カエール侯爵は倒れてから2週間。今日やっと部屋から出て、居間に座り、本を読んでいる。
今日は日曜日、アンヌは教会に行き、その後友達の家でお茶会。
アンヌは家にいたかったが、もう話せるカエール侯爵はアンヌを説得した。
侯爵は本を読んでいる。私は隣に座り、いつもの勉強。
「カエール!」とジェアン伯爵は居間に入ってきた。
カエール侯爵は親友を見る
「相談したいことがあって、都に帰ってきた」と、ジェアン伯爵はカエール侯爵の座っていたソファに近づいてきた。
普通なら、カエール侯爵は立って、親友に挨拶する。が、苦笑いでジェアン伯爵を見ている。
ジェアン伯爵は近くのソファに座る
「体調が悪いか」と心配な顔をするジェアン伯爵だった。
「二週間前、倒れたよ」と正直にカエール侯爵は言った
「無理していたろう?」
「いいえ。家でずっと仕事していたし、週に三日位休んでいた」
執事がワインを持ってきて、二つのグラスに注いだ
「今日やっと部屋から出た。二日前まで、筆談で人と話していたよ」
グラスに手を伸ばしたジェアン伯爵は固まった。カエール侯爵はグラスをとり
「乾杯しよう」と言う
「何を祝するんだ?」
咳を少し出して、侯爵は口にハンカチを当てる。ハンカチを見つめてから
「回復ができない日々を」と皮肉な微笑みを見せる侯爵
「薬を飲んで、休めば、回復できるだろう」
「いいえ。ワタシはこれから一歩ずつ最期に向かうよ」
ジェアン伯爵は持っていたグラスをテーブルにおいた
「今までしてきた生活が少しずつできなくなる」と話し続けるカエール侯爵「もう夜一緒に出かけることがないし、もう少ししたら、家から出ることもない」
「違う国の医者に診てもらったら?治る方法があるかもしれない」とジェアン伯爵は希望を探す
「やめてくれ、叶えない希望を抱くのは残る人を傷つけることになるだけだ」
「僕はただ親友を救いたいよ」
「ジェアン、ワタシの最期を見たくなければ、目を逸らせばいいさ」
「僕に背を向けたことがないカエールから目を逸らすことができないよ」
「人間は理解に苦しむ。辛いものから、目を逸らせばいいのに、逸らすどころか、真正面からぶつけることにする」と呆れたようにカエール侯爵は言う
「カエールは一度も目を逸らしたことがないだろう」
「この体で、他の見る場所がないからさ。受け止める方が簡単なだけ。でもジェアンは見ていればいいものがたくさんあるじゃないか」
「僕は親友を見守ることにする」
カエール侯爵は一気にワインを飲み、グラスを見つめた
「ワタシは6年保たないと思う」
ジェアン伯爵はワインに咽ぶ
「冗談じゃない」と怒るジェアン伯爵
「怒られてもね。咳をだす度に、血を吐くから、体すぐ弱ってくると思う。後何年保てるか分からないけど、4年は限界という予感がする」
「昼ごはんをここで食べていいか」とジェアン伯爵は突然に聞く
「いいけど、マリーの顔を見に行ったほうがいいじゃないか。すぐ出発するだろう」
「伸ばすことができないから、残りの時間を楽しむ方が大事だ」
つづく
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