7月後半に観た映画です。
「神と共に」シリーズのキム・ヨンファ監督が、たった1人で月面探査ミッションに挑む新人宇宙飛行士の奮闘を描いたSFアドベンチャー。
韓国のロケット「ウリ号」は月面の有人探査をかなえるため、3人のクルーを乗せて宇宙へ飛び立つ。しかし月周回軌道への進入を前に太陽風の影響で地球との通信が途絶え、修理のため船外に出たクルー2人が事故で命を落としてしまう。ひとり残された新人宇宙飛行士ソヌを救出するため、5年前の有人探査機爆発事故の責任を取って組織を去ったジェグクが呼び戻される。一方、仲間の遺志を継ぐことを決意したソヌは、月面への着陸を成功させる。NASAの月周回宇宙ステーションが近づくまで48時間、月面探査を成功させて無事帰還を果たすべく奮闘するソヌだったが……。
人気K-POPグループ「EXO」のド・ギョンスが宇宙飛行士ソヌ役で兵役後初の長編映画出演を果たして話題を集めたほか、「ペパーミント・キャンディー」のソル・ギョング、「ユンヒへ」のキム・ヒエが共演。
2023年製作/129分/G/韓国
原題:The Moon
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年7月5日
☆韓国のSF映画は初めて観ました。前半の流れはアメリカのアポロ計画の最初のつまずきから打ち上げの成功を近未来的に持ってきたようなストーリーかと思いきや、打ち上げ後早々にアクシデントが次々に起こり、同乗者2名を相次いで失うというトラブルに見舞われた新米飛行士の主人公がさまざまな苦難に見舞われ、最後にはNASAの力も借りてという展開には、突っ込みどころは満載でしたが、とにかく2時間余り目を離せないスリルある展開が続き、娯楽映画としては最高に面白かったです。
この前観た「密輸 1970」といい、この映画といい、韓流映画の話題作は要チェックですね。
スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムが共演し、人類初の月面着陸にまつわる噂をモチーフに、奇想天外な極秘プロジェクトの行方をユーモラスに描いたドラマ。
1969年、アメリカ。人類初の月面着陸を目指す国家的プロジェクト「アポロ計画」の開始から8年が過ぎ、失敗続きのNASAに対して国民の関心は薄れつつあった。ニクソン大統領の側近モーは悲惨な状況を打開するべく、PRマーケティングのプロフェッショナルであるケリーをNASAに雇用させる。ケリーは月面着陸に携わるスタッフにそっくりな役者たちをメディアに登場させて偽のイメージ戦略を仕掛けていくが、NASAの発射責任者コールはそんな彼女のやり方に反発する。ケリーのPR作戦によって月面着陸が全世界の注目を集めるなか、「月面着陸のフェイク映像を撮影する」という前代未聞の極秘ミッションがケリーに告げられる。
ケリーをヨハンソン、コールをテイタムが演じ、物語の鍵を握る政府関係者モー役でウッディ・ハレルソンが共演。「Love, サイモン 17歳の告白」のグレッグ・バーランティが監督を務めた。
2024年製作/132分/G/アメリカ
原題:Fly Me to the Moon
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2024年7月19日
☆アポロ11号の月着陸という史実に以前から一部で言われていた「実はあれは月からの映像ではなくセットで撮られたもの」という都市伝説を逆手に取ったというか巧みに創作に取り入れ、それも政府筋からの要請でフェイク映像を用意するていう何とも滑稽なストーリー。これもまた途中から話がややこしくなってきたことで、それが逆にツッコミどころとなってしまった感は否めませんが、台詞の端々にハリウッド映画らしい洒落っ気もあり、しっかりロマンスもあり、楽しめました。
ちなみに先の「THE MOON」と同日に観たものでしたが、共に月着陸を題材にした中それぞれのお国柄が作品に現れていて、どちらも楽しめました。
ビートルズが世界的ロックバンドとして成功するまでの軌跡を、活動初期の彼らをよく知る人物たちの証言から振り返ったドキュメンタリー。
メジャーデビュー前は地元リバプールで演奏する小さなコピーバンドだったビートルズは、初代マネージャーとなるアラン・ウィリアムズとの出会いや、ドイツ・ハンブルグでの演奏活動、メンバーの脱退と加入を経て、1962年にメジャーデビューを果たすと瞬く間に人気を獲得していく。
メジャーデビュー直前に突然解雇されたドラマーのピート・ベストが当時を詳細に語るほか、ハンブルグ巡業の興行主アラン・ウィリアムズ、デビュー曲「ラブ・ミー・ドゥ」のレコーディングにリンゴ・スターの代わりに参加したアンディ・ホワイト、初期から「ラバー・ソウル」までのチーフエンジニアを務めたノーマン・スミスら関係者の証言や、当時のテレビ番組のパフォーマンス映像やコンサート映像などを交えながら、彼らがスターダムを上りつめていった道のりを描く。
監督は、数々の音楽ドキュメンタリーやCD制作を手がけたボブ・カラザーズ。
2008年製作/72分/G/イギリス
