ひき算の概念 7 「初学者」
〔 ひき算の概念 2 「差」 〕 について
〔助教授〕 の 「 ひき算の概念 」 という言葉に
数名がうなずいていたが、お母さんの反応は、よくなかった。
ひき算 は 「 ある数 から 他のある数をひいて その差を出すこと 」 である。
この辞書的な意味を理解できるのは、既に ひき算の計算ができる人です。
初めて学ぶ小1生は、
「 ひき算 は ある数 から 他のある数をひいて その差を出すこと 」
という言葉を覚えても、
『 5 - 3 』 の答えとして、
「 5 - 3 = 2 」 ( 5 ひく 3 は 2 、5 マイナス 3 イコール 2 )
や
「 5 から 3 をひいてその差を出すと 2 になる 」 とは答えられません。
専門家の中には、
「一般化 ( 抽象化 ) したものを教えると、特殊化 ( 具体化 ) したものができる。」 (演繹)
と思う人もいるようですが、
「一般化したものを理解するには、特殊化したものをいくつか経験することが必要。」 (帰納)
な場合が圧倒的に多いのです。
子供 ( 幼児・児童 ) には、特に。 ( 大人だって、帰納が必要な場合が当然ある。)
しかし、
「 5 から 3 をひいてその差を出すと 2 になる 」
「 5 - 3 = 2 である」
と特殊化したものをいきなり教えると、
特殊例をすべて覚える。
計算問題の数だけその式と答えをすべて覚える。
と思い込む児童が必ず登場します。
抽象的で具体性がない [助教授]の「ひき算の概念」は無茶ですが、
いきなり 式とその答えを教えることも無理です。
重要なことは、
‘ 差の式の2項がどんな数であっても (どんなひき算の式であっても)
以下同様にできます。’
と言えるレベルに到達するために、必要十分な練習をすることです。
よって、初めのうちは
『 5 - 3 』 が、
どのような状況を表しているのか、どうすべきなのか、
「おはじき」などの道具を使って、把握・操作・判断などをすることが必要です。
その経験がのちに 「ひき算の文章題」の理解もまた助けてくれるでしょう。
考えもせず行き当たりばったりの指導者の下では、
「計算」だけでなく、「文章題」もまたできるようにはなりません。
「ゆとり教育」批判の根拠として「学力低下」があります。
それは、
1990年代末、「分数ができない大学生」が増えているという形で現れました。
この原因は、
1980年頃、
「ひき算の計算」が指導できない
都内の[小学校の先生] と
国公立大学教育学部の[助教授] のような人たちが存在していたことにも
あるでしょう。
「ひき算の計算」の指導ができないなら、
より複雑な「分数の計算」の指導はなおさらできないでしょう。
分数という1つの数なのに、分母・分子の2つの数に注意を払わなければならない。
通分や約分が必要な分数のたし算・ひき算。
逆数の理解による分数のわり算。
次回 ひき算の概念 8 「文章題」 につづきます。