8月下旬に観た映画 | やせっぽちのヒロシのブログ

やせっぽちのヒロシのブログ

音楽とお酒が大好きです。
趣味は国際交流?(笑)。

8月下旬はあと2〜3本は観たかったのですが、親類の慶事があったり、母の具合が悪かったりで、結局これだけしか観られませんでした。

 

第2次世界大戦末期にドイツから20万人以上もの難民がデンマークに押し寄せた事実をもとに、極限状態に置かれながらも信念を貫こうとする家族の物語を感動的に描いたヒューマンドラマ。
1945年、ドイツによる占領末期のデンマーク。市民大学の学長ヤコブは、敗色濃厚となったドイツから逃れてきた大勢のドイツ人難民を学校に受け入れるようドイツ軍司令官に命じられ、妻リスとともに究極の選択を迫られる。一家がドイツ人を助ければ周囲から裏切り者と見なされて全てを失う可能性があるが、救いの手を差し伸べなければ多くの難民が飢えや感染症で命を落とすのだ。そんな中、ヤコブの12歳の息子セアンは難民の少女と交流を持つが、少女は感染病にかかってしまう。
「アクアマン 失われた王国」のピルウ・アスベックが父ヤコブ、本作が長編映画デビューとなるラッセ・ピーター・ラーセンが息子セアンを演じた。監督・脚本は「バーバラと心の巨人」のアンダース・ウォルター。

2023年製作/101分/G/デンマーク
原題または英題:Befrielsen
配給:スターキャット
劇場公開日:2024年8月16日(以上、映画ドットコムより)


☆デンマークに送り込まれた大勢のドイツ難民、本来は様々な生活のケアはドイツ側の義務であるはずが、当時デンマークがドイツの占領下にあったために、それらは全てデンマーク側に押し付けられるという理不尽な中、難民を受け入れている施設の市民大学の学長ヤコブの人道的な行ないが市民からはナチスを助けるのかと反感を買い、息子のセアンはいじめに遭うという不条理な展開には、何とも複雑な気分になります。

第二次世界大戦は勿論学生時代に世界史の中でも大筋は習うものの、それはあくまでも戦局に沿ったものであり、昨年観た「キャロル・オブ・ザ・ベル」などにも見られるこうした戦争下に置かれた民族間の様々な軋轢については全く知りませんでしたし、こうした大戦末期のドイツ難民についてもこの映画で初めて見識を新たにしました。おそらくそれは私だけでなく多くの日本人が未知な部分でしょうし、だからこそこうした映画はもっと話題になり多くの人に観ていただけたらと思います。

 

戦時下における放送と戦争の知られざる関わりを題材に、プロパガンダの先頭に立ったアナウンサーたちの葛藤や苦悩を、実話をもとに描いたドラマ。2023年8月14日にNHK総合テレビで放送された同名作品を映画化した劇場版。

太平洋戦争中、アナウンサーたちは声の力で戦意高揚を図り、偽情報で敵を混乱させた。1941年12月8日、天才アナウンサーと呼ばれた和田信賢と若手アナウンサーの館野守男は、ラジオで開戦の第一報を伝えて国民を熱狂させる。その後も2人は緒戦の勝利を力強く伝え続け、国民の戦意を高揚させていく。同僚アナウンサーたちは南方占領地に開設された放送局に次々と赴任して現地の日本化を進め、和田の恩人である米良忠麿も前線のマニラ放送局に派遣される。一方、新人女性アナウンサーの実枝子は、雄々しい放送を求める軍や情報局の圧力により活躍の場を奪われてしまう。やがて戦況が悪化するなか、大本営発表を疑問視するようになった和田と「国家の宣伝者」を自認する館野は激しく衝突する。
開戦ニュースと玉音放送の両方に関わった伝説のアナウンサー・和田信賢を森田剛が演じ、実枝子役で橋本愛、館野役で高良健吾、米良役で安田顕が共演。

2023年製作/113分/G/日本
配給:ナカチカピクチャーズ
劇場公開日:2024年8月16日(以上、映画ドットコムより)

 

☆やはり8月ということもあってか、戦争にまつわる新旧の映画の上映が多くなっているように思います。大元のテレビ版は観ていないので、この映画版との違いは全くわかりませんが、おそらくは放送時間の都合上割愛された部分なども加わっている完全版ということなのでしょうか?

