バイオレンスがダメな私。しかし恐る恐る見た「極道の妻たち」がとても面白かったので、もしかしたらコリャいけるかと最近「仁義なき戦い」を録画してみたが、ものの10分としないうちに脱落。ありゃあかん。ああいうドロ臭い暴力ものダメ、あたし。
フィクションにおける表現としてのバイオレンス・アレルギー(拒絶反応)が過剰なまでに私にあるのは周囲も承知している。映画「カメラを止めるな!」を劇場でみた友人が「血がすごいよ。あんたダメでしょうね」と言っていたが、ああいうのは平気だ。全然。日テレで放送したのを見たが、後味もよく特に後半(当然だが)楽しめた。「バイオレンス」は皆無だしね。活き活きとして、とても楽しい作品だった。家族で楽しめる内容。つくりとしては三谷幸喜の「ラヂオの時間」が近い。
そんな最近の「私とバイオレンス」だが、30歳のコッポラがその天才を発揮した映画を10年以上ぶりに見た。私は20代からこの映画を数回見ていてその天才に打ち震えていた。この映画の暴力だってナカナカだけど、やっぱり見せ方が美しい。充分怖いんだけど。他の映画とは美意識が全然違う。
久しぶりに見た感想。五大ファミリーが会合を催すシーンで、なぜドン(マーロン・ブランド)がバルジーニが黒幕だと思うのか毎回わからないでいたが、48歳になった今見るとそれがわかる。これに自分で驚いた。どの発言がということではない。状況と会議の運び、ソニー(ジェームズ・カーン)に息子を殺されたタッタリアの態度(人物)等総合して、「漁夫の利」を狙う大物バルジーニが鮮やかに浮かび出る。ドンが理屈(状況)と感覚を総合して確信したのがわかった。数回見ているにもかかわらず、若い時のわたしはなぜそれがわからなかったのか。理屈っぽくて思い込みが激しいからだろう。バルジーニの台詞の中に具体的にそれを暗示する言葉があるに違いないと思い込んでいた。そもそも事の発端は麻薬に関する利権争いだ。
この映画は恐ろしくもかっこいいシーン(映像)が満載だ。父親を護るため、小さな花束をもつ市井のパン屋に「フリ」を促すマイケル(アル・パチーノ)。この一連のシーンの緊張感もたまらない。初めてファミリーの仕事に実際に着手するマイケルがトイレから出ていくときに髪をなでつけるうしろ姿を映すシーン。凡才ならここで必ずマイケルのアップにする。要は距離感だ。アップってうるさいばかりでつまんなくない? テレビドラマ(や映画の凡才)はやたらに多用するけど。最後クライマックス、洗礼の儀式と一斉粛清を同時に見せるカメラワークとその編集、長男ソニーをハメた娘婿カルロが殺される車のフロントガラスのシーンなど、今の映像クリエイターにパクってほしいシーンが満載だ。この感覚を私は映像クリエイターに求めている。でも前半でルカがソロッツォに殺られれるシーンはNGだわ。ああいうのはあかん。あれは私としては「仁義なき戦い」的カテゴリーに属する。
久しぶりに見たので忘れているシーンがけっこうあった。冒頭のドンのシーンは覚えていたが、ドンが膝の上に猫を乗せているのに初めて気づいた。こういう風に猫が出てくると、まあまあ猫が嫌がっているのがわかるパターンがテレビドラマなんかではよくあるが、この猫は本当にドンに懐いていてかわいかった。シーンの内容はもちろんかわいくないが。結婚後に猫と深い関係をもつようになったので、やたらに目が行く。そして名曲として知られるテーマ曲。すんごいいい曲なのに、布施明の歌う日本語歌詞が思い出されて台無しになる。布施明に罪はないが、そもそも歌詞のない西洋クラシックの名曲とかに日本語乗っけるの本当に止めてほしい。
話は「カメラを止めるな!」に戻るが、あたし的にハマった台詞。マジ個人的なアレなんで。
1. 監督「早い、安い、質はそこそこ」。プロデューサー「頼もしいね」。
この女プロデューサー、飛び道具的な役者でずるいが、ドはまり。「熱々ポイント」って。
2 監督夫人「ダメ、それはダメよ・・・ダメよ・・・」
このときのしゅはまさんの表情がたまらん。日本エレキテルも彷彿させる。
4. 監督「何で嘘になるか教えてやろうか。お前の人生が嘘ばっかりだから。嘘ついてばーっかりだから!」
「最高かよ、ビンビンだぜ」
5. メイク役「出番だっつってんだろが、このクソガキ。聞こえねえのか、さっさと行け!」
6 監督「考えすぎは、よくないよ」
7 女優「何なんですか! もういや~!!」
他にもちょこちょこあるけど、とりあえず。主演のひとり、しゅはまはるみさんは特によかった。いろいろ使い勝手のありそうな女優さんだ。
にしても、撮影の現場って、それこそロマンチックとは程遠い状況でロマンチックを役者は表現しなくちゃいけないっていうのがよくわかる映画だった。役者スタッフ各自がプロフェッショナリズムに則った地道な作業を繰り返すのが撮影だ。つまりあたしが苦手な腕切り落としたり、手の甲にナイフ突き刺したりするのも、「カメ止め」的に一生懸命な作業によって作られているのは重々承知しているんだけどね。でも本物じゃなくて作りものだからこそ、その演出意図が余計にイヤってあるわよ。
※映画「極道の妻たち」はコチラ。