1986年。第37作。男はつらいよシリーズは後期の作品に興味が持てなくてスルーしてきたが、志穂美悦子と長渕剛のなれそめ映画が見たくなり見てみた。ちなみにジュリーと田中裕子のなれそめ寅さんは見たことがあるが、あまり面白くなかった(第30作)。
 私が16歳の時の作品。長渕剛の役の設定が本人と同じく鹿児島出身。志穂美悦子は実際は岡山出身だけれど、設定は福岡出身になっている。志穂美悦子は旅芸人の娘で単身上京、長渕は絵描き志望。寅さんの見せ場もなく内容に見応えも特にないが、不快感もないし、そういうのがサラっと(ボヤっと)見たい時には問題ない。特に面白くもないが、二人とも芝居に問題ないし、美保純もいい味を出している。長渕と渥美清のシーンでも、長渕は役者としてさほど見劣りしていない。
 つまりどちらも「大した作品ではない」としているが、ジュリー&田中裕子のほうに否定的なのはなぜか。うろ覚えだが、田中裕子が渋谷のデパートのクリニークの店員かなんかで、渋谷にいる寅さんはもはやコスプレ。浮いている。ジュリーも動物園の飼育員の役だかで、イメージを裏切るキャラクターを狙ったんだろうが、上手くいっているとは言いがたかった。その意味では志穂美&長渕版のほうは「男はつらいよ」の従来通りの世界観で、ド定番の安心感で見られる。
 見所というわけではないが。長渕剛は展覧会に落選し続ける画家志望の青年の役だ。そんなんで中華料理屋のバイトの志穂美悦子と結婚しちゃうのってどうなんだろうと思ったが、そんなことより、
「クズだよ。俺なんて才能のひとっかけらもないクズなんだよ」
 とヤケになるくだりがある。長渕がミュージシャンとして駆け出しのころ、「才能のひとかけらもない」と自信を失った時期があったのだろうか、などとふと思った。どうなんだろう。夫がいうには、自信に満ち溢れて、いかにも売れそうだという印象はなかったとのことだった。
 夫は伊勢正三のファンで、かぐや姫(南こうせつ)についても詳しい。私は結婚するまで正やんの名前も知らなかった。私と夫は7歳差だが、青春時代の音楽となると10歳以上の差を感じる。ちなみに私の中学時代は洋楽ブーム、高校時代はバンド全盛期で、米米クラブ、久保田利伸、レベッカ、BOWY、ブルーハーツ、バービーボーイズあたりが勢いよく出てきた時代だった。私は大学時代B'zを「青田買い」していた世代だ。
 話が逸れた。夫曰く長渕は南こうせつや「かぐや姫」「風」のファンからすると「小僧」だそうだ。なんせ米米CLUBの「シェイクヒップ」、久保田利伸の「TAWAWAヒットパレード」育ちの私としては、気づいたときには長渕は「乾杯」や「とんぼ」を歌っていたが「私の聴く曲ではない」と関心はほぼなかった。そんな私だが、女友達が長渕剛のファンで映画「オルゴール」(1989年)を映画館で見た。コテコテのヤクザ映画で、そういうのが苦手な私はほとんど画面を見ていなかった思い出がある。最近サブスクで「巡恋歌」なんて聴いてみた。確かに聞いたことのある曲だけど、これほんとに長渕の声? と思ったりした。別人。


★今週の個人的出来事★
2/1 新NISAが始まったがそれとは関係なく(悲しいことに)個別株デビューを図る。同日に二つ約定した。ひとつはSBI証券で安価な一銘柄を初めて購入。あとひとつはうちとしては大口のもので、こちらは最新の取引形態を取られた。初めて見た(?)。