原題:The Beatles: Up Close and Personal
配給:NEGA
劇場公開日:2024年7月5日
☆これまで個人的にはあまりよく知らなかったメジャーデビュー前のビートルズを当時の関係者たちによる証言はなかなか興味深いものでした。リンゴの前任者ピート・ベストのインタビューにかなり時間が割かれていたけれど、昔のテレビ出演時の映像では「何故脱退したのか」と訊かれ、クビになったとは言わず「自分のバンドを作りたかったから」なんて強がっていたのも痛々しかったですが、歳月を経て自身の感情よりも当時の一員であったことを誇り高く語っていたのが印象に残りました。
ただ、証言者各自がブレイク前のことを語っているのに、ビートルズの映像はもっぱら「エド・サリヴァン・ショー」からというのも何だかな~。
かつてカルト教団としてマスコミからバッシングを受けた謎の集団「イエスの方舟」の真実に迫ったドキュメンタリー。
1980年、東京・国分寺市から10人の女性が姿を消したという報道がなされた。女性たちを連れ去ったとされる集団「イエスの方舟」の主宰者・千石剛賢は、美しく若い女性を次々と入信させてハーレムを形成していると報じられ、世間を騒然とさせた。2年2カ月にわたる逃避行の末、千石は不起訴となり事件は一応の収束を迎える。しかし彼女たちの共同生活は、45年経った現在も続いていた。
TBSに残されていた当時の貴重なフィルムと新たな取材を通して、メディアによって作られてきたパブリックイメージとは全く異なる「イエスの方舟」の女性たちの生き方を映し出す。監督は「日の丸 寺山修司40年目の挑発」などのドキュメンタリー映画で知られる、TBSドラマ制作部所属の佐井大紀。
2024年製作/69分/G/日本
配給:KICCORIT
劇場公開日:2024年7月6日
☆あらゆる宗教に嫌悪感に近い感情を持ってはいますが、こうしたカルトやそれにハマる人達には何故か興味を持ってしまいます。個人的には当時からとてもインパクトのあった事件でしたので、興味深く観ていました。それにしても千石イエスが亡くなってから既に20年以上過ぎた今もこうして団結しコミューンのような生活を続けている信者の方々には驚くばかりでした。
実は観ていてそうした信仰的な部分はあまり感じられなくて、ただ 聖書を勉強しながら何十年も生活を共 にしている女性たちという感じでした。まぁ、それだけでも充分に異様さはありましたけれど。
アメリカの怪奇幻想作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を基に、現代的で斬新な解釈を加えて現実と虚構を交錯させながら描いた心理サスペンス。
1948年、短編小説「くじ」で一大センセーションを巻き起こしたシャーリイは、女子大生行方不明事件を題材にした新作長編に取り組むもスランプに陥っていた。大学教授の夫スタンリーは引きこもって寝てばかりいるシャーリイを執筆へ向かわせようとするが上手くいかず、移住を計画している若い夫妻フレッドとローズを自宅に居候させて彼女の世話や家事を任せることに。当初は他人との共同生活を嫌がるシャーリイだったが、懲りずに自分の世話を焼くローズの姿から執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性にひかれ、2人の間には奇妙な絆が芽生え始める。
ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モスがシャーリイを演じ、「君の名前で僕を呼んで」のマイケル・スタールバーグ、「帰らない日曜日」のオデッサ・ヤング、「ウォールフラワー」のローガン・ラーマンが共演。マーティン・スコセッシが製作総指揮を手がけ、「空はどこにでも」のジョセフィン・デッカーが監督を務めた。
2019年製作/107分/PG12/アメリカ
原題:Shirley
配給:サンリスフィルム
劇場公開日:2024年7月5日
☆シャーリイ・ジャクソンの小説というのは勿論読んだことはありませんが、この人の伝記ということで、描かれている内容も大よそは事実に基づくものかと思いきや、フレッドとローズの夫妻は実在したパーソナリティではなく架空の人物たちだったそうで、あまり伝記的な要素を求めない方がいいのかもしれません。特にローズは多分描かれているシャーリイの性格を誇張するための狂言回し的な存在のように思えてしまいましたし、また夫のフレッドもただシャーリイの夫スタンリーの弄ぶ対象でしかなかったような感じで、二組の夫婦の関係が現実的にはちょっと成り立たないように思えてしまいました。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。
タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。
主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
2023年製作/91分/PG12/イギリス・ギリシャ合作
