キハライ 2-8 | 8MGブログ-過去記事倉庫

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翌朝5時―――。


誠は強い決意の下、守人神社の中枢である本殿に居た。その隣には如月が並んで座っており、一歩下がった後ろには睦月を除く全ての月巫女がズラリと一列に並んで座っている。


正面にあるのは四つ角に松明が焚かれた二畳ほどの四角い祭壇だ。そこには一振りの古めかしい剣が鞘に収められて祀られており、そこから1mほど手前、祭壇より一段低い位置に据えられた卓の上には、誠の為に用意された銚子(ちょうし)と盃台に乗せられた三段重ねの盃が置かれている。結婚式の時に三三九度で使うあれだ。


「いい誠、もうすぐ姫巫女様が お入りになるけど、トロけたりしたら承知しないわよ。修行は遊びじゃないんだからね。死ぬわよ」


いつになく真剣な面持ちで誠に言ったのは、隣に座る如月だ。普段は真琴のことを姫巫女様などと呼ばない彼女が そう呼ぶことから見ても、これから行われる修行が決して遊びでない事が窺える。


「ああ、分かってる」


答える誠も若干 不安は感じるものの、真剣だ。―――と、不意に空気がピンッと張り詰め、その場に居る月巫女が一斉に叩頭する。それに倣(なら)って誠が叩頭すると、スーッと音もなく引き戸が開き、奥から睦月を従えた姫巫女が入ってくる。


その表情は凛としていた。放つオーラの気高さも相俟って、普段の幼さは全く感じられない。そこには何人(なんぴと)も寄せ付けない荘厳さがあった。


「それでは これより、誠さんの承認の儀を行います。これは誠さんが、正式に姫巫女様に仕える者であることを認め、ここでの修業を許可するためのものです。…誠さん」


凛々しくも穏やかに告げたのは睦月だ。呼ばれて誠は すっと顔を上げる。姫巫女は既に祭壇の上だ。祀られていた剣を左手で鞘ごと手にし、誠に背中を向けて立っている。