「しかし自分の命を危険にそらしてまでこの国を変えたいですか」と私はじっと侯爵を見つめている。
「それより・・・」とカエール侯爵は私の唇に優しく指を触れた「アリアネとキスしたいなぁ」
「カエール様と付き合えないと言ったはずです」
「こんな状況で、まだワタシのことを好きではないと言えるか」
私は言えるはずがない
侯爵は顔を寄せてきた
「軽い言葉でつくった約束より、君に嘘のないキスを捧げよ。甘い恋の言葉を聞かせることはないが、アリアネだけは裏切ったりはしない」
「甘い言葉を言われても、信じませんよ」
「その肩苦しい話し方もやめてほしいなぁ」
「でも、自分の立場を忘れるわけはいかない気がします」
「立場か。でもここにいるのはカエールという男とアリアネという女性だけだよ」
「物事をそんな簡単に片付けないでください」
「ね、アリアネ。何がそんなに怖い?」と私の心の不安は見通しだった
「取り消しのつかないことをしてしまうこと・・・」
「それから?」と意地悪く、侯爵は聞く
「カエールを愛してしまうこと・・・」
侯爵は微笑んで、顔を遠ざける。
「もうしていることから逃げられないと思うけどね。戦場で絶対死なないと言えないよ、アリアネ。現実はそんな甘くないと君も知っているはず。君に甘い夢も見せるつもりはないし、守れない約束するつもりもない。ただ一緒にいられる間、一緒に戦い、一緒に同じ道を歩んでほしい」
「私に現実しかくれないのですね」
「ああ」
「ずるいです」
侯爵は正直な笑顔を見せてくれた。芝居のない笑顔を。
「でもその嘘のない唇は私のものだと言うのなら・・・」と、私からカエールに口づけをした。
この戦いは私の完全な負け。
つづく
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