物語44 | Thinelの世界

Thinelの世界

私の描く世界へようこそ


 「ワタシの残りの寿命は後6年だってことだよ」

  私は何も言えない。言えるはずがない。
  「子供の頃から病弱で、あまり遊ぶこともできなかったが、少しすづ父上と練習をしたりすることによって、体を丈夫になった。あまり長く生きないだろうと思っていた父上はワタシを自由にして、好き勝手させた。人間は死を怖がるものだから、必死で勉強して、何とか18歳で死ぬと思われたカエールは今年で27歳。でも去年から体調が全体的に悪くなってきているから、限界かなぁ。6年があれば、まぁやりたいものはできるが・・・」
  「もう戦うつもりはありませんか」
  「戦うよ。ただ戦い続ける自信がないだけ」
  「しかし・・・」
  侯爵は横になった。
  「今弱っているから、弱音をはいているだけ。気にしないくれ」
  「気にします!」
  「自分でやると決めたものを必ずやり遂げてみせるから。でも今だけ希望ではなく、その絶を抱かせてくれ」と居眠りに落ちた。
  
  こんな弱いカエール侯爵はイヤと言おうと思ったが、私だったら侯爵のように27年間こんな冷静に生きることさえできなかっただろう。私にだけは嘘をつかないと誓ったからこそ、カエール侯爵はその弱い自分を見せてくれたと思う。
  その全てを受け止めよう。そして護衛兵として、この男の背中を守ろう。それは唯一の私のできるものだから。

                             つづく