こうした実話をもとに描いたドラマの場合、たとえば近年の朝ドラなどでも実在の人物名をあえて使わず別の役名にすることが多いですが、ここではおそらくフィクションは交えずに史実として描くことで、あえて実名にしているのでしょうね。

日本軍や日本政府あるいは庶民の側からでもなく、大本営発表を放送し戦意高揚を煽る側から描いていることで、これまであまり語られてこなかった太平洋戦争の裏側や暗部が垣間見られるということでかなり興味深い作品でした。

しかし今のNHKの政府ベッタリの報道を見ていると、時代は再び繰り返しているような気がしてなりません。

 

1970年代末に韓国民主主義の存亡を揺るがした実在の事件を基にフィクションを交えながら映画化し、韓国で2023年の観客動員数第1位となる大ヒットを記録したドラマ。

1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、国中に衝撃が走った。民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況に置かれながらも、軍人としての信念に基づいてチョン・ドゥグァンの暴走を阻止するべく立ち上がる。
「工作 黒金星と呼ばれた男」のファン・ジョンミンがチョン・ドゥグァン役、「無垢なる証人」のチョン・ウソンがイ・テシン役で共演し、「アシュラ」でも2人と組んだキム・ソンス監督がメガホンをとった。

2023年製作/142分/G/韓国
原題または英題:12.12: The Day
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年8月23日(以上、映画ドットコムより)

 

☆朴大統領が暗殺されたときは私ももう二十歳を過ぎていたこともありよく憶えていますが、かなり衝撃を受けたものでした。そこから軍事クーデターを経て全斗煥政権が誕生するまでの抗争が描かれたこの映画、史実に添いながらも効果的にフィクションを交えたことでかなり見応えのある作品となっていたと思います。

ここでは首都警備司令官イ・テシンを高潔な軍人として中心に描きつつ、全斗煥をモデルにしたチョン・ドゥグァンは自身の野望のためなら手段を選ばない悪役として徹底的に憎々しく描かれていますが、勿論その息詰まる抗争と駆け引きをハラハラして観ながらも結果はわかりきっているので、否が応でもイ・テシンの悲壮感が伝わってきてしまいます。

それにしてもチョン・ドゥグァン(チョン・ドゥファン 全斗煥)役、ノ・テゴン(ノ・テウ 盧泰愚)役のそれぞれの俳優が、そのモデルとなった人たちの雰囲気をよく出していたのにはクスっとしてしまいました。

 

隣室の音が筒抜けの部屋に住む男女が、騒音をめぐるトラブルから恋愛に発展していく物語を描いた恋愛ドラマ。

長年の夢だった歌手になるためのオーディションを控えるスンジンは、苦労してようやく探した部屋で引っ越し初日の夜を迎えた。しかし、その部屋は防音がまったくできておらず、どこからか女性の泣き声が聞こえてくる。声の主は隣室に暮らす女性ラニだった。彼女は壁が薄く防音がなされていない部屋のため、引っ越してきた隣人をあの手この手で追い出していたのだ。しかし、彼女の妨害工作にスンジンはひるまなかった。騒音バトルの末、大きな音を出すときは4時間ずつ交代制にするという条件のもと、薄い壁を隔てて暮らすことになった2人は、互いの日常を共有する中で、次第に微妙な感情を抱いていく。
「アンダー・ユア・ベッド」のイ・ジフンがスンジン役を、ラニ役を人気グループ「KARA」のメンバーで、ドラマ「恋する十二夜」などでも活躍するハン・スンヨンがそれぞれ演じ。

2023年製作/112分/G/韓国
原題または英題:My Worst Neighbour
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年8月23日(以上、映画ドットコムより)

 

☆解説にある「騒音をめぐるトラブルから恋愛に発展していく物語」というのはちょっと違うように思いました。

最近韓流のこうしたラヴコメもよく観るのですが、この作品もユニークで面白い発想からの絶対にあり得ないようなストーリー展開がとても面白く、他の韓流映画同様ツッコミどころ(そもそもが二人のそれぞれが住んでいる部屋は別々の建物であるはずなのに壁は1枚?とか)も色々とありますが、観ていてとても楽しかったです。

そして何よりもラニ役のハン・スンヨンがとても魅力的で、その姉の役をやっている女優もまた大人の女性の色香があって素敵でした。勿論ラストはハッピーエンドとなりますが、そこへ持って行くまでのストーリーの運び方も良かったです。

 

アルツハイマーで記憶を失っていくジャーナリストの男性と彼を支える妻の愛と癒しに満ちた日々を記録した、チリ発のドキュメンタリー。

著名なジャーナリストである夫アウグスト・ゴンゴラと、チリの国民的女優にして同国初の文化大臣となった妻パウリナ・ウルティア。20年以上にわたって深い愛情で結ばれてきたふたりは、自然に囲まれた古い家をリフォームし、読書や散歩を楽しみながら毎日を丁寧に暮らしていた。そんな中、アウグストがアルツハイマーを発症し、少しずつ記憶を失っていく。やがてアウグストは、最愛の妻パウリナとの思い出さえも忘れてしまう。
監督は「83歳のやさしいスパイ」でチリの女性として初めてアカデミー賞にノミネートされ、本作でも同長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたマイテ・アルベルディ。「スペンサー ダイアナの決意」などの監督パブロ・ララインがプロデュースに名を連ねた。2023年サンダンス映画祭ワールド・ドキュメンタリー部門で審査員大賞を受賞。

2023年製作/85分/G/チリ
原題または英題:La memoria infinita
配給:シンカ
劇場公開日:2024年8月23日(以上、映画ドットコムより)

 