原題:How to Have Sex
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2024年7月19日
☆何だか女の子たちがキャピキャピした映画を観たくなり(笑)この作品にしましたが、おじさんどころか既におじいさんになってしまった私めにはついて行けない世界に入り込んでしまったような…(^_^;)
男女共に最初は仲の良い気の合うグループのようだったのが、それぞれのキャラクターの違いが次第にハッキリしてきて、ヴァージンを卒業した主人公の心情もあらわになりますが、そこに共感出来るかどうかが、この作品を好きになるか否かの分かれ目かもしれません。
かなり際どいゲームの場面や露骨な性表現がいくつかあるけれども、インティマシー・コーディネーター立ち会いの上で作られているとのことでした。
「幸福なラザロ」「夏をゆく人々」などで高く評価されるイタリアのアリーチェ・ロルバケルが監督・脚本を手がけ、愛の幻想にとらわれた墓泥棒の数奇な運命を描いたドラマ。
1980年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う考古学愛好家の青年アーサーには、紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡を発見できるという不思議な力があった。アーサーはその能力を利用して墓泥棒の仲間たちと埋葬品を掘り起こしては売りさばいて日銭を稼いでいる。そんなある日、アーサーたちは希少価値を持つ美しい女神像を発見するが、事態は闇のアート市場をも巻き込んだ騒動へと発展していく。
「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがアーサー役で主演を務め、「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニ、「ハングリー・ハーツ」のアルバ・ロルバケルが共演。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
2023年製作/131分/G/イタリア・フランス・スイス合作
原題:La chimera
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年7月19日(以上、映画ドットコムより)
☆序盤はちょっとミステリアスだった主人公のアーサー、徐々にその正体と特殊な能力が明らかになりますが、仲間の下世話な墓泥棒たちとは明らかに違う価値観とストイックさがあり、それ故にせっかくの金儲けの機会を自らフイにしてしまう場面も。
また、亡くなった恋人の母親フローラに歌のレッスンを受けながら身の回りの世話をするイタリアとはいい関係になりながらもその場を去ってしまうなど、ちょっと不可解なところもあったりして。
最後の展開は何となく予想のつくものでしたが、美しいラストシーンにはちょっと意表をつかれた感じで、おそらくこの映画の全てがそこに集約されていたようでもあり、それがあったがゆえに後味の良い作品となりました。
6歳の少女と乳母の血のつながりを超えた愛の絆を、少女の目線からみずみずしくつづったフランス発のヒューマンドラマ。
パリで父親と暮らす6歳のクレオは、いつもそばにいてくれる乳母グロリアのことが大好きだった。ところがある日、グロリアは遠く離れた故郷アフリカへ帰ることになってしまう。突然の別れに戸惑うクレオを、グロリアは自身の子どもたちと住むアフリカの家に招待する。そして夏休み、クレオはグロリアと念願の再会を果たすべく、ひとり海を渡ってアフリカへ向けて旅に出る。
主人公クレオ役には、撮影当時5歳半だった演技未経験のルイーズ・モーロワ=パンザニを抜てき。監督は、共同監督を務めた前作「Party Girl」でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞し、本作が長編単独監督デビューとなる新鋭マリー・アマシュケリ。2023年・第76回カンヌ国際映画祭「批評家週間」のオープニング作品に選出された。
2023年製作/83分/G/フランス
原題:Ama Gloria
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2024年7月12日(以上、映画ドットコムより)
☆ストーリー自体はかつてもありそうな話であまり新鮮味を感じないけれど、大好きだった乳母グロリアというのが自国の女性ではなくアフリカの島国出身で、家の事情で帰ることになり、夏休みに泊りがけで遊びに行ったら、そこで今までとは違うグロリアの姿や、長く家をあけていた母グロリアへの屈折した思いを顕にしてクレオにも辛く当たる息子、グロリアが娘の出産とその世話により徐々に自分から離れて行ってしまうことでのクレオの嫉妬心など、それぞれの心のうちが描かれていて、それが妙に切なく思えてなりませんでした。おそらくクレオは成長するに従いグロリアへの執着から離れていくことにはなるのでしょうけれども...
