居間のソファに座ったまま、侯爵を待っている私は耳を澄ました。
台所からおばちゃんの元気な声と執事の声が聞こえてくる。侯爵の部屋からたまに長い溜息。
夜のかなり遅い時間なので、外は静か。
こういう時、いつも思う。この静かな日々をずっと過ごしていたい。でも、今この家は静かな日々を送っているのだとしても、私の仲間は戦って、死んでいる。この静かさも幻で過ぎない。
カエール侯爵の部屋から何かが落ちた音。二日前の出来事と同じ状況だったら、どうすればいいだろうと考えながら、侯爵の部屋のドアを開けた。
侯爵は床に落ちていたコップを取っていた。
「大丈夫ですか」と私は聞く。
「コップに手がぶつけただけだ。大丈夫」
「もう休んだ方がいいと思います」
「この手紙を書き終わったら、休むから」とカエール侯爵は疲れた様子で、また手紙を書き出した。
「何かあったら、呼んでください。居間にいますから」と部屋から出ようとしたら。
「アリアネ、・・・ここにいてくれ」
つづく
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