H I J K L M N O → H to O → H2O → WATER | やせっぽちのヒロシのブログ

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音楽とお酒が大好きです。
趣味は国際交流?(笑)。

 

2014年製作のデンマーク映画「サイレント・ハート」をリメイクしたアメリカ・イギリス合作映画。

不治の病であることを知ったリリーが自死する道を選び、二人の娘たちジェニファーとアンナやその家族、更に長年の親友女性リズを自宅に招き、夫ポールと共に最後の晩餐をするというもの。

いわゆる尊厳死を扱った作品ですが、それを一旦は受け入れつつも、ジェニファーが父の意外な事実を知ってしまったことで、ややミステリーめいた展開になっていき、更にそこから一転するストーリーは、間に家族の中でのドロドロとした関係も露わになり、意外性の連続でなかなか見応えがありました。

またリリーやリズらがウッドストック・ジェネレーションということで、性についてもあっけらかんと語り、晩餐ではマリファナを回し飲みしていくなど、かなりぶっ飛んだ一家という感じです。

最後は夫だけでなく娘二人も母の自死に立ち会うのですが、もしそれが発覚した場合、安楽死が認められていない地域でやることに共犯として罪に問われないのか?という疑問を感じずにはいられませんでしたが。

個人的には最初の方の会話にあった「H I J K L M N Oから成る5文字の単語」という問題で、「H to O」=「H2O」、つまり「WATER」という知的な頓智にハマりました。

 

この日は観たい映画も多かったので、昼食を取った後に、もう1本近くの映画館へハシゴしました。

デジタル化の波について行けなくなった元人気イラストレーターのヴィクトル。仕事も失い、妻マリアンヌからも厄介者扱いされ家を追い出されてしまうのですが、たまたま息子マキシムにプレゼントされた「タイムトラベルサービス」を試すことに。

息子の友人アントワーヌが始めたそのサービスは依頼人が戻りたい過去を実際のセットを使い再現するもので、ヴィクトルは妻と最初に出会った1974年のカフェのベル・エポックをリクエスト。派遣されてきた女優マルゴを相手に過去の思い出に浸っていくうちに....

先に重いテーマの映画を観たこともあり、気分直しに明るい映画を観たいと思い、何度か予告編で観ていたこの映画を選んだ次第でしたが、予想外の面白さで、最後まで楽しめました。

父親想いの息子マキシムに、少年時代の恩人でもあるヴィクトルの描いた過去のストーリーを忠実に再現するために大掛かりなセットと綿密な脚本を用意するアントワーヌ、彼のこだわりぶりとそうした細かさにイラつきアドリブを交えながらも協力して若き日のマリアンヌを演じる恋人のマルゴ、時にドタバタした舞台裏をのぞかせながらも順調に過去を再現し、ノスタルジアに浸りながらも生気を取り戻していくヴィクトル、最後には思いがけないハッピーエンドへとつながるのですが、温かみとほろ苦さのあるこうしたコメディタッチの作品は大好きです。

ただ、唯一残念だったのは、綿密な時代考証をしていたはずなのに、ダンスのシーンでこの時代にはまだ世に出ていなかった筈のプレイヤーの1978年の全米ナンバー1ヒット曲"Baby Come Back"が流れていたことですかね(笑)。