「スター・ウォーズ」シリーズのデイジー・リドリーが主演・プロデュースを手がけ、不器用な女性が恋や仕事仲間との交流をきっかけに生きることの愛おしさを知っていく姿を描いたヒューマンドラマ。
映画「グーニーズ」の舞台としても知られるオレゴン州アストリアの閑散とした港町。人付き合いが苦手な女性フランは、職場と自宅を往復するだけの平穏な日々を過ごしていた。友人も恋人もいない彼女にとって唯一の楽しみは、幻想的な“死”の空想にふけること。そんな彼女の日常が、フレンドリーな新しい同僚ロバートとのささやかな交流をきっかけに、ゆっくりと動きはじめる。ロバートと順調にデートを重ねるフランだったが、心の足かせは外れないままで……。
2023年インディワイヤー誌の「注目の女性監督28人」に選出されたレイチェル・ランバート監督が、ステファニー・アベル・ホロウィッツ監督による19年製作の同名短編映画を長編映画化した。
2023年製作/93分/G/アメリカ
原題:Sometimes I Think About Dying
配給:樂舎
劇場公開日:2024年7月26日(以上、映画ドットコムより)
☆たまたま時間が折り合ったことで観た映画でしたが、凄く良かったです。
淡々とした日常を繰り返す内向的で人付き合いもない主人公が職場の新人で真逆の開放的な性格の男性とのぎこちない交際から徐々に変化の兆しを見せながら、やはりそれぞれの主観から衝突してしまいながらも、最後はちょっとウルウルしてしまう展開に。それも妙にノスタルジックなエンディングにやられました。時折入る彼女の空想の世界が淡々としたストーリーの中にも映像的にもアクセントを加えていたように思います。
邦題に「about dying」の言葉が省かれていたのは気に入らないけれど。
「アシスタント」の監督キティ・グリーンと主演ジュリア・ガーナーが再タッグを組んだスリラー映画。女性バックパッカー2人がオーストラリアのパブで働く中でハラスメントを受ける様子を記録した2016年のドキュメンタリー映画「Hotel Coolgardie」に着想を得て、オーストラリアの寂れたパブでアルバイトする女性2人に襲いかかる悪夢のような出来事を描く。
ハンナと親友リブはオーストラリア旅行中にお金に困り、荒野に建つ古いパブ「ロイヤルホテル」に住み込みでバーテンダーとして働くことに。しかし彼女たちを待ち受けていたのは、飲んだくれの店長や粗野な客たちが起こすパワハラやセクハラ、女性差別の連続だった。楽観的なリブは次第に店に溶け込んでいくが、真面目なハンナは孤立して精神的に追い込まれ、2人の友情は崩壊していく。
ガーナーがハンナ、ドラマ「アイアン・フィスト」のジェシカ・ヘンウィックがリブ、「マトリックス」シリーズのヒューゴ・ウィービングがパブの店長を演じた。
2023年製作/91分/G/オーストラリア
原題:The Royal Hotel
配給:アンプラグド
劇場公開日:2024年7月26日(以上、映画ドットコムより)
☆予告編を観た時にはある程度コミカルな要素も含んでいるのではないかと思いきや、とんでもなかったです。
やはり観るんじゃなかったなぁ…というのが正直な感想で、最初から主人公たちの能天気さには何か引っかかりを感じていたものの、次々に起こる胸糞悪くなる展開のてんこ盛りに気分は悪くなるし、ラストに関しては主人公たちにしてみれば最後は積もり積もった恨みを晴らしたということなのでしょうけれども、観ている側には全く爽快感が無いし...ということで、まぁ、私向きの映画ではなかったということですかね。