私はもはや実家もNGなほど枕が変わると眠れないタイプだし、猫の世話もあるし、生理周期によるホルモンバランスの不調に長年煩わされているしで、さほど泊りがけの旅行に興味はないが、夫が行きたがった。夫はどこかに行きたいが、これといって行きたいところはない。そこで私が結婚以来「死ぬまでに一度は行きたい」と繰り返し言っている日本一のパワースポット、伊勢神宮に行こうと言い出した。夫の急な申し出に戸惑ったが、この機会を逃したら次はいつになるのか。パワスポ好きを自称していながら伊勢神宮未経験はウソだろう。私は生理後22日目からPMS的体調不良に陥る生活が何年も続いている。この時期はギリ平気そうだ、と旅程を組んだら早めに生理になってしまった。日頃の行いの反映なのか。出発する日がちょうど22日目にあたってしまう。しかしこれはレジャーではなく人生のノルマ。もはや気合でアソコに栓する覚悟で予定変更はせず。生理になるのは23日~30日目と幅があるが、二日目に大量に出血するタイミングがある。それにぶつかるのもなかなか悲惨だが、もうなるようにしかならん。「無事お参りできますように」と近所の神社に事前の参拝。お伊勢参りをする前にはそいういう風に事前報告するものと手持ちのパワスポ本にあった。

11月1日日曜日

 朝起きると伊勢神宮を特集した旅番組を放送していた。別の旅番組では虻ちゃんが熊野本宮へ。そしてこの日は大学駅伝。例年熱田神宮から伊勢神宮のパワスポコース。出発前のパワスポづくしに、なんとなく神宮から「ようこそいらっしゃい」と言われているような気分になる。あたしにはそういう思考傾向がある。でもこういう話って聞かされるほうは返事に困るよな。熱田神宮は結婚してすぐに行ったことがある。
 新横浜を昼過ぎに出発する「のぞみ」で名古屋へ。荷物を手でもって電車で行く旅行が久しぶりだ。夫に車で行かないのかと言ったら、
「あんな遠くまで。ハナちゃんが運転するならいいよ」
 新横浜の崎陽軒でシウマイ弁当を購入。夫曰く「これが横浜市民の定番」らしい。860円。高っ。しかし缶チューハイも購入して、早くも旅行の楽しさを満喫。新幹線の時間は夫のスマホにあるアプリ「スマートEX」で自在に変更できた。何度変えても手数料無料でスマホで座席も確認できる。大阪出張の多い夫が愛用しているアプリで、大変便利。行きに帰りに活躍した。
 名古屋に到着。時間的に最も近いJRの快速みえ13号で津駅へ。この快速みえ、意外にも?二両編成で一部が指定席。また通行区間の一部が伊勢鉄道で交通系ICカードの対応区間外。またそれでなくてもICカード対応区間は四日市までで、PASMOで入場した私は車内で現金精算することに。これはこれで新鮮というか懐かしい体験だった。
 津駅駅前でレンタカーを借り、猪の倉温泉ふよう荘へ。関東から伊勢はけっこう遠い。一泊もナンなので、どこか伊勢付近の温泉に一泊して二泊三日のゆったり旅行をと私は思い描いていた。ところが夫曰く伊勢付近に適当な温泉や私たち夫婦が特に行きたい観光スポットがないとのこと。あら意外。その後夫がなんとかみつけたのがこの猪の倉温泉だった。夫に計画丸投げの私であった。私はというとお伊勢参りの段取りを整えるべく、手持ちのパワースポット本を読み直し、内宮・外宮用のお賽銭のお金をピン札(千円×4枚)にし、別宮用の百円玉をたくさん用意するくらいのことだった。やっぱりお伊勢様ともなればピン札を用意しないと。ちなみにこれが正式ということではなく私個人の現在の価値観の反映だ。正宮のひとり千円も、別宮のひとり百円も少ない気がするが、なんせ数が多いので今回はこうした。
 ふよう荘は豪華ではないが小ぎれいで全く問題ない宿泊施設だった。しらさぎ苑という日帰り温泉施設が隣接していて、ふよう荘に宿泊すると入浴券を一枚もらえる。そしてチェックイン時に「GOTOトラベル地域共通クーポン」四千円分をもらった。三重を含む近隣七県(岐阜、愛知、滋賀、京都、奈良、和歌山)で使えるが、利用期間は当日と翌日(11/1と2)のみだ。
 夕飯前にしらさぎ苑で入浴。日帰りの客も少なくない。露天風呂もあって広い。アメニティ等はシャンプー、リンス、ボディソープがあるのみで、ドライヤーはあるがそれ以外は何もない。泉質は透明で少しヌルヌルしている。典型的な「美肌の湯」だ。
 そして宿で夕飯「特別会席白山」。これが美味しかった。こういったら失礼だが、施設から想像するより期待を超えていた。手が込んでいて趣きがあり、そして何より美味しかった。私の口には大変合っていた。結婚後福島県の某温泉地にある、この温泉宿と同等かそれ以上のやや大型の宿で、あまり気持ちの入ってない感動のない夕飯が出てきてがっかりしたことを思い出したが、ここはその逆。あのときは「こういう宿ではこういうものを一通り出しておけばいいだろう」感が満載で、料理人(メニュー作成者)が料理作るの大して好きじゃないんだろうな、というかノルマこなしてる感満載だったというか。不味いとは言わないが味気ない。感動がない。そういう宿も世の中にはあるのに、またまたこんな言い方は失礼だが、こんなところでこのレベルの食事ができるのか、と。他の宿でもここと同等の感動を経験したことはあるが、やはり作り手の料理に対する思い入れを感じられるかどうかが感動/納得の決め手だと思う。「お客様云々」ばかりでなく、「自分は料理人としてこの時期は、この土地ではこれがいいと思う。口に合うかどうかはひとそれぞれだとしても、ぜひ試してもらいたい」っていうのが感じられるかどうか。ほめ過ぎてハードルを上げるのも本意ではないが、量もしっかりあるので、もし今後行かれる予定のある方はしっかりお腹を減らして臨んでほしい。

