戴冠式まで、後一週間。
最近カエール侯爵の体調が良くなり、家の中だと普通に振る舞っている。
少し無理しているじゃないかと私は心配している。
しかし家で普通だとしても、出かけることがない。家で全て済ませるようにし、お茶会か舞踏会かの招待が来ると、アンヌを行かせ、仕事が忙しいため自身が出席できないと手紙を送る。
今朝、アンヌはまた朝食に遅い。
「レディーアンヌはまだ寝ていますか」と私はティーを飲んでいるカエール侯爵に聞く。
「昨日ワタシは自分の部屋で遅くまで仕事していたから、分からないよ」
アンヌは朝食に遅れる日はカエール侯爵と一緒に過ごした夜の後のみ。
アンヌは元々7時に起きる習慣がないから、いつも8時半に降りてくる。
私は朝まで勉強していることが多いから、4時間の睡眠をとるために、7時半に来ることが多い。
カエール侯爵は必ず7時に降りる。
もう9時半なのに、アンヌは降りてこない。家の者が全員朝食を終えない限り、カエール侯爵はテーブルから出ない。アンヌを待ちながら、届いた手紙を読んでいたが、読むものが終わると、待つのを疲れたようで立とうとした。
その時アンヌは慌てて、部屋に入ってきた。
「すみません」とアンヌ。
「珍しいじゃないか」とカエール侯爵は言う
「最近体調が悪いの」とアンヌは座り、嫌そうな顔で朝食を見る
「吐き気がする?」
「少し」
「医者を呼んだ方がいいね。ヴェンドメ家の医者でもいい?」
「はい」とアンヌはティーカップに手を伸ばす
「無理に食べることがないから、自分の部屋に戻り、休んでて」とカエール侯爵は微笑む。
アンヌは結局自分の部屋に戻る。
カエール侯爵は執事を呼ぶ
「母の医者を呼んでくれ」
「はい」
「それとアンヌに侍女をつくから、アリアネと一緒に信頼できそうな人物を選んでくれ」
「分かりました」
「アリアネ、頼む」
「はい」
カエール侯爵は居間で医者が降りるのを待っていた。
「妊娠していますね」と医者は言う
カエール侯爵は医者を見つめる
「2ヶ月半くらいです。今のところ心配する必要がありません。つわりは少し酷くなるかもしれませんが、後1・2ヶ月で良くなるでしょう」
「そうですか。急いで、来てくれて、ありがとうございました」
「いいえ。カエール侯爵は最近調子はどうでしょうか」と医者は聞く。
この医者はいつもカエール侯爵を診ている人ではない。
「なんとか」とカエール侯爵は答える
「では、これで失礼します。再来週またレディーアンヌの様子を見に来ます」
「お願いします」
つづく
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