普段は特に関心のない「東京JAZZ」というイベントにこの年足を運んだのは、勿論伝説のスライ・ストーンと、前年のライヴが素晴らしかったサム・ムーアを観るためでした。
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東京JAZZ 2008のサプライズ・プログラム、何とスライ&ファミリー・ストーンが遂に日本の土を踏んだ。それも3人のオリジナル・メンバーを擁して。
もっともこちらはスライのステージには全くはじめから期待はしておらず、ただ人間国宝を拝みに行ったようなものだったので、どんなにヒドイ展開になっても構わないという覚悟はあった。
だからバンドが3曲目の演奏に入ろうとしたところで気まぐれに登場し、キーボードを弾くでもなくただ撫でまわすようにしながら、イスに座って子供のようにグルグル廻り、気が向くと歌い、立ったかと思ったら少しステージの左右を行き来したあと、聴衆の望む曲はおおかたやったことだし、30分ステージに居れば自分の役目は終わりですとばかりにアッサリとステージを去る....という客をバカにしたパフォーマンスであっても、特別腹も立たなかった。
今回のステージは、むしろファミリー・ストーンを名乗るバンドのスライを気づかいながらも繰り広げた熱演ぶりにむしろ感心したくらい。
1969年にウッドストックの聴衆を熱狂させた"I Want To Take You Higher"は、スライ本人がステージに居た時と、彼のいないアンコールとで、二度演奏されたが、スライのいない時の方が遥かに高いところまで連れていってくれた。あそこにサム・ムーアが客演し歌ってくれたら...なんて願いもしたが、さすがにそれはかなわなかった。
当日そこで一緒になった友人たちとも話していたが、あれはSly & Family StoneではなくFamily Stone with Slyで、箱入りのスライがオマケでついてきたようなものだったのだと思う。
伝説の人物をこの目で見ることが出来たというだけで充分だ。
やっぱり若いうちに富と名声を獲得していたからこそだなぁと改めて思ったし、誰よりもスライ本人がその恩恵を実感していることだろう。
でも、あんなヨレヨレの痛々しいスライに、何故若い聴衆が熱狂するのか、僕にはよく判らない。それとも、熱狂していたわけではなく、応援とか激励の声援だったのだろうか?
それを思うと、彼等の前にステージに立ったサム・ムーアは、73歳という高齢ながらも、ソウルの美学のようなものを今もしっかりと体現してくれる貴重な存在だ。
本来はこの人こそトリを飾るべきだったと思う。
昨年同様日本人奏者を含むホーン・セクションに、2人から3人になった白人女性に日本在住の黒人女性シンガー:ブレンダ・ヴォーンが加わったコーラス隊を含む大所帯の編成のバンドだが、どうもPAの音が小さいのか、そうした迫力はちょっと伝わってこなかった。
昨年と同じく"Peter Gun"のテーマがバンドで奏でられ、相変わらず出たがりのマネージャー(兼 奥サマ)のMCで「Hold On, He's Comin'」というイントロダクションであの名曲のイントロが流れ、コーラスに導かれてサムが登場というのも特に変わりなし。
でも完成されたショーというのはそういうものなので、僕らはその様式美を楽しめばいいのだし、実際サムのヴォーカルは相変わらずパワフルで味わいもある。アップ・テンポもスローな曲も全てOKだ。
強いて不満を挙げれば、コーラスの白人のお姉さまたちにソウルを感じないことだが、これは前回から既にわかっていることだったし、見た目は3人とも長身でとても華やかなので、それはそれでいいのだと思う。サムさえご機嫌に歌える環境を作ってくれているのであれば。
彼は相変わらずサム&デイヴ時代のレパートリーはほどほどに、誰もが知っているようなソウルのクラシックを次々に歌うが、例えばエディ・フロイドの"Knock On Wood"やベン・E・キングの"Don't Play That Song"なんかは以前聴いた本人たちのライヴよりも良かった。"When Something Is Wrong With My baby?"のイントロかと思わせて"I Stand Accused"なんて意外な曲を歌ったが、これはジェリー・バトラーのというよりは、前者の名曲の作者であり歌手として後者を歌っていた故アイザック・ヘイズに捧げていたようにも思えた。個人的には一番の聞き物だった。
こうなるとやっぱりブルーノートの単独公演もまた見たくなってしまう。で、欲望には忠実にというモットーは今回も発揮され、先程申し込んでしまいました。9/3に行く予定です。
多分開場時間を大幅に過ぎてからの到着となりそうなので、席の期待はできないけれど、国際フォーラムで見るよりかは近いだろうし、迫力も味わえるかな?
最初に出たロベン・フォードは、これまでほとんど耳にしたことはなかったけれど、想像していた以上にブルースっぽくて歌物もあったりして、ちょっと意外だった......でも、個人的に3ピース・バンドという編成があまり好きではないのと、歌はうまくないし、ギターもジェフ・ベックのようなスリルもなければ、クラプトンのような歌心もないので(そんな比較しても無意味なのだろうが)、ただただ退屈で眠くなってしまう。50分くらいのステージがとんでもなく長く感じた。
さて、今まで知らなかったのだが、この東京JAZZという催しは、ホールでの公演だけでなく、様々なイヴェントも行なわれているらしい。
たまたま夏休みに入った頃、渋谷のタワーレコードでセネガル出身のセク・ケイタというコラ奏者率いるSKQのアルバムを試聴して気に入ったので買ったら、同店でのインストア・イヴェントの参加券をもらい、8/28夜見に行った。
彼のコラと歌、女性歌手、パーカッションに、ベース、ジプシー・ヴァイオリンといったメンバーによるアンサンブルで、伝統音楽を基盤にしながらも色々な音楽を織り込んだミクスチャー音楽。
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座ってコラを弾くママドゥ・ドゥンビアと違い、彼は立ってコラを持ち上げ動き回りながら演奏する。ママドゥよりもコラは幾分小さめかもしれない。そこでの演奏も良かったのだが、そのときにスタッフから、彼らが翌29日の夜と31日の夕方に東京JAZZのイヴェントの一環で国際フォーラムの地上広場にて無料のライヴをやるから、是非見に来てくださいと言われた。
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ならばと翌日見に行ったら、やはり屋外で集客も多かったため前日以上に楽しいライヴを繰り広げてくれた。セク・ケイタはコラだけでなく前日には見せなかったジャンベやトーキング・ドラムまで演奏するなど大張り切り。
二日間無料で楽しませてもらった彼のライヴ・パフォーマンス、世の中には僕の知らない魅力ある音楽がまだまだ沢山あることを改めて教えてくれた。
このイヴェントでは他にも色々なミュージシャンが参加していたようで、もっと早めに知っていれば、まだまだ他にも面白いライヴが楽しめたのかもしれない。
2008年9月1日 記
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この日のスライのステージ滞在時間は36分間だったということでしたが、単独公演ではわずか10分少々くらいしか居なかったそうで、それを思えばこの日はまだ大サービスだったことになりますね(^_^;)
あれから早18年、その醜態を晒したスライも、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたサム・ムーアも既にこの世にはおらず、時の流れを感じずにはいられません。


