アーカイヴス その24 いなたいなぁ(The Delfonicsを見て) | やせっぽちのヒロシのブログ

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趣味は国際交流?(笑)。

この時期は丸の内のコットンクラブが様々なソウルショーを観せてくれたのでよく通ったものでした。

 

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デルフォニックスが1968年にヒットさせた不滅の名曲"La La Means I Love You"は、リアルタイムで聴いていたわけではないけれど、昔から大好きな曲のひとつ。

ゆったりとしたリズムで刻まれる演奏に流麗なストリングス、美しいファルセット・リード、歌詞もほどよく韻を踏んでいる。
トッド・ラングレンやローラ・ニーロ、プリンスのカヴァーもいいし、やはり曲そのものが大きな魅力を持っているのだと思う。

ということで、生「ララ」を聴きに、昨夜(27日)またまたコットン・クラブへ行ってしまった。
5日くらい前に予約を入れた時にはまだかなり空きがあったようだったので、仕事を終えて午後6時過ぎにのんびり店に行ったらすでにセンターテーブルは埋まっており、ちょっとガッカリ。

ショーはバンドによるイントロダクションから始まり、"Ready Or Not"のイントロにのってデルフォニックスの3人が登場。立て続けに代表曲が歌われるが、やはり予想していたことだけど唯一のオリジナル・メンバーであるウィリアム・ハートはファルセットが苦しそうなうえ音程もはずしっぱなし。そのうえ他の二人も地声はともかくファルセットになるとちょっと....。かなり不安の出だしだった。

そんな空気が変わってきたのは、中盤のカヴァー・ソングに入った頃からかな。まずテディ・ペンダーグラスの"You're My Latest, My Greatest Inspiration"にハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツの"I Miss You"のメドレー。ソロで歌うサラームはほとんどテディ・ペンになりきって歌っていたな。途中ウィリアムがバリー・ホワイト(というよりも、ルー・ロウルズみたいだった)、フレデリックがスモーキー・ロビンスン、サラームがアル・グリーンの物まねを披露したりして、大いに盛り上がった。
またかつてメンバーとして在籍していたメジャー・ハリスのヒット曲"Love Won't Let Me Wait"も例のあえぎ声こそなかったけれど、いい雰囲気をかもしだしていたっけ。
またウィリアムのファルセットもその頃には段々調子が出ていたように思う。

ただ、その後のボビー・コールドウェルの"What You Won't Do For Love"(先日のウィスパーズでもゲスト歌手が歌っていたし、以前アリ・オリー・ウッドスンもライヴで歌っていたけれど、何で皆こんなカッタルイ曲が好きなの?)やダンス・タイムでのアース・ウィンド&ファイアーの"Shining Star"になると、何もこんな曲までやらなくても....と思ってしまった。特にアースの曲は明らかにこの人たちのイメージとは異なるし。
ただ、アメリカでツァーを続けていくうえには、こうした彼らのファン以外の人たちにアピールする構成が必要なのかもね。それをやっているからこそ生き残っているのだろうし.....。

で、最後はやはりこの2曲。
本編ラストの"Didn't I"は客席を3つにわけてシングアウトを競わせる。結構皆歌っていたので、いつものようにコットン・クラブでのショー目当てというのではなく、デルフォニックスを見るためにここに来ていた人が多いのだろう。
アンコールは勿論"La La Means I Love You"で、ウィリアムもさすがに気合が入った歌いっぷり。うーん、今も色あせない名曲だなぁ。
ここでもやはりシングアウトがあって、一度引っ込みかけたところで、もう一度ほぼアカペラで歌われたリフレインにジーンときてしまった。後々まで余韻を引きずる、なんて見事な演出。
もうちょっとお酒が入っていたら泣いていたかも(笑)。

正直言って、その内容たるや場末のソウル・ショーといった感じだったと思う。完成度のカケラもない。
でも、それを補って余りあるものが、存在していたことは確かだった。事実見ていた人のほとんどは、彼らのショーに満足していたように見えたし。
多分「いなたい」という表現はこういうものを指すのだろうなぁと漠然と思ったりした。
これだからライヴ通いはやめられないのですよ。
 

------以下余談------

帰りがけにグッズ売り場をのぞいたら、いかにもパソコンで作りました風のCDRが数種類売られていた。1枚2200円は高いと思ったが、そこは余韻のなせる業で、つい1枚買ってしまった。
タイトルはいかがわしいものばかりで、どうせ今のツアー・メンバーと1日で録音してしまったようなヤツだろうと思い、曲目も見ずに「LOVE CLASSICS」と題されたものを買ったのだが、聴いてみると新録とかではなく、Bell時代の楽曲をそのままコピーして収録したもの。それこそ日本でもよく地下鉄の駅構内とかで1000円前後くらいで売られているような類のマガイ物だった。
ええ?、アーティスト本人がこんなことやっていいの?
これなら、まだイチかバチかで、「GO REGGAE」と題された方にすれば良かった。
ちなみにレーベルはLALA RECORDSだそうです(笑)。

ところで、ウィリアムと袂を分かったウィルバート・ハートの方も、アルバムこそ元デルフォニックスとして発表したものの
ライヴではウィル・ハート&ザ・デルフォニックスとして活動しているみたい。
今回来日したウィリアム率いるデルフォニックスのホームページではその辺を牽制しているようなコメントもありました。
更にややこしいことに、今回の来日メンバーであるドクター・サラーム・ラヴという人は、ウィルバートのデルフォニックスに居たことがあるみたい。
おまけにラッセル・トンプキンスJr.の後釜としてスタイリスティックスに参加しているハロルド・イーバン・ブラウンもそのウィルバートのデルフォニックスのメンバーだったって?
複雑な人脈ですねぇ。
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Delfonics

 

2007年1月29日 記

 

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このライヴの少し後だったか、ウィリアム・ハートが元スタイリスティックスのラッセル・トンプキンス・ジュニアと元ブルー・マジックのテッド・ミルズとの3人で"The Three Tenors Of Soul"(言うまでもなく3テノールのソウル版ということですね)というアルバムを出したこともありましたが、2022年に77歳で亡くなったそうです。

昨年11月にはダリル・ホールがトッド・ラングレンをゲストに迎えた来日公演のアンコールで二人が彼らの"Didn't I"を熱唱してくれたのが印象に強く残っています。