3月に観た映画 その1 | やせっぽちのヒロシのブログ

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音楽とお酒が大好きです。
趣味は国際交流?(笑)。

今月もまず前半に観た映画を記しておきます。

 

リリー・フランキー演じる妻を亡くした男の家族再生を描いた日英合作映画。
兼三郎は妻・明子の葬式でしばらく疎遠となっていた一人息子の慧(トシ)とその妻さつき、孫のエミに久しぶりに会う。酒に酔い、だらしない態度をとる喪主の兼三郎に、トシは苛立ちつつも気にかけていた。開封された明子の遺言状には、明子が子どもの頃に好きだった「ピーターラビット」の発祥地であり、夫婦で行きたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいという内容が描かれていた。兼三郎とトシ一家は、明子の願いをかなえるため、イギリス北部の湖水地方にあるウィンダミア湖へ旅立つ。兼三郎役のリリーのほか、錦戸亮、木村多江、高梨臨らが顔をそろえる。
監督・脚本は、英国アカデミー賞US学生映画賞とヨーロッパ人として初めて学生エミー賞をドラマ部門で受賞したパトリック・ディキンソン。(以上、映画ドットコムより)

 

☆タイトルであるコットンテールの意味するところがよくわからないまま観てしまいましたが、ピーターラビット絡みの名前だったんですね。

認知症を患ってしまった妻を自分一人で介護し続けた末に亡くしてしまい、遺言として託されたウィンダミア湖への散骨を叶えるためにイギリスへ旅立ったものの、一緒に向かった息子一家を煩わしく思ったのか、勝手に一人で行動した挙句、行くべき場所と反対の方向へ行く列車に乗ってしまい、持ち合わせもなく、携帯のバッテリー切れで息子と連絡も取れず、仕方ないので自転車を拝借してあてもなく目的地へ向かい、道中で親切な父娘に助けられ、何とか息子たちと落ち合うことが出来、再びウィンダミア湖へ向かうというものでしたが、まぁリリー・フランキー演じる主人公の勝手ぶりはなかなか見ものでした。そうした厄介な父親に反発を覚えつつも何とか家族として寄り添おうという息子を鬱陶しがるのもまたわかる気はしないでもありませんが、それにしてもそこまで無茶するかというくらいの無軌道ぶりがまた切なかったです。

個人的には若き日の妻を演じた恒松祐里がなかなか良かったように思うのですが、あまり話題にはなっていないようで残念です。

 

ロックンロールの創始者のひとり、リトル・リチャードの知られざる真実と素顔に迫ったドキュメンタリー。
1955年、デビュー曲「トゥッティ・フルッティ」の大ヒットで彗星のように音楽シーンに現れた黒人アーティスト、リトル・リチャード。反権力志向の若者たちの心をつかんでヒット曲を連発するも突然引退を宣言し、5年間にわたる“教会への回帰”を経て、復帰後はイギリスツアーを通じて無名時代のビートルズやローリング・ストーンズに決定的な影響を与えていく。当時のアメリカでは南部を中心に人種差別が激しく、さらに彼はゲイを公言する性的マイノリティーでもあり、陽気なキャラクターを演じつつも壊れやすい繊細な魂をもつ人物だった。
差別と偏見、時代と流行、信仰と音楽活動など、さまざまな狭間の中で苦悩し闘い抜いた彼の魂の軌跡を、本人および親族・関係者、識者の証言や豊富なアーカイブ映像、さらにミック・ジャガー、ポール・マッカートニーら著名ミュージシャンの証言映像を通してひも解いていく。(以上、映画ドットコムより)

 

☆リトル・リチャードの歌は勿論10代の頃から耳にしていましたが、実際に彼がステージ以外で喋っているのを見たのは30数年前に観たチャック・ベリーの映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」で彼がボ・ディドリーと共に出演していたシーンだったと思います。今回の映画でもそのシーンは流用されていましたが、やたらとクセのある甲高い声で喋りまくっていて、それが異様に感じたものでした。活動初期から彼自身はゲイであることを公言していたそうですが、多分当時は彼のそうしたジェンダー的な部分は知りませんでしたし、そもそも日本ではほとんど語られていなかったのではないでしょうか? 

