『 速さの公式は使えるように 2 』
○ 速さ の 単位
次の [ ] に適切な語句・式などを入れてください。
距離 は、速さ と [ 時間 ] の [ かけ ] 算 で出ます。
( 距離 は、速さ と 時間の[ 積 ] で表すことができる。)
[ 距離 ] の単位を km 、[ 時間 ] の単位を 時 ( または h : hour ) とすると、
[ km ] = ( 速さ ) × [ 時 ] の関係式が成り立つ。
この式を 速さ について 等式変形する。
[ km ] = ( 速さ ) × [ 時 ]
( 速さ ) × [ 時 ] = [ km ]
( 速さ ) = [ km ] ÷ [ 時 ]
= [ km / 時 ]
よって、このときの
速さの単位は [ km / 時 ] ( または km / h ) である。
速さの単位は、距離と時間 2つの単位を使って、[ 分数 ] の形で表現される。
その [ 分子 ] に来るのは、距離 ( の単位 ) である。
○ 距離は、 かけ算 で出るから、・ ・ ・ にくる。
距離 は、速さ と 時間 の かけ算 で出る。
すなわち
( 距離 ) = ( 速さ ) × ( 時間 ) の関係式が成り立つ。
この式を 時間 について 等式変形する。
( 距離 ) = ( 速さ ) × ( 時間 )
( 速さ ) × ( 時間 ) = ( 距離 )
( 時間 ) = ( 距離 ) ÷ ( 速さ )
= ( 距離 ) / ( 速さ )
よって、
距離は、 分子 ( 割られる部分 ) にくる。
【 丸覚えするなら、使えるものを 】
先ず、「 距離は、速さ と 時間 の かけ算 で出る (で出す) 。」 という 言葉 を丸覚えしてください。
公式 「 ( 距離 ) = ( 速さ ) × ( 時間 ) 」 を丸覚えするよりも、良いでしょう。
「 距離は、速さ と 時間 の かけ算 で出る。」 という 言葉 を丸覚えしたら、
この言葉のもつ威力 (意味) により、
距離を 速さと時間のかけ算で 求めることができるでしょう。
「式」の丸覚えで、その意味が理解しにくいようなら、
「式」を「言葉」で表現して、その「言葉」を丸覚えする。
( 例 ) ・ 乗法公式 ( a + b )² = a² + 2 a b + b²
( a - b )² = a² - 2 a b + b²
2項式の2乗は、2乗、積の2倍、2乗 ( の3項式 ) になる。 積の2倍の符号に注意!
( a + b + c )² = a² + b² + c² + 2 a b + 2 b c + 2 c a
3項式の2乗は、2乗、2乗、2乗、積の2倍、積の2倍、積の2倍 ( の6項式 ) になる。
( 積の2倍の符号に注意!)
・ 傾きが m で、点( a , b ) を通る直線の式は、
y = m ( x - a ) + b
y イコール 傾き 括弧 x マイナス x 座標 括弧閉じ プラス y 座標
言葉が、公式より本質を表し、理解しやすいとき、
言葉に従えば、求める式 (答え) がすぐに出せる。
私の指導経験上、
「 3つの公式 」 や 『 は・じ・き 』 を覚えても それを使えない生徒が、
「 距離は、速さ と 時間 の かけ算 で出る。」という言葉を覚えたら、
距離を 速さと時間のかけ算で 出せるようになりました。
もし、それでも出せないなら、
それは、「距離」、「速さ」、「時間」、「かけ算」などの言葉の意味を理解していないからでしょう。
次に、「 距離は、分子にくる。」 という言葉を丸覚えする。
この言葉に従えば、
速さを出すとき、分子に 距離 を置いてしまい、必然的に分母に時間を置いてしまう。
時間を出すときも、分子に 距離 を置いてしまい、分母に速さを置いてしまう。
どちらにしても、分子に 距離 を置いてしまう。
言葉 (言語) のもつ意味内容に従うだけ。
言葉の意味を理解していたら、それに従うことができる。
言葉は、意味理解の程度により 人によって、従い難いもの から 従い易いものまで さまざまである。
「 距離は、速さ と 時間 の かけ算 で出る。」 という 言葉の方が
公式 「 ( 距離 ) = ( 速さ ) × ( 時間 ) 」 より、人によっては、理解しやすく使えるし、
「 距離は、分子 にくる。」 という 言葉の方が
2つの公式 「 ( 速さ ) = ( 距離 ) ÷ ( 時間 ) 」
「 ( 時間 ) = ( 距離 ) ÷ ( 速さ ) 」 より、人によっては、理解しやすく使える。
同じ丸覚え から はじめても結果が異なる。
使用が可か不可か。
意味理解があるかないか。
丸覚えしたものを、字面の記憶でおわらせず、
意味理解し、使用可能の状態にし それを維持する。
そのためには、公式の表現内容を考え、使い易い形で丸覚えする。
言葉(言語)の丸覚え → 言葉の意味理解と使用が可能
↓
字面どおり記憶
↓
言葉の意味理解なし・適切な使用不可
論理的誤謬をおかした「 公式を覚えたら、できる。」 という言葉による指導は、
意味理解しない・使用できない子を少なからず育てている。
公式は、問題を解くための 万能な道具 ではない。
公式は、問題を解くための 必要条件であり、十分条件ではない。
「 x km を10 km/h で移動し、y km を 15 km/h で移動して、全部で7 時間かかった。」
もう この文 から 10 x + 15 y = 7 という等式ではなく、
適切な等式 を立てられますね。
適切な等式を、下の方にかいておきます。
○ なぜ、 速さ と 時間のかけ算で 距離が出る のか?
