「アリアネの腕の中に意識を失った時、ここまま死にたいと思った
許してくれ」とカエール侯爵は紙に書いた
初めてカエール侯爵の字を見た日のことを思い出した。当時私は15歳だった。
父上の部屋にあったテーブルの上においてあった手紙に気がつき、好奇心で字を見ようと思った。
最初の挨拶の部分だけ読み、女性の字だと思った。
上品で、綺麗。そして丁寧。
もっと読めば、どんな人なのか分かるじゃないかと思って、気づけば手紙を全部読んでしまった。
最初は女性の字だと思い込んだが、言葉遣いから、そして時に感じられる力強さから男性のものだと分かり、
名前を見たら、確信して、驚いた。
比較する男性の字はエンリの位しかいなかったから、驚いたかもしれない。
エンリは書けばいいと思う人で、丁寧に書くことがなく、読みにくい小さい字だった。
私はもう一度手紙を読んでいる時に、エンリが部屋に入ってきた
「何してんの?」
「ごめんなさい」と言う私。
絶対怒られる。私は手紙をエンリに渡した
「これ、軍のことが書かれている手紙だぞ。お前が読んでいいものじゃねぇだろう?」とエンリは手紙を見るなり、言う
「ごめんなさい。好奇心で、つい」
「ファオランに知られたら、ついって言葉で済まねぇよ」
「ごめんなさい。父上に言わないで、お願い」
エンリは厳しいけど、父上が怖い。
「なんで手紙を読んだ?」
「綺麗な字だと思って・・・」
「馬鹿馬鹿しい。というかこの部屋に入ること実体禁止なんだろう」
「父上に呼び出されたから、入った」
「聞いてねぇぞ」
「アリアネ!」と部屋に入ってきた父上は言う「ちょうどいい。エンリ、ごめん、言い忘れた」
「いいえ」
「手紙の返事を書いてほしいんだ」と父上は言う
「俺の仕事だと思っていたが」とエンリは少し驚いた顔する
「貴族にお前の字で手紙を送ったら、失礼だろう。アリアネはもう俺たちと一緒に戦っているから、いいだろう。エンリは色々アリアネに教えてくれ」
「分かりました」
その日から、私はカエール侯爵から来た手紙の返事を書くことになった。
文章とても分かりやすく、学のない父上にも混乱させる言葉一つもない。
自分に対して、初めて「ワタシ」を使う男の人を見たから、違和感があったが、違う言葉遣いは私の頭の中でイメージを膨らませるばかり。
侯爵から届いた手紙を見惚れていたら、
「また王子様の夢でも見てんのか」とエンリに言われていた
「別に夢をみているわけじゃないけど。どんな人なのかと思っていただけ」
エンリは不機嫌そうに私を見た
「妬かなくてもいいのに・・・」
妬くことが殆どなかったエンリは侯爵の手紙にいつも妬いていた。
幸せな日々だったな。
つづく
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