今年3月中旬、親に連れられてこの「四日市教室」を見学に来たその男子生徒は、フードを頭からかぶり携帯にだけ視線を置いていました。
電話を受けたときは、時期が時期だけにかなり切羽詰まっているのではと予想したのですが、追い込まれていたのは親のほうで、それとは対照的に、本人はだれにも自分の気持ちを覗かれたくないといった様子でした。
親にしてみれば、何とかここまで連れ出してきたけど、子どもがここを気に入ってくれるか、いや、そもそも本当に家から出てここに通学することができるのかという不安でいっぱいだったと思います。中学校にほとんど登校できていない事実を考えるとその心配はよくわかりました。
では本人はどうか。話をする親の後ろでぎこちなく携帯を見つめてすわっているのを見て、私は『顔はこちらを向いてないけど、気持ちはこちらへ向けようとしている』と直感しました。でも私は「はじめてのところへよく来たね」とだけ言って、通信制高校のシステムの説明を手短に行いました。
あとで本人とゆっくり話をしようと思いながら、教室見学に移ったとき、ずっと下を向いていた彼が、教室を見るために少し顔を上げました。私はその表情がとても柔らかいのに気づきました。なぜか私は『今日はいきなり彼の心に入っていくのはやめよう』と思いました。最後に「週に1~2回来て、いっしょに学べるといいね」と言って終了しました。
そして入学。以来、「休みがちになるかもしれませんが・・・」という親の心配はもう必要ない状況です。中学校のころの空白を埋めながら、習ったことがあるかもしれないというかすかな記憶を呼び起こしながら、ゆっくりと着実にレポート学習は続いています。
「わからん。うざい。めんどくさい。」という彼のお決まりのセリフはいつも小声ですが、この頃はとてもうれしそうです。その言葉が今後どんなものに変わっていくか私は楽しみなんです。
中学校、ほぼ皆欠席、 現在、ほぼ皆出席。
これでいいんですよね。
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