「おはようございます、ジェアン伯爵」と私は言う
朝食のとる部屋にカエール侯爵はいなかった
「おはようございます、レディーアリアネ」
「カエール侯爵はまだですか」
「もう起きていますよ。書類をとりに行っただけです」
「昨日の夜、遅くまで何かやっていたようですから、まだ起きていなかったと思いました」
「いいえ。ごめんね、二人の朝食を邪魔して」
「いいえ」と私はいつものところに座った
「昨日もまた遅くまで勉強していましたか」
「はい。人物の名前を覚えなくて、昨日カエール侯爵に怒られました」
ジェアン伯爵が笑った
「でも覚えやすい方法を教えてくれて、なんとかなりそうです」
「カエールの説明は分かりやすいでしょう」
「はい。大学の先生の説明もあんなに分かりやすいかなと」
「いいえ、カエールの方が分かりやすいですよ。大学時代よく一緒に勉強していた友達に授業の説明をしていましたよ。子供相手でさえカエールの説明が分かります」
「子供と話しているところを見たことがありませんが、勉強のない兵達相手でも複雑な戦略を簡単に説明でき、みんな撹乱せず、動きます」
「フランスアもすごいですよ。カエールに色々教えたのはフランスアです。いい出来の師匠、いい出来の弟子というところですね、あの二人は」
「何の話?」とカエール侯爵は部屋に入ってきた
「カエールとフランスアの教え方が上手という話」
「フランスア兄は大学の先生になってほしかった。授業を苦労せず、分かることができたのに・・・」とジェアン伯爵に書類を渡した「おはよう、アリアネ」
「おはようございます、カエール侯爵」
「カエール、忘れていた。手紙」とジェアン伯爵はポケットからとった手紙をカエール侯爵に渡す
封筒を見ながら、カエール侯爵はテーブルに座る
「フランシスからか。ジェアンには?」
ジェアン伯爵は頭を横に振る。カエール侯爵は封筒を開け、手紙を読んだ
「誰からこの手紙を受け取った、ジェアン?」
「城に行った時に、使用人は僕に届かせた」
「これ、フランシスの字ではない」
「やっぱり。第一王子からでしょう」
「字からすると、第一王子だね」
「内容は?」
「話があるから、城に来てほしいと」
「どうする?」
「とりあえず第一王子に手紙を送るよ。それから城に行く」
「バレたと思うか」
「危ないことを何もしていないだろう、ワタシ達は。不審な動きを特にしていないし、レオナを将軍に勧めたのはワタシで、王にもその件について手紙を送ったから、変だと思われるものが何もない。第二王子と一緒に出かけたのは大学時代の学友だから、怪しまれるようなこともない。この手紙は第一王子の冗談だとしか思えない」
「でも話をしたいでしょう」と少し不安なジェアン伯爵だった
「何かを企んでいるか、疑っているか。手紙を送って、明日城に行く。話を聞かない限り、動けない」
「一人で行くか」
「いいえ。アリアネを連れていく」
「それはいい」
「席をはずして、何をアリアネに言うか見てみようかなぁ」
カエール侯爵とジェアン伯爵は私をみる
「何をすればいいか説明してくれれば」と私は言う
カエール侯爵は満足気に微笑む
「でも、王子はアリアネに手を出したら・・・」と冗談を言うカエール侯爵に
「カエール、冗談でもない」とジェアン伯爵は怒る
「ジェアン、心配しすぎる。明日城から帰ってきたら、手紙を送るから」
「ジェアン伯爵、私もいますから、心配することがありません」
つづく
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