適材と適所そして変幻自在なでかどんでんの話 | 考えてる途中。

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おもにエビ中の好きな曲のこととかを考えてる途中。
ふしぎと意味のない文章ばかり書きあがります。

みなさまこんにてや。
エビ中さんの5thアルバムMUSiCはしっかり聴いていらっしゃいますでしょうか。
例によってきょうもアルバム曲について、感想だとか知ったようなことだとかをだらだらつらつら勝手に語ってみようと思いますよ。きょうはシングルから再録されたあの曲について。そうですでかどんでんについてです。どーん。



どんてんの次のトラックは、でかどんでんでした。
もう数万人が数万回は口にした言葉だと思いますが、敢えて僕も言っておくことにしましたよ。吉澤嘉代子さんも同じこと言ってました。つまりでかどんでんって曲は、色々な人々の心と心をつなげてひとつにする名曲だということ。いっぱしのテレパシでどーん。
はいレビューおしまいー。

という訳にはいきませんからね。まだ続けますよ。
 

でかどんでんはシングル表題曲でありながら、そして2018年唯一の円盤リリース作品でありながら、なんだかファミリーの首をかしげさせてきた不遇な作品。
確かにつかみどころの難しい曲ですが、去年の春ツアーの香川や熊本などのライブハウス公演ではブチ上がりラストナンバーとしての適性が(僕の中で)見いだされたり、ちゅうおんバンドアレンジでの不思議な高揚感からはエビ中楽曲らしい変幻自在さが(僕の中で)話題になったり、いろいろな意味合いで面白い曲であります。

斯様に聴きなれたこの曲ではありますが…アルバムの一部として流れの中で聴くと、いったいどのように響いてくるのでしょうか。さっそく諸々を意識して聴いてみます。
ほほう。ほう。



改めて聴きなおしてみて、なお掴みどころがわからない。うん。
でも好きか嫌いかで言ったら僕は好き。間違いない。異彩を放つという言葉がしっくりくる。エビ中の懐の深さを体現する一曲でありますし、自分がもともとこういう側面に魅かれてエビ中さんの界隈にやってきたということを思い起こさせてくれました。

得体の知れなさと共に、落ち着いて聴いてみて改めてしっかり感じさせられた要素は「強さ」でした。
世間にはいろいろな得体のしれない曲っていうものが溢れています。エビ中の楽曲でいうとチュパカブラなんかもそのラインにある1曲です。でもチュパカブラで前面に押し出されているのは、いうならばフワッとした不思議さとかそういったベクトルにあるもの。


その一方、でかどんでんはAメロを1コードで力強く引っ張り、Bメロで急に言葉数を増やし音階をスライドアップさせ軽く焦燥感を募り、サビのCメロでテンポを戻し雄大さやある種の余裕まで感じさせるかのような歌唱に繋げてゆく。そしてそのベースでずっと流れ続けているのは、中人でのROBOCKを彷彿とさせるU:rexさんらしいインダストリアルな音色による揺るぎないビート。
 

息のつかせぬこの流れにより、聴く者にママシータってなんだろうとか考える暇を与えないような力強い展開が繰り広げられます。理解やら考察という言葉をスポイルさせるこのパワーは、いまのタイミングで扱う表現としては大いに誤っていると思いますが、耳から摂取するドラッグだと考えて間違いないと思うのですよ。



そこから思うに、でかどんでんはきっとシングルCDの表題1曲目でいきなり注入されるべく曲じゃなかったのではないかと。たとえば今回のようにアルバムのド真ん中に配置して、少し疲れたお耳をどーーーーーん!と気持ちよく開放してやるための曲だったのではないかと。


 

音楽的なバラエティと野心と挑戦に満ちたアルバムMUSiC
たとえば曇天では、エビ中さんが初めて大人っぽい恋愛だとか気怠さだとかの世界に足を踏み入れています。その世界観の空気を気持ちよくワイプアウトするには、でかどんでんの畳みかけてくるような強さが適任なのです。
たとえばBUZZER BEATERでは、エビ中さんが王道メッセージソングとして、頑張っている人に向けて強いエールを贈ります。そんなブザビへのブリッジとして一番の効果が期待できるのは、でかどんでんの持つアンチ・メッセージソング性なのです。


考えてみれば、前述のライブハウス公演やちゅうおんでも、でかどんでんはライブ終盤に向け非常に効果的な使い方が為されていたように思えます。なんていうかほら、アレですよ。エビ中にはこういったアンチ・メッセージソングが必要なんですよ。こういう楽曲を持っていることが、いつか大きな財産になるんですよ。山王工業ですよ。

アルバムのドまんなか、LPでいうA面とB面を強く繋ぎ止める存在として、用法と用量を守って正しく使用されたドラッグ・でかどんでん
曲中で真山が「あるべき意味を感じたいの」と歌っていますが、まさにでかどんでんはその言葉通り、MUSiCというアルバムの中で、日本のポップス界の中で、いよいよその存在価値を探り当てることに成功したのではないか。僕はもうそこまで言っても過言ではないような気がですね、その、すいません、過言でした。



アイドルソングが聴きたい人。コールを入れたい人。そういった方々のニーズには残念ながら合致しなかったかもしれない。でもそこはそれとして、アルバムMUSiCでは気分を楽にして、でかどんでんの持つ素晴らしいドラッグ性を大いに楽しんでみると良いと思うのです。

U:rexさん、次回作も大いに期待しております!

 

 

それではそろそろ寝ますです。

おやすみなさいグー。