⑬ 方程式として | 学力の創造と向上 高校・大学受験は通過点

学力の創造と向上 高校・大学受験は通過点

学力の創造と向上において
何が必要か・何が障害になるのか
などについて考えます
  さらに、必要なものをいろいろ提供してゆきます 

        ⑬ 方程式として

 ○ 問い Ⅱ 改
 次の (1) と (2) の a , b , c の条件式について、その導出過程を書いてください。

 ただし、2次関数は利用しないこと。

 (1) 
2次方程式 a x ² + b x + c = 0 の解が、 2つで 正と負のときの
                                 条件式は  a c < 0  である。

 (2) a x ² + b x + c = 0  ( a ≠ 0 ) の解が、 2つで ともに負のときの
                    条件式は  a c > 0 かつ b² - 4ac  0 かつ -b/2a < 0  である。


   【 国公立大2次試験レベルで、合格が困難になる解答例 】

    (1) 2次方程式 
a x ² + b x + c = 0 に解の公式を使うと、
           x = { -b ±√(b² - 4ac) } / 2a
          これが、正と負だから、
           { -b -√(b² - 4ac) } / 2a < 0
           { -b +√(b² - 4ac) } / 2a > 0

            ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ?

     ( と不完全な解答で終了。決して条件式 a c < 0 にはたどり着けない。)


    「 2次方程式を解く 」 
ならば 「 解の公式 」 と中3のとき、反復させられたためか、
    それが習慣化した。
    高校生になって、「 判別式 」 や 「 解と係数の関係 」を習い、
    この習慣が相対化されればいいのだが、
    生徒の中には、さらに、強化され 改められず
    大学入試で2次方程式の問題が出題されると、反射的に 解の公式 を使ってしまうものがいます。
    その結果、合格困難な解答を作成してまう。

    高校数学で公式を導かずに覚えている生徒の中には、
    
ワンパターンでしか反応できず、
    大学入試で、公式を適切に使えない生徒に成長するものもいます。


 (1) 2次方程式 
a x ² + b x + c = 0 ・ ・ ・ ① とおく。


  ①の2つの解を、α , β ( α<β ) とすると、

   ①の2つの解は、正と負だから、
    α < 0 , 0 < β ・ ・ ・ ② である。

   
解と係数の関係より、
    α+β = - b / a
     αβ = c / a

    ②より、
     αβ = c / a < 0 ・ ・ ・ ③
    となるが、
     α+β = - b / a は、正にも 0 にも 負にもなるから、任意の実数である。
                                                ( どんな実数だっていい )

     よって、
- b / a についての条件はない。

  また、①は異なる2つの実数解をもつので、その判別式を D とすると、
    D = b ² - 4 a c > 0 ・ ・ ・ ④

  ③,④ より、 
c / a < 0 , b ² - 4 a c > 0  となる。

 ところが
  ③より、
        c / a < 0
        a c < 0            [ 両辺を a ² 倍した ]
     - 4 a c > 0
    b² - 4 a c > 0 + b² (≧ 0)    
    b² - 4 a c > 0           [ ∵ 実数の2乗は 0 以上 ]
  ゆえに、 
a c < 0  b² - 4 a c > 0  が成り立つ。

 以上より、

 2次方程式 a x ² + b x + c = 0 の解が、 2つで 正と負のときの
                                  条件式は  a c < 0  である。

 (2) a x ² + b x + c = 0 ( a ≠ 0 ) ・ ・ ・ ⑤ とおく。

  ⑤の2つの解を、γ , δ ( γ<δ ) とすると、
   ⑤の2つの解は、ともに負だから、
    γ < 0 , δ < 0 ・ ・ ・ ⑥ である。

   解と係数の関係より、
    γ+δ = - b / a
     γδ = c / a

    ⑥より、
    γ+δ = - b / a < 0 ・ ・ ・ ⑦
     γδ = c / a > 0 ・ ・ ・ ⑧

     ⑦より、  - b / a < 0
           - b / 2a < 0 ・ ・ ・ ⑦’

     ⑧より、    c / a > 0
                a c > 0 ・ ・ ・ ⑧’

  また、⑤は異なる2つの実数解をもつので、その判別式を D とすると、
    D = b ² - 4 a c > 0 ・ ・ ・ ⑨

 ⑦’, ⑧’, ⑨ より、

          a x ² + b x + c = 0 ( a ≠ 0 ) の解が、 2つで ともに負のときの
          条件式は  a c > 0 , 
b ² - 4 a c > 0 , - b / 2a < 0  である。


以上、「 解の公式 」 を
使わず
「 解と係数の関係 」 と 「 判別式 」 を使って解いた。


 次の [    ] に、適切な語句や式などを入れてください

 2次関数は、5つの観点
   ・
[  ]
   ・ [  ]の位置
   ・ 頂点の位置
   ・ x 軸との[    ]のあるなし と その数 と その位置
   ・ y 軸との[    ]の位置
  すなわち 5つの道具を使うのに対して、

 2次方程式は、

  「 解の公式 」 と
    その 一部である 「 [      ] 」 と 
    それ から
導ける 「 [      ]
  の3つの道具を使う。

 
2次方程式 a x ² + b x + c = 0 と 2次関数 y = a x ² + b x + c の関係を考えると、
  「 解の公式 」 と関係あるのは、 
x 軸との共有点の [  ] 座標を求めること。
  「 判別式 」 と関係あるのは、 頂点の
[  ] 座標であり、すなわち
 x 軸との共有点の数の判別
  「 解と係数の関係 」の 解の
[  ] と関係あるのは、 向き と 
y 軸との交点の y 座標。
  「 解と係数の関係 」の 解の [  ] と関係あるのは、 軸の値


次回  ⑭ 別解は相対化  につづきます。