何にしても黒人でありゲイということで受けていた二重の差別と闘いながらもそれを跳ね返し多くの信者を産んだ彼の圧倒的なパフォーマンスと生き様が数々のミュージシャンの証言や豊富な映像と共に存分に描かれていて、実に見応えある作品でした。

終了後には萩原健太氏と丸屋九兵衛氏とのトーク・セッションがあり彼の音楽やその背景について更に理解を深める機会もあり、

また、その劇場での限定オリジナル飲料「お黙り!サイダー」(マンゴー・テイストでのほのかな甘みが美味)を飲んだり、

更に彼のヒット曲のタイトルが網羅されたTシャツまで買ってしまいました。

 

これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス。視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。
人里離れた雪山の山荘で、視覚障がいをもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親はすでに息絶えていた。当初は転落死と思われたが、その死には不審な点も多く、前日に夫婦ゲンカをしていたことなどから、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく。
女性監督による史上3作目のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。主人公サンドラ役は「さようなら、トニー・エルドマン」などで知られるドイツ出身のサンドラ・ヒュラー。第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされた。(以上、映画ドットコムより)

 

☆法廷劇には見応えある作品が多いですが、これもまた息詰まるシーンの連続でした。

自殺か、事故か、それとも殺人なのか、状況証拠から疑惑は妻に向けられ、粘っこく被告や証人に尋問を続け証言の矛盾をついてくる検事、特にまだ10代そこそこの視覚障害のある息子への尋問に関してはそこまでやるかというくらいに追い詰めていきます。一方被告の古くからの友人である弁護人は真偽を立証させるよりもいかに被告の無罪を勝ち取るかということに重点を置いているしたたかさを見せます。そこで次第に仲睦まじいと思われていた夫婦の真実が明らかになっていき、そうした事実を突きつけられることで母を信じていた息子にも次第に疑念が湧いてきたものの、最終的には愛犬がかつて瀕死の状態になったことを思い出した息子の証言が母親にとっては救いの手となります。

結果としては決定的な証拠がなかったことによる推定無罪のようなものであり、元々落下するシーンが始めから無かったこともあり、ちょっと似たようなテイストを持つ「ザリガニの鳴くところ」のようなどんでん返しも用いず、観終えても何かスッキリしないというか、いやそこが制作者の狙いでもあり、だからこそ面白かったんですよね。そういう意味ではとてもよく出来たストーリーであったと思いますし、アカデミー賞で脚本賞を獲得したのにも納得です。

ちなみにドイツ人の妻、フランス人の夫、家での共通言語は主に英語というユニークな家族生活もある意味ストレスになりそうに思いました。

 

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画43作目で、原作者である藤子・F・不二雄の生誕90周年記念作品。「音楽」をテーマに、ドラえもんとのび太たちが地球を救うための壮大な冒険を繰り広げる。
学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太の前に、不思議な少女ミッカが現れる。のび太の奏でるのんびりとした音色が気に入ったミッカは、音楽がエネルギーになる惑星でつくられた「音楽(ファーレ)の殿堂」にドラえもんやのび太たちを招待する。ミッカはファーレの殿堂を復活させるために必要な音楽を一緒に演奏する、音楽の達人を探していたのだ。ドラえもんたちはひみつ道具「音楽家ライセンス」を使って殿堂の復活のため音楽を奏でるが、そこへ世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってくる。
海外で音楽活動をしている歌姫という設定のゲストキャラクター、ミーナ役で芳根京子が声優出演。主題歌は、アニメ映画主題歌はこれが初めてとなるVaundyが担当。監督は「映画ドラえもん のび太の宝島」「映画ドラえもん のび太の新恐竜」の今井一暁。(以上、映画ドットコムより)

 

☆実はこの映画は何度か予告編を見て音楽が題材になっていることで興味は持っていたものの、「サザエさん」同様作者が既に故人でありながら長く続いているアニメ作品というのは概してその世界を大きく変えてしまっているものなので、おそらくはこれもそうしたものだろうと思いパスしようかと思っていましたが、たまたまTOHOシネマズのポイントが貯まったことで、「タダなら観てみようか」と思った次第です。

壮大なテーマではあったものの、2時間近い内容で尚且つ変に大人の鑑賞に堪えられる路線を狙ったせいもあり、わかりにくかったのか、まわりに居たお子様たちは退屈していたりグズりだしたりで、その辺やはり難しいですね。

大山のぶ代など古くから馴染みの声優から総入れ替えされてからも随分となり、おそらく日頃観ている人たちにとっては今の「声」にももはや違和感を感じてはいないようで...って言うか今の子供たちからすればもう初めからこの声なんですよね。あのアクの強かった声が妙に懐かしく感じる今日この頃です。

 

 

 

「キングスマン」シリーズのマシュー・ボーン監督が描く痛快スパイアクション。
謎のスパイ組織の正体に迫る凄腕エージェント・アーガイルの活躍を描いたベストセラー小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、愛猫アルフィーと一緒にのんびり過ごす時間を愛する平和主義者。新作の準備を進めている彼女は、アルフィーを連れて列車で移動中に謎の男たちに命を狙われ、エイダンと名乗るスパイに助けられる。やがて、エリーの小説が偶然にも現実のスパイ組織の行動を言い当てていたことが判明。エリーの空想のはずだった世界と、命を狙われる現実との境界線が曖昧になっていくなか、敵の一歩先を行くべく世界中を駆け巡るエリーだったが……。
作家エリーをブライス・ダラス・ハワード、彼女を救うエイダンをサム・ロックウェル、エリーが描く小説の主人公エージェント・アーガイルをヘンリー・カビルが演じた。そのほか共演にジョン・シナ、サミュエル・L・ジャクソン、シンガーソングライターのデュア・リパら。「PAN ネバーランド、夢のはじまり」のジェイソン・フックスが脚本を手がけた。(以上、映画ドットコムより)

