12曲完結のシアターとバランス感覚と踊るロクデナシの話 | 考えてる途中。

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おもにエビ中の好きな曲のこととかを考えてる途中。
ふしぎと意味のない文章ばかり書きあがります。

さて。
みなさま元気にしていますか?
フルスイングを空振ってますか?
エビ中さんのMUSiC、楽しんでますか?
あっ。ウィークリーで2位を獲ったそうですよ!こりゃめでてえな!ジャニーズさん強いな。

そんなわけでMUSiC収録曲を1曲ずつ好き勝手に書いてゆくシリーズ、誰にも望まれていないのに第4弾。きょうは賛否が両論な、踊るロクデナシについて考えてみたいと思います。


■高校生め!18歳め!

ええと、ひとまず作詞作曲のメガシンノスケについてですよ。高校三年生なのだそうですよ。何者なんでしょうか。単刀直入にいうと、ぼくはちょっと悔しいんですよ。妬ましいのですよ。70点以上を自然にゲットできちゃうようなその若い才能が。

高3のころの僕といえば、生涯初めて友人とバンド組んだ頃。
じきに隣の高校のバンドにヘルプで入るようになったりして、んじゃ大学生になったらもっと思いっきり活動してやんよとか思っていたのにですよ。まさか浪人してまで入った大学のバンドサークルで、友達が出来ないなんて思わないじゃないですか。東京って怖いとこだっぺよ。

そしてサークルの幹事長がぼっちの一年生を見かねて、なんとかサークル内のバンドに潜り込ませてくれたのですが、よもやそこでB'zのコピーをやることになるとは思わないじゃないですか。僕はもっとこう、SKAFUNKのコピーとかヒネた感じのヤツがやりたかったんすよ。東京って怖いとこだっぺよ。

そのご別に所属していた学術系サークルの先輩に誘われ加入したバンドで、コンテストに出て賞金10万円獲得!そして僕がクビになった少しあとにCSのバンド番組でちょい人気が出て、楽曲が番組CDに1曲だけ収録!それが僕の音楽活動の輝かしく間接的な頂点です。ありがとうございます。東京って怖いところだっぺ。

まあそういう思い出をいまだ引きずっているロクでもないダメ中学生(だいぶ高学年)の僕ですので、みっともない嫉妬とともに、さっそく踊るロクデナシを聴いてみたわけですよ。
ほう。ほほう。


■音数の少ない空間と醒めた世界観

トラックは基本的にヴォーカル、ギター2本にベース、ドラム、リードで成り立っています。ギターAとギターBが左右のチャンネルにクッキリと振り分けられた、オーソドックスな形。中途のステレオでの刻みっぷりが気持ちいい。目立ったエフェクトはヴォーカルに時々リバーブがかかる程度で、それほど音の厚みを感じさせない仕上がり。マイナー系のコード進行と頼りなくチープなリードの音色がなかなか印象的で心地良いです。

全体的には軽くレトロ&サイケなダンスミュージックっていえばよいのでしょうか。メロディラインの起伏の少なさからか、一周回って最近のシティポップ風味な空気を感じないこともない気がします。

単純に頭の中でループする曲調も大したものなんですけど、より印象深いのはメンバみなさんのヴォーカルっぷりですよね。比較的平坦な旋律で、語尾のピッチを下げ、気怠さとか冷めた感覚を増幅させてます。この歌い方が歌詞世界の主人公目線にもピッタリです。

思えばキャンディロッガーなども、冷めた目線で世の中を歌うバッドガール調の世界が表現されていました。でもキャンディロッガーは正論で理論武装して、自分らしさを失わない芯のある女の子の歌。一方でロクデナシは、もうなんつうか出口を見いだすのを放棄しているかの如く。ただ冷めたまんま世の中を達観視しているような、いかにも現代っ子ぽい世界観と主人公像であります。イマ風だなあ。


■ヴォーカルの演技力

なんていうか、楽曲としてはかっこいいんです。かっこいいんですけどね。
でもこれはBUZZER BEATERなどに見られる勇ましさ系統のかっこよさではなくて、スカしたイマ風なかっこよさ。僕はあんましアイドル様にこういう歌は求めてないんですよ。

でもでも、メンバーにとってこれが新しい挑戦なのは確か。なかなか聴きごたえのある歌唱であることも確か。アイドルには求めていないと言いましたけど、僕は決して嫌いじゃない。

…ならば求めていないはずなのに嫌いになれない理由って何だろう。そこで思い浮かんでくるのが、アルバムMUSiCの全体像のことでありました。

アルバム各曲のテーマを羅列してみます。
自己紹介、破壊と衝動、のんびりさん、曖昧な沈滞感、内省、意味不明な無国籍、応援歌、原点回帰、恋愛、到達、別れと出発、元気とおじさん。

これだけテーマがバラバラなのに、なぜかアルバムとしてのバランスの悪さは感じさせない。それどころか、どこかまとまりすら感じるような一枚。ひとえにこれは、歌う側の女優性に拠るものが大きいのではないかと思うのです。このアルバムはMUSiCというタイトルでありながら、色々な音楽を演じ切る女優の姿が見えてくるような気がしてくるのです。

スターダストさんは女優事務所。エビ中さんは10年選手。プロデュース側も演者側も、楽曲でちょっとした空気感や世界観を作る技術に長けています。だから、アイドル歌謡もパンクもシティポップも歌いこなし、熱血もシリアスもホンワカもしっかり自分のものとして表現してくる。

だからこの曲が提示してきたシラけた無味乾燥感という、役者を選ぶような渋みのある脚本。この初めて触れる舞台も、エビ中さんは絶妙な力の抜き方で演じきってしっかり自分のものにする。例えば美怜ちゃんのシラけた感じの歌い方やコーラスぽく入ってくるeverything is ambiguousの部分など、新境地と言って良いように思えるのです。

 

僕がこの曲を嫌いになれない理由は、きっとそういうものを見せてくれるからなのだろうなっと。


■まとめとか

ぼくはアイドル様には冷めた世界観など求めておりませんでした。

でも踊るロクデナシがあるからこそ、MUSiCというアルバムはバランスが保たれて、面白さが引き立っているのだとも思えるのです。つまりこの曲は、アルバムに必要な曲。アイドル・エビ中には求めてはいなかったけど、アルバムMUSiCを演じるエビ中さんにとっては、絶対的に必要な曲だったのです。そう結論付けておきたい!


とか言ってここまで理論武装してみましたけど、マジでバリ正直に言うと単純にこの曲好きなんですよ。聴き終わった後に脳内で反芻しちゃう無条件に楽しい曲なんすよ。ライブにかけられたらどんな光景になるのかな。今から楽しみです。

メガシンノスケくん、面白い曲をありかとう。今後の活躍を期待しております。

いや、ぼくも大人ですからね。高校生の作品もちゃんと評価できるんですよ。偉いでしょ。大学で友達が出来なかったロクデナシですけどね、全然くやしくなんかありませんからね。ええ。



エビ中さん未踏のジャンルって、あとは何かな。演歌くらいかな。

といったわけでそろそろ寝ますです。
MUSiC全曲について何か書こうと思っていたんだけど、春ツアーまでに終わらないかもしれないな。
でもそんときはそんときってことで。
おやすみなさいグー。