私はカエール侯爵の手を掴んだ、そしてしばらくの沈黙の後、
「分かりました。・・・もうあのような光景を見ないためにも、頑張ります」と言った。
カエール侯爵は満足気な微笑みを見せた。
「しかし・・・」
「今度はなんだ?」とまた怒りそうで。
「部屋ではなく、私の見えるところで仕事できませんか」
「なぜ?」
「私の仕事は侯爵を守ることなら、見えるところにいないと困ります」
侯爵は少し戸惑う。
「じゃ」と私の隣に座る侯爵「ここで仕事しよう」と。
読んでいた本に挟んであった紙をとり、ポケットにあった鉛筆で書き始めた。
本に夢中になっている時のカエール侯爵の顔は落ち着いていて、口は軽い笑顔を作っている感じだが、
仕事をしている時に、顔は鋭い。眉間に深い皺、何も見逃さないような目で紙を見つめている。
書いているものを読みたいけど、ただの護衛兵にそれは許されていないだろう。
突然カエール侯爵は台所への廊下の方を見た。
「どうした、こんな時間に?」と暗闇に問う。
「カルロ様からお手紙が届いております」と執事は言う。
「ありがとう」
「お返事を早めにとのことだそうです」
「わかった。これを届かせた人を休ませて。書き終わったら、呼ぶ」
「かしこまりました」と執事はまた廊下に消えた。
侯爵は手紙を既に読んでいる
「思ったより、ジャン早く動いたなぁ」と独り言。「アリアネ、ワタシは自分の部屋に行くから。もう寝ていいよ」
「返事を書き終わるまで、ここで待っています」
「何か話したいことでもあるか」
「いいえ。ただ先に眠れないし、今日呼吸が困難だったようなので、心配です」
カエール侯爵は苦笑。
「気づいたか」
「毎日見ていれば、分かりますよ」
「父上がいましたから、バレないようにしていましたが・・・」
「気づいていないと思いますが、やはり剣を持つべきではなかった」
「大丈夫だよ。手紙を書き終わったら、声かけるから」と侯爵は立ち、自分の寝室に入った。
つづく
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