あおいが、「昨年まではミュージシャンの年下男性と交際していたけど、彼の我儘さに嫌気がさしていたところに、ファンの若い女の子にチヤホヤされて浮気したから、もう愛想がつきたわ。だから落ち着いて包容力のある年配男性に惹かれるようになったのよ。」と僕に目をむけながら話すと、
可愛い系のアラサー女子が、「私も前々から、あおいちゃんには年上の男性のほうが相応しいって思っていたわ。何回か一緒に会ったけど、あおいちゃんの年下の彼氏はチャラくて好感がもてなかったの。今だから言うけど、私にもちょっかい出そうとしてたわ。」と話を合わせる。

「確か、前に会ったときはホストクラブの帰りだったよね。」と僕が思い出したように言うと、アラフィフの年増女性が、「あれでもうこりごり、あんなんでお金使って貢ぐなんて馬鹿げている。」と否定的だ。
「そうだよね、女性がキャパクラなど風俗系で体を張って稼いだ金をホストが巻き上げる構図ができているからね、近づかないほうがいいんじゃないかな。」と窘める。
「で、あおいちゃんはともかく二人は旦那の他に付き合っているような男性はいるの?」と聞くと、アラフィフ女性が、「私はいないわよ、うちのパパラッチにはうんざりしているから、素敵な殿方なんていないかしら?」と応える。
アラサー女子は、「いるのはあおいちゃんだけだわ、まだ、私は不倫経験なんてしたことがないの。」と言うと、
あおいが、「まあ、夫や家庭に不満がなければいいんじゃない。私は主人とは性格があわないからね。」とはっきりと言い切る。

あおいの言う通り、妻の不倫は、家庭不和や性格の不一致、夫の浮気などが引き金になることが大半だ。
夫の浮気には、そういった要因が無くても、チャンスがあれば妻以外の女性を抱いてみたいという欲求が潜在していることで、ハニートラップにかかりやすい。
実際、周りの男性がうらやむような美人で性格の良い妻がいても、十人並み程度の女性と不倫している知人がいる。

このあおいのグループは、ジェネレーションギャプがあるだけに、彼女達の見識の違いが分かる面白さがあり、カラオケの選曲にも反映している。

ライブパブのバンドタイムに入り、バラード系のチークナンバーが演奏され、ダンスフロアーではさのっちと彼女のペアーや他のカップル客も踊っている。
僕とあおいも踊って、席に戻るとアラフィフ女性が、
「いいわねえ~、殿方と踊ってみたいわ。」と羨むように言う。

さのっちの彼女は、ひろみやあおいとは違い、おとしそうで穏やかな印象を受ける。
彼が起業した後も、かって同じ会社で勤務していた頃の上司への従順な気持ちで、彼を頼って寄り添ってきたのだろう。
さのっちはあの気性からして、彼女以外の女性の影も無くはないと思われるけど、彼女は一途に彼を慕っているようだ。

彼は「遅れてきてよかったよ、ここでちょっとした揉め事があってね。」と彼女に言って僕のほうを見る。
「いやあ、付き合っている女性二人が鉢合わせしたんですよ。詳しくは佐野さんから聞いて下さい。」と僕が話す。
彼女は、「そうなんですか、大変だったのですね。」と目を丸くして応える。

彼女が来たのを見はからい、あおいがやってきて、
「なっちゃん(さのっちの彼女)、久しぶりね。」と言いながら、
僕には「貴方、もうこっちに来てよ、皆も待っているわ。」と急かす。
あおいは彼女とも親しそうだ。
「じゃあ、僕はこの辺で失礼しますよ、お騒がせしました。」と照れ笑いしながら、さのっちカップルに言葉をかけ、席を外した。


あおいグループの席に着くと、早速に年増女性が、
「なにか、いろいろあったみたいね、あおいちゃんがひろみちゃんと店外に出て行ったまま、しばらく戻らなかったから、何事か、と心配したわ。」と話しかけたので、それに応えようとしたら、
あおいが、「その話はいいわよ、もう収まったので。」と話を遮る。
「そうよね、私達には知らなくてもよいことだから。」と可愛い系の女子が言う。
女性達は、ひろみやさのっちの彼女も含めて、学大のパブスナックの常連で、皆、顔なじみで親しいから、仲間内で起こった今回の出来事にはふれたくないのだろう。

この席のメンバーと一緒になるのは、あおいと初めて会った昨年のクリスマス以来だ。
可愛い系女子はアラサー、あおいがアラフォー、年増女性はアラフィフと世代順で、それぞれが人妻の集まりだ。
彼女等は、普段は古巣の学大のパブスナックで遊んでいるようだが、あおいと僕がこのライブパブで逢うようになってから、たまに三人でこの店にも来るようになった。

年増女性が、「あおいちゃん、貴方みたいな年配男性と交際が続いているなんて珍しいわね。なにか心境の変化があったのかしら?」と僕とあおいを見ながら問いかける。

「それでその後も彼女との関係は続いたのですか?」と興味本位に聞いてみる。
「3回目は無かったですよ。まあ、彼女がおたくと付き合う以前の事ですから気にすることもないでしょう。」と笑う。
男女の友情から愛情に発展することはあるが、どうやら仮面妻のひろみにとって彼との関係は、落ち込んだ精神状態での愛のない一時の出来心にしか過ぎなかったようだ。

そんな会話のやりとりに乗じて、あおいとの関係も確かめてみることにした。
「以前は彼女達と飲み友だったようですが、あおいともひろみと同じような機会があったのですか?」
「あおいとは無かったですね、彼女はもともと、年下の若い男性一途ですから、飲み友止まりでした。だから、今更ながら、おたくがあおいとできるなんて思いもよらなかったですよ。」
たしかにあおいは一緒にいるとよく20代ぐらいの男性からも好意の視線を注がれることがあり、実際に彼女は30代後半で男子学生とも関係していたという。

そういう僕自身も前述した『コミュニティサイト3-7』ではプロフはサバをよみ40才にしていたが、実年令は50才で20代前半の新婚の人妻に身を委ねられたことがあった。
ただ、僕はどちらかというと、小悪魔的な若い女性よりは美魔女的な熟女に魅せられるほうだ。
まさしくあおいは僕のストライクゾーンの女性だが、彼女にとっての年配男性はただの気まぐれのアウトサイドで、またすぐ若い男性に心変わりするだろうという予想はしていた。

「見た目、しとやかなひろみと違って、あの華やかで遊び好きなあおいの性格からして、手を焼くことにもなると覚悟して付き合うことですね。」と彼は冗談めかして話す。
「ええ、すでに男女の関係で逢瀬を楽しんでいるから、ご心配には及びません。」と苦笑いしながら応える。
このさのっちなる人物は、少し癖のあるようにもみえるが、お互いに不倫の彼女がいるということで共感でき、思考の波長が合いそうだ。

そんな話をしていると、「お待たせしました。」とさのっちの彼女が席に着いた。
「あら、ご一緒だったのですね、」と僕にも挨拶をする。
あの修羅場の後だけに、彼女の笑顔でほっとする気分だ。