翌朝、「社長、おはようございます。もう朝食の時間ですよ、起きてください。」と女子社員の声で目が覚める。
どうやら、昨日のアルコールの飲み過ぎと熟女とのセックスのほど良い倦怠感で熟睡し、寝過ごしたようだ。
すでに二人の女性は化粧を済まして、身支度を整えている。
そうか、今日は8時から講習を開始するので、6時半には起きるのだった、と時計を見ると、もう朝食の予定時間の7時になっている。
女子社員が「もう少し、早く声を掛ければ良かったのですが、あまりにもぐっすり眠られているので、起こしづらくて。」とにこやかに話す。
「それにしても、君はあれだけ飲んでいてよく起きられたね?」と彼女に言うと、
「私、夜更かししても、朝は必ず起きるのに慣れているんです。だから、夜遊びしてお酒飲んでも、翌日に会社に遅刻したことはないですよ。」と笑いながら応える。
仮面妻の娘は、僕に朝の挨拶をしながらも、まだ、眠そうな感じだ。女子社員に比べて夜遊びをしていないせいかもしれない。
僕は慌てて、10分ほどで身支度をして、彼女達と朝食会場に向かう。
平日とあって、レストランはそれほど宿泊客も多くなくて、バイキング形式の和洋中の様々な料理をピックアップして席に着く。
そんな中、別のテーブル席にいる昨夜の美熟女二人を見かけた。向こうもすぐにこちらに気が付き、うちの女性達共々と互いに笑顔で会釈を交わす。
昨夜は二人共、浴衣のままの色っぽい感じだったが、今朝はカジュアルウェアに着替えていて、旅行客らしいスポーティーな装いだ。
「明るい所で見ても、二人とも貴女のお母さんみたいに、年を感じさせないぐらいの容姿ね。」と女子社員が仮面妻の娘に話しかける。
「私のお母さんなんかより美人だわ。社長も昨夜はお二人とご一緒されてよかったじゃないですか?」と僕に問いかけるように話を振るので、
「いや、君のお母さんのほうが綺麗だよ。」とわざとらしく応えたが、彼女は、やはり僕と母親のことを気にしているのかもしれない。
女子社員が、「社長は、若い女性よりも年相応の艶っぽい方が好みなのですね。」と茶目っ気まじりで言う。
「君たちには年配の女性には無い、新鮮な若々しさがあるよ。」と応えたら、
「そうですか、でも、私も早く、若々しさよりも大人の色気を身につけなければならないですよね。」と僕に伺うように話す。
昨夜、彼女を抱き寄せたこともあって、なんとなく意味深な言葉に受けとれた。
食後のコーヒーを飲んでいると美熟女二人がこちらのテーブルにやって来て、ママ風の女性が話しかける。
「昨晩はご一緒頂いてありがとうございました、思いがけなく楽しく過ごせたわ。」
美熟女の部屋でセックスをした後に大浴場に立ち寄ったが、うちの女性達が家族風呂に出かけたので、再度、大浴場に入ることにした。
温泉に浸かりながら、女子社員の言ったことを裏返して考えると、彼女自身は仮面妻の娘がよければ、家族風呂での混浴もOKだったのかな、とふと思った。
部屋に戻り、まだ誰もいないので、長椅子をソファーベッドにして就寝の準備をしていると、彼女達が帰って来た。
「利用時間いっぱいまで、長湯をしてしまいました。社長はもう、おやすみの準備なのですね。」と、女子社員が言うので、
「君たちがまだ、リビングを使うなら、気にしないでここにいてもいいよ。」と応えると、
「いいのですか? もう少しくつろいでいても・・。」と缶ビールを手にしながら、ソファーベッドにした寝具の上に、甘えるように僕と横並びで腰かける。
彼女は酒好きで、湯上りの一杯は欠かせないのだろう。
仮面妻の娘は、テラスに出て、温泉で火照った体を夜風にあてるように、暗闇の海上に瞬く漁火を眺めている。
女子社員が、僕のほうに身体を傾ける素振りがあったので、思わず彼女の肩に手を回し抱き寄せた。
