「いいですか、カエール侯爵」と私は聞く
「いい」
「私のことなら・・・」
「アリアネと関係ないよ。この家で貴族の娘を泊めたりはしない」
「なぜですか」
「バレたら、面倒なことになる。レオナも分かっているから、大丈夫」
「でもアンジェリを泊めたことがありますよね」
「アンジェリの親はフランスア兄との関係のことを知っているから、問題ない」
私はよく理解できず、カエール侯爵を見つめる
「父上と初めて会った時に、この国の貴族が腐っていると言われたでしょう」
「はい」
「結婚しても、愛人を持ち続ける男達、教会に入っても異性との関係を切らない者、夜遊びに人生を費やす人・・・その面で貴族が腐っている。父上はその面を憎む。ワタシとフランスア兄はその腐った世界を楽しむ。楽しむためにはただ一つのルールがある。何でもしていいが、バレないように。この家で貴族の娘を泊めたら、その女性が帰る時に、バレる可能性がある。だから泊めない。泊めるとしたら、身分のない女性。レオナもこの世界を楽しんでいる一人だから、ルールを知っているし、ワタシのやり方を理解している」
「理解しているとしても、寂しい思い出していることに変わりはないと思います」
「寂しいなら、恋人か愛人の所に行けばいい。ワタシは感情的に動かない」
「カエール侯爵はレオナ将軍の愛人ではありませんか」
侯爵は微笑む
「いいえ、愛人と呼べるほどじゃない。たまに二人で会う位だ」
「でもかなり深い仲に見えましたが」
「軍に入った時に、レオナと出あったから、もう長年の付き合いだ」
「男のしかいない所でレオナ将軍を見つけるのに、時間かからなかったでしょう」
「実はレオナは入ったばかりの時に剣が持てなくて、困っていた。その時の指揮官に剣を教えるようにと言われて、剣の練習の時に初めてレオナと出会った。女性に剣を教えるのにあんなに大変だったなんて想像もつかなかった」
「体力の問題もあったでしょう。令嬢ですから、運動に慣れていませんでしたし・・・」
「その通り。体力全くなかったから、練習できない。それと剣を振れば、なんとかなると思っていたから、相手の動きの観察のことも説明しないといけない状況で・・・」
私は少し笑った
「カエール侯爵は苦労しているところ、あまり考えられません」
「女性との練習だったから、苦労してもいいと思っていたけどね」
「やっぱり。練習の合間に、レオナ将軍に手出したでしょう」
「いいえ」
「意外です」
「軍の訓練が厳しくて、その余裕なかった。それに父上はもう将軍だったから、ワタシへの期待に応えることに集中していた。練習以外の時間にレオナと会うこともなかったから、話もできず、友達でさえなれなかった。ちゃんと話のはレオナの初めての実戦の後。人を殺したことに罪悪感を感じて、ワタシの腕の中に泣いていた」
「気分も悪くなっていたはずです」
「一週間位何も食べてくれなかった」
「エンヒは無理矢理に食べさせた。侯爵は?」
「医学の大学に卒業しているから、特に問題はなかった。レオナの体調が悪い間にワタシは面倒みていたから、その時色んな話をして、なぜ軍に入ってきたかやっと分かった。戦争で父親をなくしたから、復讐のためだった」
「賛成できない理由ですね」
「復讐という言葉を聞いた時に、ワタシもアリアネと同じことを思ったが、レオナの憎しみは他国へのではなく、自分の欲望のために戦争を起こす王へだ。軍に入れば、味方を集めることができると思っていたようだ」
「なぜレオナ将軍はカエール侯爵と組んでいるかやっと分かりました」
「その時から、一緒に行動をすることが多くなった。レオナはワタシに対して他の気持ちを抱き始めたことを気づいたが、軍の寮に住んでいた頃だったから、手出すわけにはいかなかった」
「つまりレオナ将軍への気持ちは・・・」
「ないよ。 ワタシを裏切ることができない味方にしたかっただけだから、手を出した」
「ひどいと言うべきなのでしょうか」
「レオナも知っているから、ひどいと思えない。嘘でも、夢でもいいと言ったのはレオナ本人だ」
「私もなのかと聞きたいところですが、聞かないことにします」
「本当のことを知りたいなら、答えるよ」
「同じ・・・ですか」と答えを恐れる私は聞く
「違う」と書斎に低く響くカエールの声に重みがあった。
これ以上聞く必要もない。同じ気持ちで応えて欲しいと思えない。けど、攻めて気持ちのある関係であってほしい。
つづく
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