがない、とのことだった。前の白猫は胃ろうして一か月後に亡くなった。私は胃ろうしたこと自体が間違いだったのではとずっと思っていたので、豆助(茶トラの名)は肉片を切り取る病理検査や無理な延命治療は行わないことにした。豆の癌は日に日に大きくなっていったが、本人は意外と元気で、抗炎症薬をまぶした刺身を毎日食べさせた。豆は刺身が大好きだった。るん(先代の白猫)もだけど。
その一週間後あたりから急激に衰えた。きっかけは歯ぐきからの大出血だ。もともと白血病持ちだった。病院で縫合したが、翌日また出血。相当量の血液が失われた。夫はリモート勤務や早退を利用して猫を病院に何度もつれていった。妻と飼い猫両方が重病で、夫ひとりにのしかかった。
金曜日、夫が出勤した。猫は相当弱っていた。やがて歩くこともままならなくなり、寝たまま猫ベッドの上で排便すると真っ黒な液体が出た。ベッドに敷いていたタオルを取り換え、息が荒くなった猫を横たえた。私は豆が目を開けたまま怖い顔で死んでしまうのがイヤで、硬直が始まる前に目を閉じないと、と焦った。
今になって思うが、豆が病院ではなく、うちで私に看取られて旅立ったのは良かった。
土曜日は枕元にお花を置いて、保冷剤をタオルにくるんで猫ベッドにいくつかおき、豆と三人でうちで過ごした。土曜日ペットの火葬場が予約で埋まっていたせいだが、1日お別れの時間をもてたのは良かった。日曜日に夫が豆を火葬場に連れて行き、前の白猫同様、遺骨をパウダーにしてきた。私は当然立ち会える身体ではなく、家で夫と豆の帰りを待った。豆が死ぬ前の数か月間はそれ以前ほどには構ってやれず、一緒に寝たりすることもなくなっていた。申し訳なさと後悔が募る。なんでこんな病気になってしまったんだろう。担当医には、
「原因不明だから難病なんです」と言われた。
るん(先代の白猫)は闘病・介護期間も長く、てんかんも何度か起こして長いこと意識も混濁しており、私は心身ともに疲れ果てていた。るんはたまたま病院に預けている時に亡くなったが、その知らせに正直ほっとする部分があった。るんは病院で胃ろうの装置を外してきれいな体にしてもらえた。るんは病院で亡くなってよかった。
そんなるんとは違い、豆はつい最近まで元気だったのが、ほとんどあっという間に亡くなった。そうやって死なれると寂しいものだな、と夫婦でうなずきあった。豆は私が自身の病気で構わなくなっていたせいか夫により懐くようになり、夫がお風呂に入るとドアの外で待つという習慣ができていた。夫は豆が夫に近づいていくと煩わしそうにしていたのに、今は本当に寂しそうにしている。
猫のいない家は掃除が楽でいい。前の時も思った。でも寂しい。時々テラスからいつものように帰ってくるんじゃないかと本当に思えて涙があふれてくる。今これを書いていても泣けて仕方ない。申し訳ないがるんのときにはこういうことはなかった。単純に死に方の問題だ。あと私が病んでいるというのも関係あるかもしれない。
豆の死を目の当たりにし、やっぱり私の病気も良くならないんだ、と落ち込んでいた翌週、通いの大学病院に行ったところ、
「よし、ここからはリハビリです。ガンガン運動しましょう」
と、ほぼ寝たきり&ひきこもりの私に意外な宣託が下った。運動なんてそんな無茶な、といったあたりだが、というわけで以後不自由な身体ながら、ほぼ毎日外に出て家にいるときも、なるべくベッドにいないようにしている。全くしなくなっていた料理も細々と再開した。
豆がいなくなり、夫婦二人の生活はうす暗いものになった。私は健常者には遠いし。だからといって次に猫を飼うとしたら、私自身が猫を病院に一人で連れていける身体になっていないといけない。ペットは時間的、肉体的、精神的、金銭的にとすべての面において余裕のある、責任能力と覚悟のある世帯しか飼ってはいけない。
「元気な若い猫を飼えばハナちゃんも元気になるよ。病院は俺が連れてくし」
やはり猫が欲しいのか、夫よ。でも今のままでは飼われた猫がかわいそうだし、夫もそうは在宅勤務になれないし(仕事に差し支えるわ。ただでさえあたしの病院送迎で在宅増えてるのに)、掃除も猫がいるのといないのでは倍以上労力が変わる印象だ。やはり私が今のままではペット同居は見送るべきだろう。るんと豆の間も一年以上空いているし。喪に服する期間は必要だ。
※当初メスと勘違いしていてこの記事↓ ちなみに「豆助」という名前はマンションの管理組合に「飼い猫証明」を提出するよう迫られ、今年に入ってつけたものだ。それ以前はニャーとか猫とか適当に呼んでいた。「豆助」以前につけた名前は一つも定着しなかったが、豆はすぐに定着した。実は先代の「るん」も同様で、最初に病院で登録された名前と亡くなって焼き場で書類に記入した名前が違っている。
※るんが亡くなった時の記事
※二匹の猫の話はコチラ(カテゴリ猫・ペット)
★今週の出来事★
12/19 サッカーワールドカップカタール大会閉幕。最後のW杯とされるメッシ(35)擁するアルゼンチンが決勝で前回王者フランスをPK戦の末下す。得点王は23歳フランスのエムバペ。MVPはメッシ。日本はグループリーグでドイツ、スペインを下すも決勝リーグでモドリッチ擁するクロアチア(三位)に敗れベスト8進出ならず。というわけで総合順位は最終的に9位とFIFA発表。三苫、堂安らの活躍が注目された。
なおこの大会はアベマが全試合、中継・アーカイブまで含めて無料配信を行った。本田圭佑の偏ったw解説も話題に。引きこもりの病身にはありがたかった。TVstick買っててよかったと改めて思った。

