アーカイヴス その14 KiLA 2連チャン | やせっぽちのヒロシのブログ

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趣味は国際交流?(笑)。

今も活動しているようですが、来日は全く途切れたままのアイルランドの異色バンドKiLAを二日連続で観に行った時の記録です。

 

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9/23 KiLA with Jean Butler @三鷹市公会堂



この日は早く起きてお台場でフィエスタ・メヒカーナを見に行きたかったけれど、前夜の仕事の疲れで起きられず、お昼すぎに家を出て少しブラブラした後、吉祥寺へ出て、バスに乗って三鷹市公会堂へ。途中バスが故高田渡も通っていた有名な焼き鳥店「いせや」のそばを通ると、近々改装されてビルになってしまうためか、名残を惜しむ客で長蛇の列だった。

さて、この公会堂は初めて来たが、随分古そうなホール。だけど、客席のつくりは意外にステージが見やすいように配慮されているようだ。
さすが市の主催だけあって、エッ?この人たちって本当にキーラを観に来たの?といった風の年配の方々も多かったが、まあそれはよくあることなので、最近はちっとも気にならなくなってきた。

オープニングは絶対ライヴ盤の1曲目"Her Royal Waggledy Toes"だと思っていたら、

タイトルは忘れたが、もっと古いアルバムからのリール曲だった。
以前トリフォニー・ホールで行なわれたトランス・ヨーロッパの際には広いホールを持て余していたように感じたけれど、今日のホールは、その辺ほど良い広さだったので、彼らにとってはやりやすかったかもしれない。
2曲目が先にトップと予想した曲で、ジーン・バトラーも登場。


踊りの優雅さは勿論だけど、足で刻むリズムがそのままパーカッションのようで、とても心地よい。
特に美しい旋律のスローから次第にアップ・テンポになっていく"Dusty Wine Bottle"でのパフォーマンスは彼女の真骨頂。でも何故か同時に、渋さ知らズとダンサーの乳房知らズことさやか&ペロを思い出してしまい、ちょっと吹き出しそうになった。
シーン・バトラーは昨年のケルティック・クリスマスでも来日したが、その時のもっと純然たるトラッドよりも、キーラのようにジャンルを超越したバンドとの組み合わせの方が、彼女の創作性も生かされているように感じた。もっともダンスのことはよく判らないので、あくまでも見た目の印象です。
最近のキーラで特に魅せられるのが、オーウェン・ディロンのイーリアン・パイプとディー・アームストロングのフィドル。
この2つが絡まると、正にトリップ状態で、どこまでも飛んでいきそうになる。
このイーリアン・パイプって、ブルースで言えばスライド・ギターのようなものかもしれない。フレーズが官能的で、スライドが炸裂するとブルース・ファンが興奮するように、イーリアン・パイプが鳴り響くとケルト・ファンが歓喜する。
かと思えば、メンバー全員がパーカッションに持ち替えてローナンがバウロンを叩きながら歌う"Tine Lasta"みたいな曲もあったり、オーウェンのパイプが大幅にフィーチャーされる"Grand Hotel"や、途中でイスラム風に展開する"Glanfaidh Me"などは壮大なプログレッシヴ・ロックを聴いている気分。
やはり客層が客層だけに、最後まで総立ちになることはなかったが、場違いと思われた方々も充分に満足していたようだった。

終演後のサイン会は長蛇の列。
メンバーも気さくに一人ひとりの注文に応じるものだから、なかなか前に進まないが、楽しいやり取りが続いていて、誰も文句は言わない。
僕は家から持参したキーラのCDと当日買ったオーウェンのソロCDにそれぞれサインをもらう。
最後にローナンと握手をしたら、やたら手がデカかった。
 

9/24 KiLA & OKI with 山口洋 ドンマツオ @duo Music Exchange



昼間、代々木公園のナマステ・インディアを見て、カレーを食べた後、渋谷へ向う。

やはりというか、前日とはプログラムが大幅に変わっていた。
新譜がOKIとの共演アルバムだったので、このステージも単なる顔見せだけでないことは承知していたけれど、第一部は3曲目からOKIが終始参加して、トンコリとヴォーカルを聞かせる。
これがまた想像以上によく溶け合っていて、どの曲も心地よい。
普段のキーラのステージとは違った静寂のグルーヴとでも言おうか。すごく新鮮に思えた。

ただし、すぐ後ろに他人の不快さを全く気にかけないマイペース男が、曲に全く合わないリズムで手拍子・足拍子・膝たたきなどをあたりはばからずやり続けたので、音楽に集中できず、ちょっとイライラしてくる。
どういう感性を持ったら、こういうマネができるのだろう。
それでも僕は斜め前だったからまだマシだったのかもしれないが、すぐ前でそれを聞かされた友人の苦痛は大変なものだったろう。
ところで、フィドルのディーが座って演奏していたのを不思議に思っていたら、彼女、その日の朝、足をくじいたらしい。第一部の後ステージを去るときもビッコだったが、メンバーがそれをからかうように皆で片足でケンケンして引っ込んで行った。

休憩をはさんで第二部は、いつもの野生的なパワー全開で、メンバーの注文もあり1曲目から総立ち。間近で見る彼らの演奏は、本当に凄まじいの一語につきる。
しかし、そこに登場した日本人ゲストで、またちょっと空気が変わってしまった。ギターで参加の山口洋は決して邪魔にならない演奏だったが、もうひとりズボンズのドンマツオという人が現れ、ギターをそこそこ弾いたかと思ったら、マイクを持ってラップもどき(思想もライムも言葉すらもないので、絶対にラップではない)の奇声を張り上げ、踊りつづける。
ナ、ナンダ~? こんなの見たくないぞ。しかし、どうも若い人たちにはそれが良かったらしく、会場は盛り上がる。
例の"Tine Lasta"でも、だまってパーカッションでも叩いてくれればよかったのに、ローナンをさしおきラップもどきをやり続け、ちょっとゲンナリ。なまじっかそばで見ていただけに、よけいメゲてしまった。
それでも終盤はまたキーラだけのステージとなり、ここからは怒涛の勢いだったが、例によって後ろの変態リズム男が相変わらずのマイペースぶりでアヴァンギャルドな手拍子を続けているし、最後までモヤモヤしたまま。
アンコールでは再びOKIが登場。「日本人は盛り上がる曲では大きな拍手をするが、静かな曲では静かな拍手しかしてくれない。静かな曲でも、良かったと感じたら、是非大きな拍手をお願いします」というようなことを言い、彼のトンコリにオスノディ兄弟のカルムがヴォーカルをとった曲は、終ったあと大きな拍手が。
し、しかし、最後の最後、最高に盛り上がるべきところで、またしてもドンマツオ。もうお前は聴きたくない!
出演予定のなかったジーン・バトラーもステージに登場したが、踊りはせずにパーカッションで参加。ステージがとっ散らかっていたので仕方ないか。
そして、かの変態リズム・マシーンも、最後の最後までわが道を突き進んでいたのでした。

色々不満もありはしたけれど、それは見た場所の条件だとか、主催者が呼んだゲストへの不快感であって、キーラ自体が現在最強のライヴ・バンドのひとつであることには間違いと思う。
初来日の1998年に初めて彼らの音楽に接した時は、ジャンベなどが入っていることに驚き、ちょっと奇抜な印象を持ったものだったが、ここまでスケールの大きなバンドになるなんて思いもよらなかった。
また何度でも見たいものだ。

 

2006年9月27日 記

 

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ちなみに現在KiLAで検索をかけると、この人ばかりがヒットしてしまいます。

紛らわしい芸名をつけないでほしいものですが....(^_^;)