会員制のこの保養施設は、建てられたのが1980年代後半で、そのバブル期の名残とも言えるディスコが館内にあって、僕が起業した当時のディスコ全盛期の懐かしさが思い浮かばれる。
このブログの「SMホテルの体験」に前述しているが、六本木のディスコ帰りに女性と同伴した艶めかしい記憶もある。
彼女達はディスコから移り変わったクラブ世代で、女子社員はクラブには頻繁に出入りしているが、大音響で踊るエキサイティングな雰囲気は当時と何も変わってはいない。
平日とあって、店内は空いていて、先客は彼女達の母親世代と同じぐらいの女性が二人、もう酒をほどよく飲んでいるのか、身体をくねらせて踊っている。
多分、バブル時代に遊び盛りの青春を過ごし、ノスタルジックな気分と酒に酔い痴れているのだろう。
洗い髪のままなのか、長い黒髪が揺れて浴衣が肌蹴そうに踊る妖艶な姿に、僕は、しばし、見とれていた。
「社長、フラミンゴが可愛いですね。」と仮面妻の娘が、僕に声をかけたので、ハッと我に気づき、慌てて返答をする。
「最近、閉園してしまったけど、南房総のテーマーパーク、行川アイランドのフラミンゴショーが人気で、それにあやかっているのだろうね。」
よく見るとホールの片隅に、数羽のフラミンゴのはく製が置いてある。
女子社員が、そんな僕の状況を察して、「社長、駄目ですよ。私達が両隣にいるのに、あちらの色っぽい婦人に目を奪われるなんて。」と笑いながら言う。
彼女は、レストランでワインボトルを一本空けていて、酔いに任せて、そんな冗談交じりの軽口をたたく。
そして「社長、何を飲まれます?」と立ち上がり、僕がハイボールを頼むと、バー・カウンターに行き、3人分の飲み物を運んでくる。
女子社員は酒が強く、グラスをすぐに飲み切ってしまい、クラブ慣れしているので、ホールに出て踊りだす。
そのダンスの上手さに、先客の女性達が手をたたいてはやしている。
仮面妻の娘は、あまり、クラブダンスに慣れてないのか、躊躇していると、女子社員が手を引いてホールに連れだすが、すぐに娘の方も女子社員をまねて踊れるようになり、楽しそうだ。
美女と美熟女の4人の乱舞を鑑賞していると、理性が遠のき、欲情がまさってしまう。
浴衣が乱れるようなエロティックなディスコダンスをはじめて見れば、そんな邪な気持ちになるのはやむをえない。
バー・カウンターの中のバーテンも見とれているようだ。
先客の女性の一人が、僕の席に来て、「貴方も鼻の下を伸ばしてないで、踊りなさいよ。」と誘いにくる。
なにか、この女性には、僕のいやらしげな心うちを見透かされているようだ。
二人はコーヒータイムの休息をとり、パソコンの研修に入る。
女子社員は、以前に僕が関係したウェブデザイナーの女性ほどのプロ級の技術はないが、マイクロソフトオフィスぐらいはハイレベルで使いこなせる。
営業系の彼女だが、中小のクライアント数社に、ホームページビルダーでホームページを作成し、成果物を納めた経験もある。
そんな女子社員が講師となり、仮面妻の娘は、彼女の組んだカリキュラムにそって二日間のマンツーマン指導を受けるので、ある程度の技量は習熟できるはずだ。
一日目は、二人とも夕食前に温泉に入浴したいというので、講習は午後6時まで2時間として、夕食後は、せっかくの旅行も兼ねているから、夜の講習はしないで、バーやディスコなどの遊びの自由時間にあてている。
その分、二日目は8時に朝食を済ませ、セミナールームを借りて、午後1時までの5時間をみっちり講習することになる。
彼女達の講習中の間は、僕も会社関係の書類を持ち込んでいるので、その業務に専念することにしている。
6時で講習を終えた彼女達は、7時の夕食までの間に温泉に入りたいと、早速、浴衣に着替える。
二人とも、浴衣姿がよく似合うというか、若さゆえの可愛らしさというよりも、妙に色っぽく見えてしまう。
