いま、公開討論会をしてほしい2人の経営者がいます。
1人は、ダイキンを世界的エアコンメーカーに育てた井上・元社長です。
1957年、「ボロキン」と呼ばれていたダイキン工業に就職します。
「ボロキン」呼ばれた理由は、1948年から1950年にかけ3度にわたり人員整理をしたことで、出来の悪い会社という風評が定着しました。
このイメージを払拭するため、井上さんは社長に就任すると「人を基軸にする経営」を推進します。
「ヒト・モノ・カネ・情報」という経営資源について、「モノ・カネ・情報」は人が操作するもので、「ヒト」こそ最大の経営資源と位置づけます。
「働く一人ひとりの成長の総和が、企業発展の基盤」という理念に基づき、ダイキンを売上1兆円企業に、そして世界一のエアコンメーカーに育て上げます。
「企業は人なり」、人を育てる経営です。
もう一人は、サントリーの新浪社長です。
経済同友会の夏季セミナーで「45歳定年制」を発表しました。
「首切りをするとうことではない」としたうえで、転職のチャンスは「45歳が節目で、自分の人生を考えることは重要」と補足しています。
「45歳定年制」の導入は、リクルートがベンチマークでしょうか?
リクルートは、昨年まで「フレックス定年制」があり、38歳になると約2000万円の退職金がもらえました。
30代で脂がのって、人材市場で評価されるような人たちが、積極的に退社していました。
離職率は10%だったとか・・・?
社員の間に、起業したり、キャリアアップのため40歳前に早期退職するという意識が浸透していたようです。
その結果、多くの社員がヤフー、楽天、サイバーエージェントなどに転職、その会社の成長に大きく貢献しています。
実際、ビジネスの現場でも元リクルート社員とよく出会います。
新浪さんが「45歳定年」を打ち出したのは、自分自身の経歴が関係しているのでは・・・?
三菱商事、ローソンで働いてきています。
いずれも、サービス業です。
メーカーで働くのは、サントリーが初めてです。
サービス業とメーカーでは、ヒトの育て方が違うように思えます。
特にサントリーは、ウィスキーを本業としてきたメーカーです。
モルトを仕込んで何十年と熟成させて商品を完成させる、非常にスパンの長いビジネスを基本にしてきした。
そんな会社で、「45歳定年制」というと、ちょっと違和感を感じる社員が多いのではないでしょうか?
日本を代表するメーカーといえばトヨタ自動車です。
トヨタ自動車の成長は、全社員をあげてのカイゼン活動です。
トヨタ自動車は、「45歳定年制」を、どう受け止めるでしょうか?
2人の経営者で、「定年制と働き方」に関する討論会を開いてほしくなります。
どちらが、現役のビジネスパーソンの支持を受けるのでしょうか?
トヨタ自動車の「人材育成・管理」についても、意見を聞いてみたい気がします。