11月2日月曜日

 朝風呂は6時からで6時に内風呂へ。しらさぎ苑より狭いが、宿泊客しかいなくて落ち着いているし、スクラブとか化粧水とか温泉宿によくある感じの試供品を兼ねたアメニティもあって、こちらのほうがよかった。こっちにゆっくり入る時間を充てればよかった。泉質は当然しらさぎ苑と同じヌルヌル系。
 本日は伊勢でゴルフ。6時半には宿を出てレンタカーで伊勢カントリークラブへ。いつものゴルフの朝同様コンビニで朝ごはんを購入。伊勢カントリーで昨日もらった「GOTOトラベル地域共通クーポン」四千円を利用。とてもいいコースで、おまけにいつもの千葉のコースでは考えられないほど空いていたが生憎の空模様。ゴルフができないほどではないが降ったり止んだりしていた。終わるとほどなく本降りに。この日の宿泊施設、伊勢市駅そばの伊勢パールピアホテルへ。このホテル、大浴場があるのにコロナ対策とかなんとかいって一家族一時間千円で貸し切り予約制。早いもの勝ち。それ以外に不満な点はなかったが、これは印象悪かった。私はジムでも風呂に入ってるけど、今時そんな入浴施設ある? おまけに千円取るのかよ。ゴルフ場でお風呂に入ってきたからいいようなものの、朝大浴場にサクっと入りたいよな。夫曰く、近くで大浴場のあるビジネスホテル系の宿は満室だったらしい。このGOTOキャンペーン、高くていい宿から売れて行っているそうだ。このホテルでは例の「地域共通クーポン」を三千円もらった。
 レンタカーを24時間で返却する設定にしているのでチェックイン後、ホテルで傘を借りて近くのトヨタレンタリースへ。ホテルに歩いて戻り、クーポンを使える近隣の居酒屋をスマホで探し、「満船屋」という駅の反対側にある海鮮系居酒屋で夕飯にすることにした。満船屋HANAREという店と隣接しており、HANAREと隣(本店?)でメニューが違うのか、と聞くと「ほとんど同じ」との回答だったので座敷のあるHANAREへ。ヤイトガツオの刺身を初めて食べたが、ブランド鯖「松輪サバ」を思い出す食感と味。一般的なカツオの生臭さがほとんどなく、トロに近い味わい。ただまあ、松輪サバのほうが「トロ感」は上か。他にマグロの胃袋のポン酢(あたしは臓物系が好き)、マグロカツなどを食べた。私は揚げ物全般がさほど得意でないが、マグロカツはほぼレアが衣をまとっていて美味しかった。この店に明日食べる予定の伊勢うどんとてこね寿司もあったので注文。麺が太くて柔らかく、甘辛のタレがからんだ伊勢うどんはおいしかったが、関東圏にはない味わい。美味しいけどハマる感じではないかな。夫曰く「すき焼きの締めのうどんの味」とのこと。ただ翌日に食べたおかげ横丁の伊勢うどんより、こっちのほうが明確に美味しかったのは事実。てこね寿司はいわゆる漬け丼なので、美味しいが予想のつく食べ慣れた味。二人で一万円弱飲み食いして、三千円のクーポンで一部支払い。「満船屋」にも期待以上の満足を感じてホテルに戻り、途中のコンビニでポテチを買うという旅行中ならではのデブ行動を取った。

 後編「参拝篇」に続きます。

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