1994年アメリカ。ウディ・アレン監督作品。サクっと呑気に見られるウエルメイドな大人向けコメディ。
 コットン・クラブ華やかなりし、禁酒法時代のブロードウェイ。シェークスピアやチェーホフ、イプセンなど偉大な劇作家のあとに続くつもりのジョン・キューザック。大衆受けする作品を書かないのでスポンサー探しに苦労している。そこに現れたのがギャングの大ボス。条件は自分の愛人であるショーガールのオリーブ(ジェニファー・ティリー。すんごいいい芝居してる)にいい役を与えること。オリーブはボスの部下たちからすらバカにされている頭の弱い下品な女だった。素人を自分の作品に出演させるなんて、と難色を示すジョンだが、同時にかつての大女優(ダイアン・ウィースト)も出演するという。過去の権威に弱いジョンは敬愛する「本物の大女優」の出演に気をよくしてボスの条件も飲むことに。ダイアンは女優としての実力、実績、脚本を読みこなす能力とその表現力については申し分なかったが、普段から芝居がかった女だった。一方スポンサーであるところのボスは稽古中に"素人"のオリーブが冷や飯を食ったりすることのないよう、部下のチーチ(「ユージュアル・サスペクツ」にも出ていたチャズ・パルミンテリ)をお守り役につける。「バカ女」のボディーガード役が不満なチーチだが、彼こそが本物の”作家”だった。

 ウディ・アレン監督作品は数々あり、全部を見ているわけではないが、これは良作のひとつだと思っている。テンポがよくて、特に前半がいい。その昔恵比寿の映画館で見たねえ。「アニー・ホール」がウディの作家性を最も強く示したとんがった作品だとしたら、こちらは多くの人に開かれた娯楽作。ブラック含めたユーモアがたっぷりだ。ジョンの脚本を読んだオリーブが「悲しい話ね」「悲劇だからね」「あたしに話を明るくするアイデアがあるの」。時間も約100分と娯楽映画の理想。役者も芸達者ばかりをそろえ、やたらに役者をアップにしないカメラもいい。あたしはやっぱり「空間」を捉えた画が好き。脚本、監督賞、助演男優賞(チャズ・パルミンテリ)、助演女優賞(ジェニファーとダイアンの二人)とオスカーの候補になったけど、この年は他に「フォレスト・ガンプ」「パルプ・フィクション」と豊作の年で受賞はダイアン・ウィーストのみだった。それこそベテラン女優だけど、とにかくジェニファーの巧さが光っている。あたしの知る範囲では、この第67回のオスカーが一番豊作の気がする。
 それにしてもあたし、昔見た映画のリピートばかり。見たことのない作品にチャレンジしても退屈で挫折してばかりいる。WOWOW等で新作を見る予定はあるので、期待したい。
 

※さほど面白くなかったけど、この映画と舞台になる年代が近い↓

 

※「罪と罰」がモチーフなので暗めの話ではあるが見ごたえあり。


※暴力が苦手なあたしだが傑作のひとつ。

 

※これもツッコミどころはあれどいい映画。