「君と会えなくなって、もう3ヶ月になるからさ。その寂しさを紛らわせるためというか、パブで知り合った女性にたまに同席してもらっているよ。」と言い逃れ的にあいまいな返答をする。
「へえ~、同席だけ? あやしいもんだわ。友人の話ではどう見ても愛人同士みたいだったと言ってたわ。」とほぼ決めつけるような言い方だ。
「君こそどうなんだ? メールが途絶えて、もう君とは終わったのかと思ったよ。」と言い返す。
「父親の看取り介護と事後処理もいろいろあって大変だったのよ。」と事情を話すので、
「そうだったんだ、まだ、しばらくは辛いだろうけど、気を落とさないようにね。」といたわりの言葉をかけると、
「ええ、だいぶ立ち直ってきたわ。」と口調も少し穏やかになって応える。
仮面妻は、20代の頃に結婚した後、母親を失い、夫のDVに耐えながら、父親を頼っていただけに悲しみははかり知れない。

「近々、会える?」と言うので、
「じゃあ、恵比寿のアトレでランチでもどう?」と応える。
そこは駅ビルで西口ロータリからすぐ近くにラブホもある。

仮面妻とは、よくランチ&セックスで来たところで、あわよくば彼女もランチの後の成り行きを察するだろうと思った。

すでに他の女性と関係しながらも久々に仮面妻を抱きたいという、よこしまな下心に自分ながらあきれてしまうが、男の性根はそんなものだろう。

「夜でもいいわよ、しばらく行ってないからいつものライブパブにしてね。」と変更される。
なにか彼女の意図がありそうで、甘い思惑から一転して、僕は浮気の現場検証に立ち会わされる気分だ。

公務員の彼女は、そのライブパブには僕との同伴以外に、最初に出会ったクリスマス以来から、あの時の女友達連中とよく来店している。
その彼女からは、不倫の条件として、疎遠になっているという不倫相手の人妻とは、きっぱり別れるように念を押されている。
タイミング悪く嫉妬深い女同士が鉢合わせしたら、僕はいたたまれない状況に追い込まれそうだ。

 

12時前に彼女が帰宅できるようにホテルを出て、夜半にもかかわらず人通りが多くて賑わう道玄坂を下り、地下鉄の渋谷駅に向かう。
改札口から足早にホームに急ぐ彼女の後姿を見送りながら、つい先ほどの濃厚な性行為の余韻に浸っていた。

翌日、彼女から、近日中にまたライブパブに行きたいとメールが来る。
彼女は遊び好きの性格だから、オタク系の夫とは性分が合わなくて外出したいのだろう。
僕は彼女の遊び相手としてはうってつけなようで、その後も逢瀬を重ねるようになる。
バンド演奏もあり、華やかな雰囲気のライブパブは、カラオケ好きの彼女にとって来店客のギャラリーもいて格好の遊び場になるのだ。

勤務先の役所から直接、店に来るので職場の地味な服装からの着替えも用意している。
露出度の高いファッションで、とても40代の女性には見えなくて、男性客の目を引いてしまう。
彼女は曲目のレパートリーも多く、カラオケタイムにステージで歌うとその歌唱力と長身のスタイリッシュな体型で、まるで芸能人のようなイメージにとらわれる。

彼女が席を立って歌っていると、よく隣席の男性から問い掛けられる。
「あなたの彼女は綺麗で歌も上手いですね、どこかの芸能関係の方ですか?」
「いいえ、ちゃんとした真面目な職場の普通のOLですよ。」と応えている。

そんな男性客の注目を浴びるような彼女だが、酒好きでボトル半分以上は一回で空けてしまう。僕が他の女性客と声を交わしたりすると、酔いもあってか睨みつけるように見つめてくる。
かっての仮面妻に負けず劣らずやきもち焼きで、仮面妻と同じく夫に愛情を抱かない分、不倫相手には厳しくあたる。
だんだんと彼女の本性も分かってきて、美人なのに嫉妬心が強いのは仮面妻と似たり寄ったりだ。

その仮面妻から久々に連絡があった。
「ご無沙汰しちゃったわ、元気なの?」とまずは挨拶程度の話しぶりだったが、
「君はどうなんだ、元気にしているか?」と応えると、
「ライブパブに行っている友人から聞いたわよ。貴方、最近、派手そうな女性と同伴しているみたいね。」といきなり突っ込みを入れてきた。

彼女は、学生時代にミスコンにも選ばれたこともあり、ステージ慣れしているのか、気分が乗ってきたようで、にこやかにいろんなポーズをとってくれる。
まるで下着のショーになっていて、しなやかなボディがダウンライトの薄明りに揺らめく。そんな彼女の振舞いに僕は欲情を掻き立てられた。

「ショータイムは終わりよ、次はバスタイムね。」と浴室にむかう彼女を、我慢できずに後ろから抱きすくめてブラのホックをはずす。
そして彼女を抱きしめたまま、しばらくは濃厚なキスをしながら彼女の乳房を愛撫する。
「一緒に入っていい?」と彼女に耳打ちすると、
「いいわよ、シャワーで流してあげる。」と好意的だ。
バスルームに入ると、彼女は僕の肩から下半身にかけてシャワーを浴びせながら、下腹部もやんわりと手のひらで包むように洗い流してくれる。
彼女はすでに不倫をしていた若い男性とはセックスを何度も経験していただけに手慣れているのだろう。
たまらず、さらなる行為を要求すると、立ったままの僕の前にしゃがみこんで口遣いで満たしてくれる。
「はい、ここまでよ。あとはベッドに入って待っていてね。」と笑顔で促す。

彼女に言われるまま、ベッドに寝転んだが、性的な興奮が高まった状態で、彼女の入浴がすむまでの短い時間でも待ち遠しく感じられた。
彼女がバスタオルを体に巻き付けて、ベッドに横たわるとそのバスタオルをはぎ取るようにして彼女の全身を露わにする。

ウェスティンホテルでの最初のセックスでは、彼女の下着ショーの演出やバスルームの性技は無かっただけに、今回はすでに視角と触覚で性欲のボルテージが上がっている。
「だめよ、せっかちにしないで。前戯に時間をかけて欲しいわ。」と彼女がつぶやく。
彼女は若い男性の性急なセックスではあまり満たされなくて、また、異常な性癖の旦那には痛い仕打ちもされているから、温厚なふるまいの年配の僕に身をあずけているのだと思う。

今までの幾多の女性との経験から、女性の性感スポットをゆっくり丁寧に愛撫しながら彼女の性的な興奮を次第に高めるように心掛けた。
彼女もそれに応えるかのように喘ぎ声あげながら身悶えして反応してくれる。
そして彼女が充分に濡れた後に性交に及び共に絶頂感に至った。
どうやら彼女にはセックスを楽しみたいという、開放的な願望があるように思われた。