湯上りの浴衣の胸元から上気する彼女の香りと、酒気を帯びた甘い吐息に惑わされそうだ。
彼女は、あの彼氏と別れる決心をした後だけに、彼と同世代の僕に寄りかかりたい心境になったのかもしれない。
以前にディスコ帰りのタクシーの中で、酔って眠ったかのような彼女が、車が揺れて僕の膝の上にうつぶせに身体をうずめた時と同じような状況だ。
その時は、背中側が大きく切れ込んだダンスコスチュームから露出している彼女の白い肌に、衝動的に口づけしたのだった。
仮面妻の娘がベランダから室内に入る気配で、僕は慌てて女子社員と離れる。
そして、何事もなかったかのように、「今日は、充分、息抜きできたから、明日はセミナーの特訓だね。もう寝た方がいいじゃないか?」と彼女達に促す。
「ええ、明日は頑張ります。」と仮面妻の娘が言うと、女子社員も「社長、今夜は楽しかったです、おやすみなさい。」と笑顔で応えて、二人とも寝室に入った。
僕はベッドに横たわりながら、女子社員の若々しい色香の余韻に浸りつつ、禁断を破れないもどかしさを感じていた。
温泉旅館で初対面の女性と情交したのは、それから後年になるが、僕の60才前にタイムリープしてブログに記述した『混浴風呂のアバンチュール』で再度、経験している。
温泉旅行では女性も開放的になるせいか、男性にとってそんな機会に恵まれることもあるのだろう。
部屋に戻ると若い女性達は、家族風呂の予約時間まで間があるので、リビングルームでソファーにもたれてくつろいでいる。
女子社員はまだ缶ビールを飲んでいるが、仮面妻の娘は母親似の性分なのか、あまり、酒は飲めないようだ。
女子社員が、「お帰りなさい、あの方達とはどうでしたか?」と聞くので、
「あれからディスコルームには他の客が来なくて、貸し切り状態で楽しめたよ。」と応えたが、そのうちの一人とセックスまでしているので、ちょっと気が引ける。
仮面妻の娘は、笑顔をみせながらも、なにかしら怪訝そうな表情がよぎる。
彼女の母親との不倫関係を感づいているとしたら、僕と他の女性との交遊が気になるのかもしれない。
僕も彼女達と同じ横長のソファーに腰かけると、女子社員が身を寄せて、「社長、まだ飲まれますか? 」と缶ビールを差し出す。
彼女は、酒が好きで強いほうだが、レストランやディスコでも飲んでいたから、もうだいぶ酔っているようで、目元がほんのりと赤みを帯びたまなざしが可愛らしい。
「ああ、いただこうか、とりあえず、飲み直しだな。」と彼女と缶ビールを合わせて乾杯する。
チィママ風の女性と情交した後だけに、その心地よい余韻の気怠さで飲む、冷えたビールはことのほか旨い。
ソファーに横並びで身体が触れ合うぐらいに座っていると、彼女の感触と浴衣から肌蹴た胸元が間近に見下ろせて、その色気につい先ほどセックスしたばかりなのに、また、欲情しそうだ。
経営クラブの後輩の彼とは別れるとは言っていたが、その彼に何度、彼女は抱かれたのだろうか、想像するだけで身近な女子社員に手を付けられたのは、過ぎたこととはいえ嫉妬を感じてしまう。
六本木のディスコ帰りのタクシーの中で、彼女とニアミスはあったが、僕にとっては禁断の女性に変わりはないと思い直す。
「あっ、もう家族風呂に入る時間だわ、行かないとね。」と女子社員が仮面妻の娘に声かける。
「大丈夫か? だいぶ酔っているようだけど。」と気に掛けると、
「心配だったら社長も一緒に入りますか?」と酔った乗りで面白がって応える。
「そうか、混浴か、悪くないね。」と僕もその乗りで言葉を返すと、仮面妻の娘がそれを聞いて困惑しているので、
女子社員が、「ふふっ、冗談よ、貴女の同意なしにそんなこと、しないわよ。」と笑っている。
僕は、「彼女、だいぶ酔っているから、温泉で溺れないようにしっかり、見張っていてくれよ。」と仮面妻の娘に言い聞かせた。