夏休みになると、図書館では子ども向けのサマーリーディングプログラムが開催されます。
本を読むきっかけになる素敵な取り組みで、我が家も毎年図書館にはよく通っています。
息子も本が好きなので、サマーリーディングプログラムには登録しました。
ただ、実際には積極的に参加しているわけではありません。
理由は、プログラムの中にある「読書後の質問」に、私自身が少し違和感を持ったからです。
特に気になったのが、
「あなたならどうしますか?」
という質問でした。
「あなたならどうする?」は読書感想なのか、それとも道徳なのか
去年の夏、図書館で子どもが司書さんに読んだ本について話している場面を見かけました。
司書さんは、その本の内容を知っている様子で、
「どんな登場人物がいた?」
「どの場面が好きだった?」
「自分ならどうする?」
というような質問をしていました。
もちろん、本について深く考えるきっかけになる質問なのかもしれません。
でも、その様子を見ながら私はふと思いました。
「あなたならどうしますか?」という質問は、本当に読書の感想を聞いているのだろうか、と。
模範解答を答えることに、どんな意味があるのか
例えば、こんな質問をされたとします。
「川で子どもが溺れていたら、あなたならどうしますか?」
多くの子どもは、
「助けに行きます」
と答えるかもしれません。
でも、現実はそんなに単純ではありません。
子どもの年齢によっては、自分が川に入ること自体が危険です。
「大人を呼ぶ」
「助けを求める」
「周りの人に知らせる」
という選択肢もあります。
そして、実際には、
「怖くて動けなくなると思う」
「どうしたらいいか分からなくなると思う」
「わからない」
「川って何?」
という人もいるでしょう。
それも人間として自然な反応です。
では、「助けに行きます」と答えた子どもから何が分かるのでしょうか。
本当に勇敢な子なのか。
実際に行動できる子なのか。
それは、質問の答えだけでは分かりません。
もしかすると、その子はただ「正しい答え」を知っていて、それを答えているだけかもしれません。
子どもは大人が望む答えを知っている
子どもは、大人が何を期待しているのかを敏感に感じ取ります。
先生や司書さんの前で、
「怖いから何もしないと思う」
と言うのは、勇気が必要な場合もあります。
一方で、
「助けます」
「困っている人を助けたいです」
と言えば、良い答えとして受け取られる可能性が高い。
そうすると、その質問は本音を引き出すものではなく、
「大人が喜ぶ答えを選ぶ練習」
になってしまうことがあります。
それは読書の感想なのでしょうか。
それとも道徳の授業なのでしょうか。
本の感想と、価値観を問う質問は違う
本を読む楽しさは、同じ物語を読んでも感じ方が違うところにあります。
主人公の行動に感動する人もいる。
「自分だったら同じことはできない」と思う人もいる。
登場人物の考えに共感する人もいれば、理解できないと思う人もいる。
どれも読書から生まれる大切な感想です。
例えば、
「主人公はなぜその行動をしたと思う?」
「その場面を読んでどう感じた?」
「もし違う選択をしていたらどうなったと思う?」
という質問なら、本の世界を深く考えることにつながります。
でも、
「あなたならどうする?」
という質問は、時に物語から離れて、その子自身の道徳観を評価する質問になってしまいます。
読んだ本を全部覚えていなくてもいい
サマーリーディングプログラムの質問項目を見ると、
- 登場人物は誰だったか
- 最初はどんな状態だったか
- どんな動物が出てきたか
- 好きなキャラクターは誰か
- 自分ならどうするか
など、細かい質問が並んでいました。
でも、大人でも一冊の本を読み終わった後、すべてを覚えているわけではありません。
「どんな話だった?」と聞かれても、
「うまく説明できないけど、良い本だった」
ということがあります。
本当に心に残るものは、細かい情報ではなく、読んだ時の感情や雰囲気かもしれません。
息子はサマーリーディングに参加しない。でも本は読んでいる
我が家は図書館によく行きます。
息子も本を読むこと自体は好きです。
ただ、読んだ本について細かく説明したり、質問に答えたりする活動には、あまり興味がありません。
読んだ本のリストは残しています。
でも、
「どんな本だったの?」
と聞いても、
「ん…楽しかった」
で終わることもあります。
最初はもう少し話してくれてもいいのにと思ったこともありました。
でも考えてみると、大人だって同じではないでしょうか。
映画を見た後に、登場人物の名前や細かい場面を全部説明できなくても、「良い映画だった」と感じることがあります。
読書も同じです。
本は説明するためだけに読むものではない
もちろん、自分の考えを言葉にする力は大切です。
読んだ本について話し合う経験も、子どもの成長につながります。
ただ、すべての読書に「正しい感想」や「模範的な答え」を求める必要はないのではないでしょうか。
本を読むことは、本来もっと自由なものです。
「面白かった」
「もう一度読みたい」
「この世界にもう少しいたい」
そんな気持ちも、十分に読書から得られる大切なものです。
子どもが本を好きでい続けるためには、読んだ後に評価される場所だけではなく、何も答えなくても自由に本を楽しめる場所も必要なのかもしれません。
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