 

☆70年代のバリー・ホワイトのヒット曲が冒頭から流れてきて気分が盛り上りましたが、ご都合主義的でハチャメチャなストーリーの連続と、幼稚で大仰なアクション・シーンの数々、観ている間はそこそこ楽しめましたし、適度な洒落っ気もあり、決してつまらないとかいう訳ではないけれど、観終わった後には何も残らないというか、まぁ、ハリウッドでお金と手間をかければそれなりの物が作れてしまうという見本のような映画だなと思ってしまいました。

 

 

 

2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、杉咲花主演で映画化したヒューマンドラマ。
自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
杉咲が演じる貴瑚を救おうとするアンさんこと岡田安吾を志尊淳、貴瑚の初めての恋人となる上司・新名主税を宮沢氷魚、貴瑚の親友・牧岡美晴を小野花梨、「ムシ」と呼ばれる少年を映画初出演の桑名桃李が演じる。「八日目の蝉」「銀河鉄道の父」の成島出監督がメガホンをとり、「四月は君の嘘」「ロストケア」の龍居由佳里が脚本を担当。タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの孤独なクジラのこと。(以上、映画ドットコムより)

 

☆巷では割と評判が高いようですけれど、私は少し前の「そしてバトンは渡された」(あくまでも原作を改変した映画版の方)同様「泣かせよう」という製作者の魂胆が見え見えのように思えて萎えてしまいましたし、志尊淳演じるアンさんのトランスジェンダーとしての苦悩にしても、宮沢氷魚演じる主人公のパートナーのダメ男ぶりにも、殴られながらもそれに耐える主人公にしても、あまりにもステレオタイプな感じで何だかなぁという感じがしました。

前月に観た「夜明けのすべて」が素晴らしかった分、見方が辛くなっているかもしれませんが。

それにしても杉咲花は薄幸の役が続きますね。

 

 

ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ウィリアム・H・メイシーら豪華キャストが集結し、ニューヨークを舞台に不器用な大人たちの幸せ探しの行方をつづったロマンティックコメディ。
ミシェルは恋人アレンとの結婚を望んでいたが、アレンは煮え切らない態度を続けていた。2人は親たちの経験から結婚生活について学ぶべく、両家顔合わせの食事の席を設けることに。ところが、実はミシェルの父ハワードはアレンの母モニカと、そしてアレンの父サムはミシェルの母グレースと不倫関係にあった。厳しい状況に追い込まれた親たちは、子どもたちに不倫の事実を隠しながらパートナーの愛人と対決を図ろうとするが……。
「パロアルト・ストーリー」のエマ・ロバーツがミシェル、「X-ミッション」のルーク・ブレイシーがアレン、ギアとキートンがミシェルの両親、メイシーとサランドンがアレンの両親をそれぞれ演じた。(以上、映画ドットコムより)

 

☆4大ベテラン俳優の円熟の演技に若手の男女が絡む会話劇で、結婚しようとする男女の両親がそれぞれ相手の親と不倫関係だったというあり得ない話でしたが、他愛なくもウィットに富んだセリフの応酬で終始楽しく観ることが出来ました。

やはり重苦しい映画ばかりではなく、時にはこうした肩の凝らない映画も観たくなります...と言うか、私にとっては一番好きなタイプの作品です。

巷ではリチャード・ギアが「プリティ・ウーマン」で共演したジュリア・ロバーツの姪エマ・ロバーツの父親役を演じていることが話題となっているようですね。

スーザン・サランドンはつい先月に30年余り前の「テルマ&ルイーズ」で観たばかりでしたが、今回のウバ桜的な役柄もなかなか魅力的でしたし、黒縁メガネがトレードマークになっているダイアン・キートンのちょっと天然っぽい仕草も年齢を感じさせないキュートさを醸していて、やはり両者のオーラは半端ありません。

映画に刺激を求めたり感動するものを求めたりする人には全く向かないと思いますが、名優たちの職人芸とも言える演技を存分に楽しめる作品でした。

 

 

 

