「殿下、お久しぶりです」とカエール侯爵は城の廊下で会った身なりのいい男に声をかけた
「カエール」とその男は親しげに答える「約束の時間に早いじゃないか」
「呼び出された身として遅れるわけにはいきませんので・・・」とカエール侯爵は深々と一礼をする
「手紙から私だったとすぐわかったね」と笑う第一王子
「字を見れば、わかりますよ」とカエール侯爵は真剣な顔を崩すことなく話している
二人はベランダに入り、ティーの出されたテーブルに座る。私は少し離れ、二人を見守っている
「後ろのレディーも座れば?」と第一王子は言う
私はただ一礼で断る
「かたいね」
「アリアネは自分に厳しいですよ、殿下」
「面白くないけど」
「それで、呼び出しの理由は何でしょうか」とカエール侯爵は冗談に付き合うことなく、言う
「カエールに頼みがあるんだ。私はまた北に行くことになった」
「まだ辺境の問題を解決できていませんか」
「話し合いはうまくいかないんだ。でも一人で行っても、話うまく進まないと思う。だからカエールも一緒に来て欲しい」
「ワタシですか。北のことあまり詳しくありませんから、もっと状況知っている人の方が適切だと思います。ワタシは南と東のことしかわかりませんし」
「状況の把握なんて、カエールなら一晩でできるだろう。今は話が上手に持ってくれる人が必要なんだ」
カエール侯爵は考えている
「もし私は北を失ったら、王になった時に、貴族は私をいい目で見ないだろう」
「確かに。弱い王だと思われるでしょう。北の問題を確実に解決できる方法を見つからないと、殿下にとってとても動きにくくなりますね」
「だから、カエールを呼んだ。戦略家であるお前なら、何かの提案があるかと思った」
話しながら、第一王子はティーを飲んだり、置いてあったケーキなどを食べたりしていたが、カエール侯爵はティーカップにでさえ触れることはなかった。
「方法は相手を納得させるということしかありません。しかしその前に、相手が耳を傾ける人でないと話し合い始まりませんね」
「でも北の王も王子も気難しい人で・・・」
「レオナ将軍は北担当でしょう。彼女なら、何かできないでしょうか」
「でもレオナ将軍は将軍になったばかりだから、あまり情勢に詳しくない」
「いいえ。レオナ将軍は隊長として3年以上北にいましたから、ワタシより状況理解していると思います。それに北の言葉も話せます」
第一王子は戸惑っていた
「女性ですから、話し合いの雰囲気も和らげると思います。それに軍人と言っても、令嬢ですから、どんな相手であろうと会話ができますし・・・」
「カエールの手紙付で将軍になった位だ。できないと思っていないが、経験が少ないのではないか」
「将軍としての経験がありませんが、今まで通訳として何回も話し合いなどに出ていますよ」
「そうだね・・・」と、カエール侯爵のティーカップに気づいた第一王子「ティー飲まないか、カエール?」
「このティーは苦手です、殿下」と苦笑いする侯爵だった。
「カエールは東の濃いティーの方が好むんだっけ」
「はい」
「私には無理。じゃ、レオナ将軍と話をしてみよう」
「早速ここに呼びましょうか」
「でも、来月南に戦うだろう。レオナ将軍をかりたら、南の作戦を遅れるじゃないか」
「少し戦いの日をずらしても、問題ないでしょう。軍の動きはワタシに任せてください。今は北のことを集中してください」
「わかった。レオナ将軍をかりるとしよう」
カエール侯爵は立とうとしていた
「カエールはレオナ将軍を呼びに行かなくてもいい、自分で行くから」
「わかりました。殿下のために、ワタシに他にできることがありましたら・・・」
「これで充分。後は父上が死んだ時に、私の味方になること」
カエール侯爵は深々と一礼をし、
「この国のために・・・」と言った。
つづく
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