次の [ ] に適切な語句・式などを入れてください。
私たちは、たいてい小学校の低学年までに、
うさぎ と 亀 を比べて、[ ] の方が速いことを知っている。
また、人間のアキレス と 亀 を比べて、[ ] の方が遅いことを知っている。
( このことを前提にして、
「 うさぎ と 亀 」という童話 や 「 アキレス と 亀 」というパラドクスが成り立っている。)
私たちは、生活のなかで言葉を学び、「 速さ 」 についてある程度理解しているのです。
亀 : ・ ・ ・ 。 歩みがのろい 。 ・ ・ ・ 。
しかし、速さを理解するのに、[ ] (時空) が前提とされていること、
速さをはかるのに、時間 と 距離の [ ] が必要であることを十分に認識していません。
このことを認識するために、小学算数で 「 速さ 」 について学び始めるのです。
道路をほぼ一定の速さで走っている自動車を、
( 例えば 36 km/h = [ ] m/s , 50 km/h ≒ 13.89 m/s , 72 km/h = 20 m/s など )
信号待ちしているときなどに、私たちは見ます。 [ s は second の s ]
そのとき、
「距離」 と 「時間」 について理解していたら、
自動車がある一定の距離を移動するのに、一定の時間がかかることを理解できます。
距離を2倍、3倍、・・・ とすると、その移動時間も [ ] 倍、[ ] 倍、・・・ になること も理解できます。
よって、
一定の速さでは、
(移動) 距離 と (移動) 時間 が [ ] の関係にあることも理解できます。( 当然、「比例」について履修後 )
比 例
x が 2倍、3倍、4倍 ・ ・ ・ になると、y も 2倍、3倍、4倍 ・ ・ ・ になる。
このとき、
y は x に比例するといい、
比例定数を a とすると、
y = a x の関係式が成り立つ。
y = a x (+0) のもう一つの意味 : x y 座標平面において、
傾きが a で、原点( 0 , 0 ) を通る直線
傾きが a で、y 切片が 0 である直線
では、
時間 が 距離 に [ ] している と決める のと
逆の 距離 が 時間 に [ ] している と決める のでは、
どちらが私たちにとって都合よいのか?
考えます。
1 秒間に、10 m 移動する のと 5 m 移動するのでは、
あるいは 10 m を 1 秒で移動する のと 2 秒で移動するのでは、
どちらが速いか わかっています。
一方の速さが、他方の速さの [ ] 倍 であることもわかります。
( 同じ時間に、移動する距離が [ ] 倍 )
( 同じ距離を移動するのにかかる時間が [ ] 倍 )
まず、時間を 1 [ s ] 、距離を 10 [ m ] とするとき、
時間 が 距離 に比例している とするとき、一定の速さを w₁ とすると、
[ ] = w₁ × [ ] が成り立つ。
逆の 距離 が 時間 に比例している とするとき、一定の速さを v₁ とすると、
[ ] = v₁ × [ ] が成り立つ。
それぞれを 速さについて等式変形すると、
w₁ = [ / ] = 0,1 [ s/m ]
v₁ = [ ] [ m/s ]
どちらかに決めないと、
同じ現象 ( 同じ距離を 同じ時間で 移動する ) に対して、異なる2つの速さ w₁ と v₁ が存在することになる。
つぎに、時間を 1 [ s ] 、距離を 5 [ m ] とするとき、
時間 が 距離 に比例している とするとき、一定の速さを w₂ とすると、
1 = w₂ × 5 が成り立つ。
逆の 距離 が 時間 に比例している とするとき、一定の速さを v₂ とすると、
5 = v₂ × 1 が成り立つ。
それぞれを 速さについて等式変形すると、
w₂ = [ / ] = 0,2 [ s/m ]
v₂ = 5 [ m/s ]
さらに、時間を 1 [ s ] 、距離を 15 [ m ] とするとき、
時間 が 距離 に比例している とするとき、一定の速さを w₃ とすると、
1 = w₃ × 15 が成り立つ。
逆の 距離 が 時間 に比例している とするとき、一定の速さを v₃ とすると、
15 = v₃ × 1 が成り立つ。
それぞれを 速さについて等式変形すると、
w₃ = [ / ] [ s/m ]
v₃ = 15 [ m/s ]
速さの単位が
もし [ s/m ] ならば、
速さが2倍になると その値は 0,2 から 0,1 と [ ] になります。
速さが3倍になると その値は 1/5 から 1/15 と [ ] になります。
よって、速くなればなるほど、速さの値が [ ] なる。
[ m/s ] ならば、
速さが2倍になると その値は 5 から 10 と 2倍 になります。
速さが3倍になると その値は 5 から 15 と 3倍 になります。
よって、速くなればなるほど、速さの値が [ ] なる。
以上より、
速さを把握するのに都合が良いのは、
距離を [ ] に 時間を分母にした [ m/s ] の方である。
つまり、
速さ を 単位[ ]当たりに変化する[ ] とすることです。
ゆえに、
距離は速さと時間の [ ] で出る。
( 距離は [ ] にくる。)
速さ などの { 単位当たりの量 } は、私たちがものごとを把握するのに都合よく定義されています。
適切な等式
x /10 + y /15 = 7
( 距離は、速さと時間の積(かけ算)で出るから、分子にくる。)
距離が分子で 速さが分母の分数は、
km / ( km/h )
= km ÷ ( km / h )
= km × ( h / km ) 分数のわり算は、 「 ÷ (分数) 」 の部分を 「 ×(その逆数) 」 にする。
= h
より、
時間になる。
次回 『 速さの公式は使えるように 3 』 につづきます。