1967年に開催された「モンタレー国際ポップフェスティバル」を記録した音楽ドキュメンタリー。
ヒッピームーブメントの真っただ中にあった1967年6月、ロックンロールの新時代を先導することになる「モンタレー国際ポップフェスティバル」がカリフォルニア州モンタレーで開催された。同フェスをきっかけに世界へと躍り出たジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディングをはじめ、ジェファーソン・エアプレイン、サイモン&ガーファンクル、ママス&パパス、ザ・フーら多数のアーティストが出演し、大規模なロックフェスティバルの先駆けとなった。
「ドント・ルック・バック」「ジギー・スターダスト」など数々の音楽系ドキュメンタリー作品で知られるD・A・ペネベイカーが手がけ、ギターを破壊するピート・タウンゼント、ギターを燃やすジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンのパフォーマンスに圧倒されるキャス・エリオットなど、伝説の瞬間の数々を捉えた。(以上、映画ドットコムより)

 

☆初めて観たのはNHKで放映された1975年でした。その頃はまだ開催されて8年しか経っていなかったのに、ジャニス、ジミヘン、オーティス、ママキャスなどが既に故人となっていたこともあり、「伝説の」というイメージが強かったと思います。近年は映画未収録の名演を多数収めたボーナス・ディスクも含むDVDが発売されていて、私もそれを入手して何度か観てはいたものの、やはりこれは一度劇場の大きなスクリーンで観なければと思い、観に行ったのでした。

正直なところこのフェス開催に大きく関わったジョン・フィリップスのママス&パパスの歌と演奏は今となっては素人レベルのように感じられましたが、ジャニスやジミヘン、更にはザ・フーなどはやはり強烈でしたし、最初に観た頃には全く魅力を感じなかったヒュー・マサケラも素晴らしく、勿論オーティス、ジェファーソン、エリック・バードン&アニマルズなど、それぞれ1~2曲だけずつというのが残念なくらいに熱いパフォーマンスでしたし、それを大きなスクリーンで観ることが出来たのは嬉しかったです。ただ、ラストのラヴィ・シャンカールだけは今回も途中で飽きてしまいましたが(^^;)

 

 

 

ロック界を代表するドラマーたちにスポットをあてたドキュメンタリー。
クライマックスへ向けた特別なセッションへの道のりを軸に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、クイーンのロジャー・テイラー、アイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、ポリスのスチュワート・コープランドといった大御所から、ロイヤル・ブラッドのベン・サッチャー、ザ・ダークネスのエミリー・ドーラン・デイビスといった若手まで、そうそうたる顔ぶれのドラマーたちが、ドラムの歴史や自身のキャリア、音楽やドラムそのものについて語り尽くす。
さらに、伝説的なジャズドラマーたちが現代のドラマーと音楽に与えてきた影響を解説しながら、それらのレガシーをロックに持ち込んだクリームのジンジャー・ベイカーの功績を紹介し、クラッシュのニック・“トッパー”・ヒードンやダムドのラット・スキャビーズらパンクバンドのドラマーたちもフィーチャーするなど、イギリス製作ならではの視点を交えて描き出す。(以上、映画ドットコムより)

 

☆正直なところ出演したドラマーたちの半分くらいは知らない人たちでしたが、若手から大御所まで、様々な世代のドラマーが、その道を志すきっかけ、影響を受けたドラマーを挙げ、自身のスタイルや経験、更には音楽に関する哲学のようなことまでを熱く語るのが楽しく、予想以上に面白い映画でした。

そして今更ながらリンゴ・スター、チャーリー・ワッツ、ジョン・ボーナム、キース・ムーン、ジンジャー・ベイカーといった人達の影響力の大きさも思い知らされましたが、早くに亡くなってしまったジョン・ボーナムやキース・ムーンはともかく、リンゴや近年まで健在だったチャーリーへの取材が無かったのはちょっと残念です。

ラストの出演者何人かによるセッションは圧巻でした。

 

 

 

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。
熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。
前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。(以上、映画ドットコムより)

 

☆前作を観ていないので何とも言えませんが、若松孝二のことをよくは知らない私でも充分に楽しめる映画愛に溢れた作品でした。映画に対しての熱い思いを持つ映画監督の若松、彼に映画館の支配人を任された木全純治、そして浪人でありながら若松に弟子入りしようとする井上淳一、在日という境遇に置かれつつ映画への情熱は持ちながらも自身の限界にも悩む金本法子、それぞれの持つ映画愛が微妙に他者とズレているところもありましたし、色々理不尽な展開もありましたが、根本的なところでわかり合えるという間柄だったのでしょうね。

若松役の井浦新や木全役の東出昌大などはかなりクセの強い演技でしたが、おそらくは本人たちを良く知る人から見れば懐かしくも笑えるくらいに納得の演技だったのではないでしょうか? そして個人的にはやはり今回も芋生悠が魅力的でした。

おそらく若松監督やシネマスコーレのことをよくご存じの方が観たらより楽しめるのだろうと思います。

映画が終わった後、久々に帰国した友人の出演するライヴを観に行きましたが、そのメンバーの中にこの映画の音楽を担当した宮田岳さんが居てビックリでした。