「大浴場もいいけど、二人だけでのんびり入るなら、家族風呂もあるよ。」とすすめると、
女子社員が、「寝る前にもお風呂に入りたいから、家族風呂はその時がいいです。」とにこやかに応える。
それで、とりあえず、家族風呂が最終の利用時間が空いていたので、予約をとることにした。
僕も大浴場に浸かり、サウナで汗を流すと長時間の運転疲れが癒される。
彼女達も講習の後で温泉に浸かり、リラックスタイムを満喫しているのだろう。
入浴後の彼女達は化粧直しをしていて、湯上りの匂いたつような香しさが漂い、僕は思わず欲情を感じてしまう。
レストランに向かい、料理はフレンチだが、保養施設だけあって、シティホテルのように服装マナーにこだわりはない。浴衣の上に客室に用意してある薄手の陣羽織をはおれば、それでよい。
海辺に近いという場所柄、海鮮をふんだんに使ったカジュアルフレンチのコースで、イカやムール貝、真鯛などの造作を凝らしたメニューが並び、ワイン好きの彼女たちはそんな美味しい料理に酒もすすむ。
レストランを出るころには酒食が満たされ、皆、ほろ酔い気分でディスコルームに入る。
ほどよい薄暗さの室内に、ミラーボールの輝きがシャワーのように注いでいる。
バー・カウンターがあり、ホールで踊りやすいように壁面にソファーが並べられ、その前には小さなテーブルが配置されている。
女子社員が気を利かしてくれたのか、横並びで、僕を真ん中になるようにして二人の女性は着席する。
国道127号線は上総湊を過ぎたあたりから海岸に沿って走るが、山際が海側にせり出しているせいか、途中、幾つもの隧道があって、トンネル内は大型トラックとすれ違うと接触するぐらいに道路幅が狭く、そのスリル感で彼女達は喚声をあげている。
「大丈夫? 道が海岸線に平行して曲がりくねっているから気分悪くならないかな?」と気遣うと、
「平気です、その分、海の景色が眺められますから。」と仮面妻の娘も嬉しそうだ。
「そうそう、この道路は内房なぎさラインという愛称で呼ばれていて、絶景ドライブルートにもなっているんだよ。」と説明する。
「ドライブデートには最適なコースですね。彼氏ができたら、また、連れて来てもらいます。」と女子社員のテンションも高い。
途中、ランチタイムで東京湾フェリーの発着する金谷港に立ち寄る。
まだオープンして間もないのか、建物も新しい複合観光施設があり、ガラス張りのレストランからは東京湾がパノラマビューで見渡せる。
二人は地場で獲れた新鮮な具材を盛りつけた海鮮丼でランチを取り、満足気だ。
金谷港から目的地の館山洲崎には、あと一時間ほどかかる。
長時間の乗車ではしゃいでいたこともあり、さすがにランチの後は眠くなったのか、二人ともウトウトしている様子がバックミラーに映る。
以前に、女子社員を後輩が経営する六本木のクラブに連れて行った折、帰りのタクシーのなかで僕に寄りかかって寝入っている彼女の、クラブコスチュームから露出した背中の白い肌に、欲求を抑えることができなくて思わず口づけした生々しい記憶がよみがえる。
今は、あの時の濃い目のアイメークにグロスした光沢のある唇の艶めかしさとは違う、あどけない可愛い寝顔だ。
到着した保養施設は、海を見下ろす高台にある白亜の洋館で、女子社員は以前に社員研修の折、電車で訪れたことがあるが、初めて来た娘の方は、その立派な外観に見入っている。
ロビーには南国風の籐椅子のソファーが並べられ、吹き抜けの高い天井からイルカのオブジェが吊るされて、南国情緒を演出している。
チェクインを済ませ、客室に入ると、20畳はあるリビングルームに10畳ほどの寝室が併設されて、清潔感のある広々とした贅沢な空間が広がる。
二人はテラスに出て、眼下に広大な海原を見渡し、涼しげな潮風にあたりながら開放感に浸っている。
僕にとっては、禁断の女子社員と不倫相手の娘という、この妖精のように愛らしい二人の女性と同じ部屋で、一晩を過ごすことになる。