2年越しの導入部と一対の表裏とFamily Complexの話 | 考えてる途中。

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おもにエビ中の好きな曲のこととかを考えてる途中。
ふしぎと意味のない文章ばかり書きあがります。

さて。

昨日3月13日には待ちに待ったエビ中さんの5thアルバムMUSiCが発売されました。

タイトル通り、様々なタイプの音楽に彩られた1枚。いろいろ楽しめそうです。
じっくりレビューしてみようかなっとか思ったのですが、きっとレビューめいたものにはならないだろうから最初から諦めて、1曲ずつ感想とか思いついたこととかをちょこちょこ書いていこうと思います。あきらめが肝心。冷静なココロ。



まず今日はアルバム1曲目のFamily complexについて考えてみますです。
 

前作エビクラシーでの最初のトラックはゑびすとてたまわんせむでした。
確かエビクラシー発売時は、特設ページで曲順などのアルバム情報が一通り出きったあと、追加で最後にラインナップされたのがわんせむだったと記憶しています。方々で高評価を得たエビクラシーで、静かに重要な役割を担っていたのがこのわんせむ。ライブでのebiture、中人でのchuning!などのように、プロダクトの世界にリスナーを没入させる大きな使命を果たしています。…そう評して、異論がある方は少ないと思うのです。



思い返すと、昨2018年のエビ中さんの楽曲リリースは、シングル1枚と配信の数曲ほどのみ。レパートリーがそれほど増えなかった年でした。ファミリーを始めとする各方面の渇望感は、決して小さいものではなかった筈。そんな中でドロップされる新作アルバムのオープニング曲に果たされる役割は、とても大きいものとなります。

そこにセットアップされた曲は、岡崎体育によるFamily Complexでした。

 

Family Complexわんせむとは真逆で、アルバム特設サイトがOPENするのと同時に、最も早く存在が明らかにされた楽曲のひとつです。
それでいて曲自体の情報は、SHOWROOMの配信などで「かっこいい曲だ」といったメンバーの感想くらいしか出てくることがなく、まったくもって謎のヴェールに隠された一品となっていました。あ、略称が「ファ」になったという情報だけあったのかな。出所どこだったっけ。体育ツイートだっけ。
 


そして岡崎体育という男。

愛され体形とトリックスターを地でゆく作風を誇り、いまやSSAソロ公演を現実のものにするのみならず、朝ドラに出演するなどお茶の間の知名度もウナギ登り。ファミリーとしてもサドンデスの提供やここからナレーション、めざましライブでの共演を経て信頼感が増大。オープニングの1曲を任せるにはうってつけの人材であります。

課された色々なハードルを、彼はどう飛び越えるつもりなのか!
期待&ドキドキの中、さっそく拝聴。ほほう。ほう。




感想ですが…

なるほどこれはアルバムのトップバッターを意識した構成だなと。
 

前半ではテクノ系EDM系の機械的なトラック。そして中盤から急に後ノリ系のドラムやギターフレーズが入るなど生身の楽器の味わいが増して、次第に追い立てるような速さのBPMに変わってゆく。

前半はいわばアイドリング部分。エビ中さんが自らのことについて語るメタ歌詞で、10周年という持久走を続けてきたという矜持から入りつつも、わちゃわちゃした日常をコミカルに歌い上げます。珍しい虫なんか見つけちゃってあははははだよっていう、彼女らの中学生そのまんまな部分を強調していきます。

 

しかし、慣らし運転を終え後半のドライブモードに入った途端、上がりゆくBPMと共に歌詞の視界が少しずつ拡大。電気毛布や扇風機などにある身近な優しさ温かさを採り上げ、「いつも迎えに来てくれてありがとう」という平凡な感謝の言葉に繋げます。
 

 

この言葉。額面通りに受け止めると、ありふれた平凡な感謝の言葉でしかありません。

ただ、過日にエビ宙!!!!の父の日企画で、嬉しかった言葉として小林パパがこの「いつも迎えに来てくれてありがとう」という言葉を挙げ、小林歌穂はそのことを聞いて涙を流しました。それがありふれた平凡な言葉だったからこそ、一瞬で非常に大きな意味を持つ言葉に変貌を遂げたのです。
 

僕はこの一対になったウラオモテというものが、単純そうで複雑だけどストレートなファミリーというものの形であって、10周年という持久走の中で彼女らが芸能界ずれをせずに、ずっと絶やさなかった襷なのではないかと思うのです。どのご家庭にもたいていあった「ファミコン」は、当然エビ中メンバーの家にもあったのです。

 

 

 

そうした等身大のエピソードを通して、曲中の目線は次第に俯瞰の位置まで上昇します。ステージに立つメンバーが自然な自身アピールを歌い上げ、次第に強い存在に変貌してゆく。曲サビでは笑いも涙もひっくるめた優しさや感謝のフィードバックを、僕らファミリーに向けて放って語りかけてくる様子が表されてきます。
ここにいる私たちは、いつもよりちょっぴり強いんだよ。その言葉がステージの下にいる僕らのこともちょっぴり強くしてくれます。

 

…つまりこの曲の正体は、私立恵比寿中学の父兄の皆様へ向けた、2019年スタイルのebitureなのではないだろうか。ゑびすとてたまわんせむに載せてエビ中の校旗を力強く振り翳す、メンバーの姿が描かれた歌なのではないだろうか。僕は遠からずそんな感覚を呼び起こされるのです。


さあシスターもブラザーも、ご起立ください。心配はいらない、後悔はさせない。私立恵比寿中学、学芸会。上演いたします!

 

岡崎体育のFamily Complexは、色々なことに決して挫けなかった彼女らのことが表された、アルバムのこの位置を飾るのに相応しい一曲なのだ。僕はそう結論付けるに至るのです。
 

 

 

 

岡崎体育は、やっぱり天才なのだろうな。
彼は長いことエビ中のことを見ていたというわけではないはずだけれど、そんなことを補って余りあるほどの発想と表現力と洞察力を駆使して作品をしっかり作り上げる。だってエビ宙!!!!のあんな細かいエピソードなんて、普通は取り上げようと思わないでしょ。ていうか単なるビジネスパートナーだったら、後追いであの番組を見たりはしないでしょ。


こういうコンポーザーの一番脂に乗った時期に出会えたこと、とても幸運だったと思うのです。

素晴らしい楽曲をありかとうございました。



ちなみにちなみに。
ももクロピンキージョーンズに見られた、メンバー名を歌詞に載せこむ手法。この曲でもキラリと存在感を放っています。中でも真山部分は「ま、山」だけじゃなくて「りか」もちゃんと入っているんですよー。

あ、知ってましたか。はいはいごめんなさい。


といったあたりで長くなったのでそろそろおしまい。

気が向いたらMUSiCの別の曲も考えてみます。


それではそろそろ寝ますです。
おやすみなさいグー。