☆これも何度か予告編を見ているうちに気になってきて観た映画でした。「83歳のやさしいスパイ」の監督の作品であり、これもドキュメンタリーということも気になった要因でした。ただ、同じ高齢者を扱った映画でも、どこかほのぼの感のあった「83歳〜」に比べると、今回はかなりシリアスというか、夫のアルツハイマーの進行ぶりを見ているうちに切なさややりきれなさのようなものが次第に高まってきて、ポスターの紹介文には「アルツハイマーと闘いながらも、優しさとユーモアを大切に暮らす2人の〜」とありましたが、個人的にはユーモアよりも痛々しさばかりが感じられ、いつかは自分にもこんな日が来るのかもしれないなんて想像してしまい、正直観ているのが辛かったです。

 

テレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本家・野木亜紀子が再タッグを組み、両シリーズと同じ世界線で起きた連続爆破事件の行方を描いたサスペンス映画。
流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔とともに事態の収拾にあたるが……。
主人公・舟渡エレナを満島ひかり、梨本孔を岡田将生が演じ、事件に巻き込まれる関係者役で阿部サダヲとディーン・フジオカ、捜査を担当する刑事役で「アンナチュラル」の大倉孝二と「MIU404」の酒向芳が出演。さらに「アンナチュラル」から三澄ミコト役の石原さとみ、中堂系役の井浦新、久部六郎役の窪田正孝ら、「MIU404」から伊吹藍役の綾野剛、志摩一未役の星野源らが再結集する。主題歌も「アンナチュラル」「MIU404」に続き米津玄師が担当した。

2024年製作/128分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2024年8月23日(以上、映画ドットコムより)

 

☆「アンナチュラル」も「MIU404」も観たことがなかったので、次々に人気俳優が顔見せ程度に出てくることが理解出来ずにいましたが、そういうことでしたか(^^;) いくつか謎のシーンやセリフもありましたが後でそれが物語の伏線になっていたこともわかります。

シネコンの巨大スクリーンで結構前の方で観ていたこともあり、何度かある爆発シーンはかなり体感的にリアルでした。

それはともかく、かなり前から予告編を何度も見ていたこともあり、公開前から興味を持ってた映画です。

ストーリーの緊迫感は勿論ですが、ここで個人的に興味が行ったのは、おそらくはAmazonがモデルなのであろう巨大ショッピングサイトと配送会社との上下関係で、映画の中では本社からのノルマに追われ色々と無理を押し付けてくるショッピングサイトに翻弄される配送会社、過酷な労働環境を使命感で乗り切る配達員、その利便性や価格の安さはそうした方々の様々な犠牲の上に成り立っていることを改めて考えさせられましたし、そういう問題提議があることで単なるサスペンスやパニックものとは一線を画しているように思います。

 

「悪人」「怒り」などで知られる作家・吉田修一の同名小説を江口のりこ主演で映画化し、愛のいびつな衝動と暴走を緊迫感あふれるタッチで描いたヒューマンサスペンス。
初瀬桃子は夫・真守とともに、真守の実家の敷地内に建つ離れで暮らしている。桃子は義母・照子から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うかのように、石鹸教室の講師やセンスある装い、手の込んだ献立といった“丁寧な暮らし”に勤しんで日々を充実させていた。そんな中、近隣のゴミ捨て場で不審火が相次いだり、愛猫が行方不明になったり、匿名の人物による不気味な不倫アカウントが表示されるようになったりと、桃子の日常が少しずつ乱れはじめる。
徐々に平穏を失っていく主人公・桃子を江口が演じ、夫・真守を小泉孝太郎、真守の母・照子を風吹ジュン、真守の不倫相手・奈央を馬場ふみかが演じた。監督は「おじいちゃん、死んじゃったって。」「さんかく窓の外側は夜」の森ガキ侑大。

2024年製作/105分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2024年8月30日(以上、映画ドットコムより)

 

☆このところ出演作が多いのか、それともたまたまなのか、よくわかりませんが、最近やたらと江口のりこをスクリーンで観ているように思います。それもちょっとクセのある役ばかりでしたが、この映画はそんな彼女の真骨頂とも言える作品かもしれません。

彼女に対し何事も無関心な亭主に、一見彼女と程よい距離感を持っているように見える義母との関係、そうした家族から都の逃避先であった職場、それが次第にほころびを見せ始め、一気に平穏を失ってく様が狂気を持って描かれていくところにちょっとホラーめいたものも感じますが、それ以前からやたら色々なものの匂いを嗅いでいた異様さや、特にチェーンソーの匂いに恍惚とした表情を見せる姿はこの人ならではの怖さと凄みを感じました。

それにしても彼女が時折チェックしていたSNSのアカウントがあまりにも夫の不倫相手の行動とピッタリだったので偶然知った相手のものだったのかと思いきや、まさかそれが彼女にとっては因果応報を示すものであったとは...でも、これスクリーン上ではわかり辛かったように思います。あと最初は猫かと思われたピーちゃんも謎のままだったような...?