2016年イタリア。原題はPerfetti sconosciuti。英語にするとPerfect strangersで、「全然知らない人たち」ということになる。
友人たちでホームパーティを催す。ほぼ全編この居間が舞台で、もしかして元ネタは舞台なんじゃないだろうか。参加者は家主の夫婦(年頃の娘アリ)にその友人夫婦(夫の母と二人の幼い子供が同居)、婚約中のカップルにバツイチ男性ペッペ。このペッペの新しい彼女のお披露目もパーティの目的の一つだ。ペッペの元妻のイマイチぶりを知る三組のカップルはどんな女が来るのかと楽しみにしていたが、急な発熱とのことで欠席。ペッペはひとりで現れた。結果7人で食卓を囲むうち、その場にはいないディエゴ夫妻の話題になる。若い女と浮気している夫のメールを見た妻が実家に戻り、離婚に発展しそうだ、と。その話に端を発し、全員の携帯を見せ合うという余興が始まってしまう。拒否すればパートナーには言えない秘密があると断定されかねず、全員がスマホをテーブルに置く。時間内にかかってきた電話にはスピーカーホンで応対し、メール、メッセージ等は全員にさらさなくてはならない。結局ほぼ全員の秘密が暴かれることとなり、「知り過ぎて退屈なくらい」長年親しんできたはずの友人たちの全く知らなかった一面がさらされていく。
さして面白くなかった。何が原因って、いろんな紹介文を読むとコメディとあるがウソ。ところどころクスっとなるところはあるが、基本的にシリアスで深刻な展開になっていく。設定上リアリティを追求すればそうなるよな。というわけでコメディを期待してみたこっちにとっては全然期待外れ。なんじゃこら、全然面白くない。こういうパターン、映画の宣伝ではしばしばみられる。配給会社は軽快・爽快な映画です、みたいな紹介しておいて、制作サイドは全然そのつもりがないっていう。配給会社の良心が壊滅しているパターン(ex「マネー・ショート」)。余計映画見なくなるわ。敢えてジャンル分けするならサスペンスだと思う。
ではコメディというウソ看板を抜きにして評価するとする。中盤までは実によく考え抜かれた脚本で、正統派のサラリとした演出も好みだ。決してデキの悪い映画ではない。しかしいただけないのがラスト。どういう風に着陸させるんだろうという興味は最後まで尽きず見られたが、最終的にガッカリ。あれに納得する日本人いるのかね。中盤までの緻密さからすれば、ラストはお粗末なやっつけ仕事だ。関係が破綻して終わりでいいと思うんだけど。そこでそれぞれ何を思うかできれいに決着できるはず。無理矢理ハッピーエンド風味にするのも、この映画に限った話じゃない(ex「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」)。
ちなみにこの映画の和製リメイクがあるとのこと。東山紀之、常盤貴子主演。こっちもコメディってなってるけど、ほんとかね。
作中にビオワインという言葉が出てきて私はどんなものか知らなかった。添加物を最小限に抑え、有機農法で徹底的に”自然”につくられたワインのことらしい。当然長期保存は効かない。しかしビオワインというものに対する厳密な定義や審査があるわけではなく、ビオワインなんてほとんどウソもののインチキだと思っている向きもあるようなのが、この映画の脚本にも反映されている。
※最近の中国恒大不動産の破綻がリーマン・ショックとは質的に異なるのがこれ見てたのでわかった。
まあ、中国とアメリカで同質の経済破綻って基本的に起こるはずないんだけど。

